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元披露宴スタッフが考える、メルパルク仙台問題の怖さ

メルパルク仙台のウェディングが大炎上している。

メルパルク仙台で披露宴をした女性が「あまりにもひどすぎて精神的苦痛を受けた」と口コミを投稿し、それを友人が拡散して多くの人に広まった。それくらい、披露宴は悲惨なミス?嫌がらせ?がたくさん起きていた。絶対にしないでと何度も頼んだこと(旧姓で呼ばないでほしいなど)を平気でする、ドリンクフルコースでビールしかない、1日1組といわれたのに2週間前まで他の組も挙げるのを隠していたなど……。そして挙式後に新郎新婦からの訴えに全く取り合わず、弁護士を通せの1点張りだったらしい。

最初「精神的苦痛は言い過ぎでは?」と思って読み始めたけど、決して大げさではなかった。一生に一度の結婚式として、相当ひどい。

ただ、いつ、メルパルク仙台のような悲劇が起きるとも限らない。多くの披露宴会場では、配膳スタッフにアルバイトをたくさん起用している。アルバイトの中には未熟で知識不足のまま客前に出てきて、サービスをしているバイトは決して少なくない。自分自身が1度も披露宴に出たことがない学生スタッフだって大勢いるのが現実だ。披露宴は、スタッフたちの未熟さを隠しながら危うい均衡を保ってきているのだ。

周りを見て学ぶ披露宴スタッフたち

わたしが学生時代にアルバイトをしていた施設では、裏で軽くお皿の持ち方を教わると、すぐに表へ出された。多忙な披露宴中は気軽に質問できず、周りの社員や先輩の見よう見まねでサービスをしていった。料理の名前は覚えるけれど、細かい食べ方や材料までは詳しく知らない。「これって何?」と料理の質問が来るのが恐怖だった。結婚式のマナーも教えられるわけでも、身についているわけでもない。とにかく周りを見て考えて、察して、試してみながら働いて、配膳の作法を学んでいった。

幸い私の施設では、怒る社員はいたけどみないい人でサービス精神があり、社員も同僚も見本になる人が多くいた。だから何も知らない未熟なわたしが放り出されたとしても、周りをみながら配膳のやり方を学んでいけば、少しずつまともなサービススタッフに近づいていった。「見ればわかる」でどうにかうまく回せていたのだ。

でも口コミ評価が最悪の施設だったらどうだろうか。利益のために客の約束を破り、悲しませるようなことをするし、ゲストに不利益が及ぶミスをいくつも発生させ、特に謝罪もしない。そんな披露宴会場にてアルバイトで入ってしまい、周りの先輩を見て育ったのなら、いいサービススタッフになれるはずもない。周りの空気に染まって、同じような劣悪なサービスをしてしまうかもしれない。

被害者にも、加害者にもなってしまう怖さ

周りの環境は、本当に重要だ。邪悪な環境は周りにどんどん伝染していく。本人にはまったくその気がなくなって、だんだん誰かの気持ちを踏みにじったのにも気づかなくなり、いつの間にか「精神的苦痛」を与える行為をしてしまうかもしれない。つまりメルパルク仙台問題は決して他人ごとではないのだ。

何事も自分の目で見て、言葉にしきれない雰囲気を感じるのが大切だ。誰だって、悪い環境の被害者にも、加害者にもなってしまうかもしれない。メルパルク仙台の件で、そのことを強く感じた。

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