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口下手なわたしの告白は、映画2本分の時間がかかった

しゃべるのが下手すぎて困る。他部署の方とのミーティングで、わけのわからない趣旨説明をしてしまった。頭ではわかっていたし、話す内容も考えていた。それでも言葉が途中でこんがらがって、毛玉みたいにぐちゃぐちゃしてしまう。わたしはいつもこうだ。ただでさえ説明するのが苦手なのに、目の前に自分の話をじっと聞いている人がいると思うと、余計に調子が狂う。そんなわたしが営業職をやっているのだからびっくりだ。

頭で描いたことばがうまく話せたら、もっといい人生になったはずだ。飲み会で急に振られた質問に無難な回答で済ませようとせず、うまく答えられる。会社の打ち合わせで分かりやすい説明もできるし、もっとたくさんの友達ができたはずだ。先輩方からかわいがってもらって、色んな人にご飯をおごってもらえたかもしれない。

そして口下手じゃなければ、告白だってもっとスマートに出来た。実は恋人に対し、最初にちゃんと告白したのはわたしの方だった。相手に告白しようと決意したのは、相手もわたしが好きだと思ったから。彼の言葉を聞く限り、両思いなのはほぼ100%確定だった。あとはわたしが言うだけ。ただそれだけだと分かっているのに、伝えるまで4時間もかかってしまった。

漫画みたいで恥ずかしいけど、「すっ・・・・・」の状態で止まってしまって、「うーん、やっぱり何でもない!」を何度も繰り返し続けた。文字にすれば「スキです」の4文字なので、5秒で終わる。それをなんと4時間もかけてしまった。4時間あれば映画が2本見れてしまう。サスペンス劇場で2回分の事件を解決できてしまう。よくよく考えれば、超長い時間だ。当時は何も言わずに待っていた恋人だけど、本当は「いやもうわかったから早く言えよ!!」と思っていたはずだ。

だいたい2年経った今でも、あの時の長時間の告白はいじられる。口下手じゃなければ、もっとスマートに言えたのだろうか。まああの告白も、口下手だからこそできたいい思い出だ。悪くない思い出として、大事に取っておきたい。

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