古森夕子

詩・ポエム・掌編小説などを書いています。

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マガジン

  • てのひらに乗せたマッチ箱

    主に掌編小説を集めました

  • 虚妄の夢と恋

    詩を集めたものです

  • 換羽の季節

    あいさつや日記などです

  • 過去の漫画置き場

  • 酔生夢死の人生

    主にメンタルヘルス関係の記事を集めてあります

最近の記事

ある冬の日のカーテン

 街路樹の葉がようやく紅葉して舞い落ちている。まだパーカー一枚羽織っただけで十分な気温に疑問を感じながらも午後五時には空が真っ暗になるから、【やはり冬なんだなあ】と実感するにはそれだけで、いいようなよくないようなで迷ってしまう。落ち葉の葉一枚一枚の葉脈だけ荼毘に付した後の骨のようにまばらに残っている。それがまるで黄色いレースのカーテンのように歩道に敷きつめられているので、私はふと、このカーテンを開けて地球の窓から世界を覗いてみたい衝動にかられる。もしかしたら日本の裏側が覗ける

    • 美しい風景を探して

      美しい風景を探して 美しいものがいい なんでもいいから 部屋から飛び出した 小雨が体を囲う マイナスイオンの香り漂(ただよ)って       ああ美しいな 本屋に向かう 整頓された本棚  平積み 短冊(たんざく)置き あいうえお順 印刷の香り漂(ただよ)って       ああ美しいな スーパーに行く 見慣れた景色 安売りの値札 試食販売の香り漂(ただよ)って       ああ美しいな 帰り道 父親と息子の会話が聞こえる カラスが歌ってる ほら大きな巣がかかっているよ ほんと

      • 漠たる不安の家

         夫は女を作っては、会社をつぶす。もう二つ目だ。この家は、私名義になっているので、担保に取られないで済んでいる。調度品も私の好きな物で統一されていて、自分では気に入っている。夫の物は、夫の部屋にすべておさまっている。私の普段いることの多いリビングなどに、彼の存在を示すものは無いのだ。  私には長男、長女で二人子供がいる。どちらも、もう十分な大人になった。良く育ってくれたと思う。二人とも、都心部に自分名義のマンションを持っている。買い与えたのはもちろん夫である。  夫は浮気

        • 毒母の死

           私にとって毒親の母が介護老人保健施設で死んだ。  遺品を整理した。  携帯電話のメールの履歴を見た。  母の誕生日にいくつか送られてきたメールのうち既読がついていたのは私からのだけだった。  私のあの「お母さんの勝利だ!お母さん大好き!」という言葉を読んだ母のことを改めて想像して大粒の涙がとめどなくあふれ落ち、とりみだし、まったく眠れなくなってしまった。  泣き崩れ、泣き叫んだ。  「うるさい!あっちいけ!」と怒鳴る母はもういないから、いくらでも泣ける。  「いつまでも泣

        ある冬の日のカーテン

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        • てのひらに乗せたマッチ箱
          3本
        • 虚妄の夢と恋
          12本
        • 換羽の季節
          8本
        • 過去の漫画置き場
          2本
        • 酔生夢死の人生
          3本

        記事

          毒親である両親の金婚式によせて

           私のことを心理的・身体的・教育的(たまにセクハラも)虐待をしてきた毒親である両親の50回目の結婚記念日になりました(2020年1月25日)。  二人のなれそめは、父から聞きました。  ソシアルダンスという二人ががっつり組んで踊るダンスがあるのですが、当時、そういったダンスの会場にいた21歳の公務員として新潟の実家から東京へ上京してきた母と、東京生まれ東京育ちで日立系列の会社員だった23歳の父が出会い、恋に落ちたそうです。  今だと、クラブハウスでウブな男女が恋に落ちたよう

          毒親である両親の金婚式によせて

          おかあさんへ(2)

           おかあさんと会えなくなってから今日でちょうど半年が経ちました。病院に入院して手術後、入院先を3か月ごとに変えては歩けるようになるためのリハビリにがんばっているおかあさんは本当にくじけない強い人だと思います。  おとうさんと今は二人暮らし状態ですが、たまに毒は吐くけど基本的にやさしいおとうさんが、まるでおかあさんが乗り移ったかのように私にたいして不機嫌な態度を取るようになってきました。  周りが不機嫌になる原因は、私が先に不機嫌になり怒りの感情を爆発させることにあることを、あ

          おかあさんへ(2)

          紅白の雫

          紅白の雫(一)  埃っぽい街で私は一人で歩いていた。すれ違う人々のカラフルな服装と甲高い笑い声がまるで南国の鳥のようで、静かに様子を楽しみながら冬空の下で私は白いため息をついた。今年はそれでも、暖かい。私は近所のスーパーで購入した安物の洋服に口紅だけをつけた顔に少し幼児体型の身体を持てあましながら、自分自身の姿のみすぼらしさに、背中を心持ち曲げる。余計に年を取った気分だ。そうなのだ、最近になって、自分の年を実感することが多くなってきた。それは逆に、内面の充実を意味するのだが、

          紅白の雫

          心の翼(文芸社「闘病記Ⅲ~心のエール~」に応募した作品)※落選

          「クロちゃん、死んでくれてありがとう」 心の中で呟いて、私は一つため息をついた。  僕は桜文鳥のクロ。この築三十年になる古いマンションに、まだ産まれて三か月目にやってきた。飼い主は、統合失調症を患っている女性で年は三十二歳だった。統合失調症ってどんな病気だろうって、僕が知るはずもない。飼い主はよく脚立を持って玄関に突進して、父親に腕をつかまれては、泣き崩れて「死にたい。あいつらを殺してやりたい、私はダメな奴だ。負け犬だ!」と叫んで、わあわあと大声で泣いていた。僕はそれを鳥

          心の翼(文芸社「闘病記Ⅲ~心のエール~」に応募した作品)※落選

          怒りを忘れたら思い出は輝かない

          空さえ遠慮するくらい 周囲に怒気を放ち血走らせて睨む 捕食する訳でもなく殺めたいだけの、 今/思い出 はいつからか分母ばかりが増えた 今//// に布をかぶせておこうか 今今今今今 兵士の行進する先に、 文明/人間 はいつまでも打ち消し合うのか 海が凪ぐような雨雲を与えられることのないように 一羽の影が赤い葉となり落ちることもない、 空白を空白で埋めるべくして生まれた魂などはなく タオルを押し付けた瞼の奥に点滅する淡い光は 隠された怒りを照らし始める。

          怒りを忘れたら思い出は輝かない

          あなたはインテリゲンチャにとっての被検体

          地下室からもれる方眼紙 それに力の都合を乗せたら 病んだ魂は光速で空を飛ぶだろう 花の蕾は恥じらいながら膨らみ 鳥は新芽を喜びながらついばみ 樹々に潜む病んだ魂は色づくだろう 街はいつまでも人を待ちつづける 沈黙は定規で図る絵空事 少女の魂は病みながら笑顔になるだろう 傘は歯に入れている 涙は口に降り 足先は汚水でむくみつづけるだろう 地下室からもれるスープ状の文字 それに裏の朝日を沈めたら 病んだ魂は凍えて地中に隠れるだろう あなたはペンです (初出:P.N.小

          あなたはインテリゲンチャにとっての被検体

          なにくそ!

          ゴミだのクズだの言われてもいいんだ 私は価値のある人間だと信じているから! そのために他人の承認などはいらない! 自分は自分、他人は他人なんだ 私は誰に何を言われても生きてきた これからも寿命尽きるまで生きる 誕生日おめでとう! 誰も祝ってくれない、みんな自分の記念日ばかり祝って欲しそうにする 私は嫌われ者だけど自分のことが好きだよ それでいいんだよ、それで 最後に頼れるのは自分だけ! それでいいんだよね

          なにくそ!

          運命を感じてる

          心配させて不安を取り除いてもらうことで愛情を感じていたいの 私のことが嫌いになるのは当たり前だから 死にたいなら死んでもいいと私の意思を尊重してくれる気持ちに驚く日々 誰かのためにしていることはすべて自分のためだということは分かってる 誰かが私にしてくれていることはその人自身のためだということも知ってる 「あなたのためだけに!」なんて詐欺師の手口に惑わされるほどウブじゃない 何かが私に侵入してきているのはそこに隙間があったからだろう 私は扉を固く閉じようとするが鍵穴が壊れ

          運命を感じてる

          失恋5

          意気地なしの花びらが言えないことを乗せて君の唇に触れている 話かけられたことすべて肯定か否定かで判断するなんて あいまいな結末を望まないのは自殺しようとしているようなものだよ いつだって君にとって春は燃え尽きた冬の屍でしかないから埋めてしまおう 地中から芽吹くのは新しい命かもしれないけど道化師は空から落下するだろう 心も身体も踊る広場で目を交わせば始められたかもしれない 心も身体も眠る個室で目を閉じ合えれば終わることもできたかもしれない 君にとって夢の交差点で手を離した人は

          失恋4

          死んでほしいと願えないくらいに 愛と交換しながら君を想っている 傷つくから言わないようにしてほしいという言葉を知るたびに 優しい人以外になれない理不尽さを君は分かっていない その理不尽さを、かわいいと思えたなら、 私のことを、かわいいと、思ってくれただろうか 君のことを100%否定する言葉を持てるだけ 一緒にいられたならよかったのに 君のことを100年かけて嫌いになるほど 一緒にいられたならよかったのに そうできたなら、「愛してる」の言葉で君を裏切れたのに 聞こえない声 

          おかあさんへ

           「おかあさん、ありがとう、大好き」そう言いながら抱きついた私を抱きしめ返してくれましたね。でも、「私も大好きよ」とは言ってくれませんでしたね。代わりに、「おじいちゃんもおばあちゃんもあんたのこと可愛がってくれていたじゃないの、だから大丈夫よ」と言いましたね。既に鬼籍に入った人達は確かに私を可愛がりながら亡くなりました。けれども、今生きている人には嫌われているように感じて辛く苦しく生きづらい思いをしているのが現状です。生きているのが辛いです。  私の生きづらさはどこから来た

          おかあさんへ

          風邪治りましたが、花粉症になりました

          こんにちは。 先日の記事に風邪をひいていることを書きました。 2週間くらいほぼ寝たきりでしたが、ようやく治りました。 そうしたら、今度は、花粉症の症状が現れました。 花粉症もこじらすと、呼吸困難になったりして大変な目にあったことがあるので、気をつけたいと思います。 皆様も季節の変わり目ですので、ご自愛くださいませ。

          風邪治りましたが、花粉症になりました