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プロポーズされたらゼクシィしてみた

エロ本を買うより恥ずかしいかもしれない。

金曜の夜10時ごろ、わたしは最寄り駅の本屋にいた。今週の仕事を終えてくつろぐ人ばかりの中、わたしは最も重いタスクに向き合っていた。もちろんタスクと言っても、会社の仕事ではない。もし取り組まなくても誰も困らないし、気づきすらしないものだ。

今週最後のタスクは、『ゼクシィ』を本屋で買う。そのために本屋に入店していた。

実はつい先日プロポーズされた。そして「プロポーズされたらゼクシィ」をしようと考えた。もちろんゼクシィが似合うキャラではないのは自覚しているし、結婚のためにゼクシィ読まなきゃ♡と夢見ているわけでもない。ただ結婚生活がうまくいきさえすれば、今後かうことはない。このタイミングしか読めないからこそ、せっかくだからゼクシィを購入しようと思ったのだ。

本屋の女性向け雑誌コーナーを見ると、『ゼクシィ』の異様さがよくわかる。明らかに冊子の厚さがおかしい。ぶ厚すぎるのだ。実際に測ってみると約6㎝、かぶりつくと顎が痛くなる厚みだ。(写真は付録を含めた厚さ。ちなみに付録はトートバックと小冊子)

そしてとんでもなく重い。厚さ6㎝あれば当然かもしれないけれど、全部で約1,350ページで重さは約4㎏だ。(料理用の計量器では重すぎてエラーとなり、体重計に乗せると3.7㎏だった・・・!)昔のタウンページくらいの厚みがあり、決して気軽には買えない厚みだ。

合理的な人なら「そんなに重いならネットで注文すればいいじゃん」と考えるだろう。もちろんその通りだ。Amazonでも取り扱いがあるので、わざわざ恥ずかしさと手間をかけて本屋へ行って買う必要はない。

それでも私が本屋での購入にこだわった。今後ゼクシィを持ち運ぶ機会は、本屋に転職しない限りない。今後は持ち上げさえしないだろう。だからこそ、いまゼクシィの重みを感じたい。もう一生味わわない重みなら、せっかくなので本屋で購入して持って帰る非効率な方法をしてみたい。ヒマでアホっぽいわたしならではのタスクだった。

ゼクシィの購入は重くて大変だけではなく。実際買おうとすると、ものすっっっごく恥ずかしい……。後日精算があれば迷わず選ぶほど、レジにゼクシィを持ち込むのが億劫だった。(だったらネットで買えと思われた方、正解です)

とはいえ、レジに持っていかないと購入できない。わたしはムダに文庫本や絵本、雑誌コーナーを30分ほど歩き回って気持ちを落ち着かせた。そして「え~~ゼクシィってこんなに厚いのか~~」と、たまたまゼクシィを見つけたかのようにゼクシィを眺めた。そして誰も並んでいないうちに、さっとレジへと持ち込んだ。

会計中、店員はゼクシィだろうと淡々と業務をこなす。ただ、異様なぶ厚さのせいで非常にやりにくそうだった。バーコードを読み取るために重い本を頑張ってひっくり返していたし、カード決済をするときにもすぐバランスを崩すゼクシィがとても邪魔そうだった。きっと店員にとって、ゼクシィを買う客はわたしが初めてなのだろう。店員の困惑した状況を見てはずかしくなったわたしは、意味もなくレジ周りのしおりを見てごまかしていた。とても気まずい。経験ないからわからないけど、エロ本を買っている気分と似ているのかもしれない。

購入してから家に帰り、さっそくページをめくった。小物から結婚式の感動エピソードや写真、相場、ニーズに合わせた披露宴スタイルなど、あらゆる情報が掲載されていた。最初はまじめにじっくり読んでいたが、30分経っても全体の10分の1程度しか進んでいない。このままでは夜が明けてしまう……その後は取捨選択し、曲げた首が痛くなりながらも、どうにか最後のページまで読み進められた。

実はゼクシィ、タウンページ級の情報量でたったの300円で買えてしまう。これだけ安いのは、フリーペーパーのように広告だらけだからだ。そのため合間合間に広告感、商業感があるのは否めない。でもコーヒー1杯ほどの値段で、「もうすぐ結婚するのか~~」といったワクワクした気持ちになれた。300円で楽しい気持ちになれたなら、決して損ではない。

ゼクシィは、300円で大人になる恥ずかしさも期待感も両方味わえる。もしプロポーズされた/したばかりであれば試せるのは今しかない。「プロポーズされたらゼクシィ」するの、ぜひおすすめです。

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