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予備試験合格にガチで必要な勉強時間

「予備試験に合格するにはどれくらい勉強時間が必要ですか?」
「一日何時間勉強すれば合格できますか?」
このような質問をたまにもらうことがあるし、動画で見かけたりすることもある。

それだけ受験生にとって関心があるということなのだろう。

私自身は、勉強時間にこだわることには否定的な立場なので、あまりこの件について深く考えたことはなかった。

そもそも人の能力にはバラツキがあるし、集中力にも差がある。誰かが〇千時間で受かったことは自分が〇千時間やれば受かることを意味しない。

しかし、それでも、予備試験合格に必要な勉強時間の下限を知ることに意味はあるような気がする。下限を知ることができれば、それを自分の状況に照らし合せて、大雑把な目安をつかむことが可能になるはずだ。例えば。○○時間が下限なら、自分はそこまで容量がよくないからその2倍はかかるだろう、という具合に。

そこで、今回の記事では、その下限、つまり予備試験合格に必要な最低限の必要な勉強時間を考察してみたい。「予備試験合格」の定義としては、「論文試験で合格者平均レベル」を考えることにする。予備試験論文でいうと、200位台をイメージすると良い。「10回中10回合格できるレベル」と「2回に1回合格するレベル」ではあまりに差が大きすぎるため、中間値である「合格者平均レベル」を採用した。

勉強時間を算定する方法として、今回は理論ベースで算出した時間と経験ベースで算出した時間を組み合わせて結論を出すことにしたい。なお、「下限」を算出したいので、現実的に存在し得る最も容量のいい受験生が最も効率的な教材と講師を使用した状況を前提とする。

1理論ベースの勉強時間


予備試験の勉強は論文と短答に分かれるが、まず論文から考えていこう。
理論的には、インプットをなくし、初めから過去問を周回するというのが最速ということになる。そして、論点を一通り網羅するためには少なくとも平均して各科目30問が必要と仮定する。なお、実務基礎科目は勉強時間が圧倒的に少ないため、1科目にカウントしない(選択科目含め合計8科目ということになる)。そして、最初の一周目は、基本書を読んだり説明を受けたりする時間を含めて1問あたり2時間あれば十分だろう。そうすると、最初の一周目にかかる時間は8×30×2=480時間になる。周回時間漸減の法則に従い、2周目を1時間半、3周目を1時間だとすると、3周するのにかかる時間は480×(1+0.75+0.5)=1080時間になる。3周だと心もとないような気もするが、優秀な人であれば十分に論文試験に受かるはずだ。

次に、短答にかかる時間を考えていこう。これも、短答パーフェクト3周を目安に計算していく。全て解く時間はないので1科目200問だとすると、7科目の合計で1400問。最初の1周は、1問当たり平均10分が限界だろう。そうすると、1周目は1400×(15÷60)=350時間かかることになる。同じく周回時間漸減の法則の定数を使用して3周にかかる時間を計算すると、350×2.25=787.5時間になる。

そうすると、短答と論文合計して1867.5時間が理論上の勉強時間の下限ということになる。

2経験ベースの勉強時間


残念ながら他の受験生の勉強時間データを持ち合わせていないため、私のデータで考えていきたい。

私が法律の勉強を開始したのが4月で論文試験が翌年の7月だったので、およそ15か月の勉強期間があったことになる。大学に復学してから勉強時間が減ったことを考慮すると、一日当たり少なくとも6時間は勉強していたはずだ。そうすると、勉強時間の合計は15×30×6=2700時間になる。

もっとも、合格者平均レベルに到達するだけであればここまでの時間は必要なく、その7割である2700×0.7=1890時間が妥当な勉強時間ということになる。

3結論


何と驚くことに、理論ベースの勉強時間(1867.5時間)と経験ベースの勉強時間(1890時間)がほぼ一致している。念のために言っておくと、これは偶然の産物であり、私は決して恣意的に計算方法を変えたりはしてない。

この計算結果から分かるのは、優秀層は2000時間あれば合格平均レベルに到達できるということだ。一日あたり8時間勉強するとして、250日(8か月10日)の勉強で予備試験に高確率で合格できることになる。

さらに、合格率を下げて、まぐれ合格を狙うなら、勉強時間はもっと少なく済む。半年の勉強でも合格が射程圏内に入りうる。

もっとも、注意してほしいのは、これは最も容量の良い受験生が最良の教材と講師を利用した場合の話である。条件がそろわなければ2000時間×n倍する必要が出てくるだろう。何倍すればいいかは個人差がかなり大きいので何とも言えない。ただ、合格者の大多数は3倍で収まっているのではないかというのが私の個人的な印象である。

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