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防災訓練は何故ダサく感じるのか

勤務時間中にもかかわらず、スマホニュースから目が離せなかった。今日、京都アニメーションで放火事件が起き、死亡者が33人も出てしまった。職場で突然知らない男がガソリンに火をつけるなんて、文字面だけでも心底怖い。仕事中に思わず顔をしかめてしまった。本当に痛ましい事件だと思う。

平成以降最悪の事件といわれるほど被害が拡大したのは、複数の原因があるだろう。その1つに、緊急時の対応や避難経路が十分周知されてないのもあるのではないか。もちろん例えわかっていても、パニックで逃げられない可能性だってある。緊急対応の周知不足を責めるつもりは毛頭ない。

ただ、ニュースを見た時にオフィスにいたわたしは、ふと思った。もしここでガソリンがまかれ、真っ黒な煙でいっぱいになったらどうすればいいんだろう?どこへ逃げればいいんだろう?どうすれば生き延びるんだろう?

恐ろしいことに、緊急時にすべき対応が何も分からなかった。きっと周りの同僚も分からない気がする。毎日8時間以上過ごす場所なのに、いざというときの対応が全然わからない。無知のまま毎日働いていたことに、さらに恐怖が増した。

避難訓練は「だるくてダサい」と思う風潮

いつからか「避難訓練はダサい」と思うようになった。小学校では毎日お尻の下に敷いている防災頭巾をかぶって、校庭に皆で集まっていた。低学年の時は素直にかぶっていたけど、高学年になると防災頭巾を使うのが恥ずかしくなって、校庭で「だるい~~」みたいな顔をして先生の話を聞いていた。

社会人になってからも、定期的にビル内で避難訓練が実施される。日中に突然(本当は予告されてるけど)、「訓練火災、訓練火災」と放送される。放送された直後はオフィスは少し静まるけど、訓練だとわかるとみなすぐに仕事に戻る。「避難訓練でうるさくてすみません~~」と電話で話している人もいた。エレベーターを使わず階段で下まで降りる訓練は、部署代表として新人が出される。もはや訓練は新人の雑用のようになっている。

仕事より命の方が大事だ。その命を守るための訓練は重要に決まっている。それなのに、避難訓練には「仕方ないから参加している感」とか「ダサい感じ」があふれている。もちろん真面目に参加する人もいると思うけど、オフィスで働いているとみんなから「訓練とか置いといて、仕事仕事!!」といった雰囲気が醸し出されている。

避難訓練は校長先生の話しみたい

防災訓練は、校長先生の話のような存在だ。「だるい~」とか言っているのが正しくて、ちゃんと聞くのはかっこ悪い。防災訓練も真面目に取り組んでいると、「心配しすぎwそれより仕事しなよ」と思われる気がする。周りが義務感で参加していると自分だけ張り切るわけにもいかず、みんなと同じテンションで参加する。そんな風にして、避難訓練の形式化が起こっているんじゃないだろうか?

「避難経路がわかる大人は一流」みたいに言われて、避難訓練を全力でやるのが当たり前みたいになれば、緊急時に対応できる人が増えるんじゃないだろうか。もし自分がパニックになっても、落ち着いた先輩が「●●して!!」と助言してくれるかもしれない。自分の努力ではどうにもならない出来事もあるけれど、知識を持っていれば可能性は広がるはずだ。

本当に、いつ何があるか分からない。だからこそ、たとえダサくても生き延びる可能性は広げておくのは大事だと改めて思った。

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