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大学生にイライラしなくなったら、年を取った証拠。

大人になったかどうか確認するためには、大学生の群れに出くわすとよい。

新卒の妹と焼き肉を食べた帰り道、20人近くの男女の大学生がコンビニ前に集まっていた。飲み会終わりなのか、それぞれが大きな声でしゃべっており、彼らをかき分けなければコンビニに入店できなかった。

東京駅の雑踏や通勤ラッシュになれた私は、無心で大学生たちの真ん中を横切った。ただ妹はイヤそうな顔をしながら、「うるさい大学生たちをみると本当にイライラする」と話していた。

そういえば、わたしも大学生を見るだけでイラついていた。妹と比べ物にならないほど、嫌悪感を示していた。それなのに、あんなに大嫌いだった20代の大学生たち、今ではもう何も感じなくなっってしまった。

社会人2年目くらいまでは、騒ぐ学生たちを冷たい目で見ていた。20代にもなってバカ騒ぎして、アホなんじゃないだろうか。人の迷惑になっているのが分からないのだろうか。そう思って、あからさまに反対側の道路に渡ったり、遠くから睨みつけていた(夜の暗い道なので確実にばれない)。近くで大きなため息でもつきたかった(さすがに怖くてできなかった。)。

ただ今考えれば、わたしは学生たちを単に嫌っていたわけではない。あの時のわたしは、大学生たちをライバル視していた。

わたしがイメージする大学生は、サークルで最高の友達を作り、ドライブやBBQを楽しみ、潰れるほど飲み明かす、バカっぽくて平凡な日々を送る人だ。きっと、大体の大学生が経験する内容だろう。ただ、わたしは違う。ちゃんと講義に出席するし、バイトでお金をため、酔いそうになったらお酒をセーブする。たくさん本を読み、1人ゆったり過ごす。もちろん遊ぶときもあるけど、節度は守る。こんな生活が自分らしくて有意義だと思っていた。

ただ、、、ほんとうはすこーーーーしだけ羨ましかったのだ。たとえアホらしくて薄っぺらい毎日でも、週の大半の時間を共有する友人がいて、1人じゃできない遊びを楽しんで、酒の力で強くも弱くもなって……。大学生の自分にはできなかったことを当たり前のようにやってしまう大学生たちに、私はひそかに嫉妬してた。あぁ、楽しそうだなぁ……って。でもプライドが高かった私は、敵にして自分と距離を開けることで、自分の気持ちを保っていたのだ。

大学を卒業して4年、今年で26歳になる。結局、わたしが嫉妬したようなキラキラした大学生活の経験を取り戻すのは今でも出来ていない。

ただ、今はバカ騒ぎする大学生たちがどうでもよくなるくらい、人生が充実しつつある。仕事もそれなりに理解して動かせるようになり、拙い文章でも毎日書く習慣がつき、好きな人とも仲良くやってこれて、自分の好きなことに時間を費やしている。

四捨五入すれば30歳になってしまう年、誰かを敵や同類にしなくたって、自分は自分だと思えるようになった。アラサーになるのも悪くないかもしれない。

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