見出し画像

ご当地グルメがラーメンに負けた #台湾

牛肉麺が消えた。

台湾旅行に来ていたとき、わたしはご当地グルメの「牛肉麺(ニューローメン)」が食べたかった。牛肉麺は辛いスープに牛肉がのった麺で、るるぶやマップルに台湾グルメとして紹介されている。麺料理と辛いものが好きな私は牛肉麺が大好きで、台湾にいくたび「牛肉麺!牛肉麺たべたい!!」と口ぐせのように話していた。

ところが、台湾グルメの牛肉麺が全然見当たらない。夜の街を歩いても、お昼ご飯を探していても。「さすがに空港にはあるだろう」と思って桃園空港のフードコートへ向かったものの、あるのはラーメンや韓国料理、ハンバーガーやタピオカばかり。牛肉麺らしき料理はほとんど見かけないまま、台湾旅行を終えてしまった。

牛肉麺はラーメンに負けている

ガイドブックの見開きを飾るくらい、牛肉麺は台湾の代表的なグルメだ。その割に牛肉麺を食べられる場所が少なく、空港にすら牛肉麺屋がない。その代わり、台湾の街にもアウトレットにも空港にも、ラーメン屋はたくさんある。ラーメンを食べる人もとても多い。どうみても、ご当地グルメの牛肉麺はラーメンに負けていた。

考えてみれば、わたしが牛肉麺を食べたいと思うのは台湾についた時だけだ。日本にいるとき、普段のランチや晩御飯を食べるとき、牛肉麺を思い浮かべた瞬間は一度もない。

しかしラーメンであれば週に1回くらい食べたくなる。日常でも旅行中でも、だしのきいたスープ、醤油、塩、みそ、とんこつ、家系……あたたかなスープに絡めて中華麺をすすりたい。あぁ、ラーメンが食べたい。もちろん人によって好みは違うだろうけど、歴史あるニューローメンの味わいよりも、色んな味わいのあるラーメンを食べたいと考える人の方がたくさんいるはずだ。街も空港も、そんな人々の正直な欲望にあわせて姿を変えてきたのかもしれない。

美味しさに風情も歴史も関係ない

もちろん美味しい牛肉麺屋はまだたくさんあるし、牛肉麺が食べられなくなることはないだろう。でもたとえ有名で歴史のあるご当地グルメであっても、人気のあるジャンキーな食べ物にどんどん淘汰されていく。おいしさの前では、風情も歴史も無力でしかない。

この先、牛肉麺はどうなるのだろうか。やはり牛肉麺好きの日本人としては、ラーメンに負けないくらい進化して、「牛肉麺ver 2.0」として空港のフードコードを制覇する勢いをつけてほしい。

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?