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絶対に眠ってはいけないクライアントの車

「ダメだ」と思うほどやりたくなるのが人間だ。時刻は13時、わたしは車の後部座席で睡魔と闘っていた。

今日、取引先の企業と山中湖へ遊びに来ていた。山中湖には、私の会社で保有している貸し別荘があり、バーベキューなどが自由にできる。しかもその別荘は社員価格で1泊3万円で泊まれ、しかも近くにゴルフ場がある。そんな環境が取引先の社長や部長に大変気に入られ、これで5回目の宿泊だった。

今回は11時に新宿駅からレンタカーで出発したので、道路沿いにあるVolksで昼食をはさんだ。

初めて知ったけど、Volksはコスパがいい。ランチにはご飯にスープ、サラダ、手作りパンんの食べ放題がついてるのだ。サラダはレタスの他に玉ねぎやオクラ、トマト、枝豆、ドレッシングにかけるナッツやごままである。パンも8種類ほどあるので、たくさん食べたい人にはたまらない。大して食べられない私も、ここぞとばかりにサラダやパンをたくさん食べた。

レストランを出て車に乗り込んだとき、わたしは後悔した。まずい、眠すぎる。食べすぎてお腹いっぱいになってる上、車の揺れがあまりに心地良すぎる。おまけに日光がほどよく車内をあたためるので、眠るための環境は完璧に用意されていたのだ。

寝たい。今すぐ寝たい。でもいま私が乗っている車は、取引先のメンバーが運転している。車内には若手メンバーしかいなかったけど、全員先輩だ。みなさん気さくな方ばかりだけど、さすがに運転してもらってる中で寝るのはまずいだろう。わたしは外の景色を見ながら、必死で起きようとした。

だけどあまりに眠すぎた。気づけば景色がパーキングエリアに変わっている。いつの間にか私は眠っていた。何ならよだれも垂らしながら。ああ、やっぱりだめだった。。

ただ不幸中の幸いだったのは、バックミラーがデジタルだった点だ。デジタルのバックミラーは、車の後ろにあるカメラの映像を映し出している。鏡ではないので、後部座席の様子は映っていない。後ろを振り向かなければ、私が寝ているのはバレないようになっていた。

結局「絶対に眠ってはいけない」には負けたけど、デジタルのバックミラーのおかげでやり過ごせた。現代のハイテク技術は、本能に負ける人間を救ってくれるのかもしれない。

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