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短答対策は最大の論文対策である

予備試験受験生の悩みの一つは、短答対策と論文対策をどう両立させるかである。

論文だけでも範囲が広いのに、そこからさらに細かい知識が要求される短答にも時間を割かないといけない。しかも司法試験と違い、7科目もある(一般教養を含めると8科目)。短答をやればやるほど論文に使える時間が減り、論文試験に響いてくる。かといって短答を怠ると論文試験にそもそもたどり着けない… 

このジレンマはどう解決すればいいのだろうか。理想は、短答にかける時間を(落ちない程度に)なるべく減らし、残りの時間を全て論文に費やすというやり方だ。しかし、短答をどこまでやれば合格が保証されるのか分からない以上、このやり方は現実的であるとは言えない。

そこでオススメなのが、短答対策に論文対策を兼ねるというやり方だ。このやり方だと、短答対策=論文対策になるので、論文対策に避ける時間が少なくなってもあまり痛手にはならない。むしろ、短答をやればやるほど論文も強くなるので、まさに一石二鳥といえる。

このやり方が通用するのは民法、商法などの論文と短答がリンクしている科目に限られる。憲法や行政法ではまず無理といってよい。短答レベルの細かい知識が論文に出題されることがまずないからだ。逆に、民法や商法では論文で細かい条文を聞いてくる場合が多く、そのときに短答対策が大いに威力を発揮する。民訴法・刑訴法・刑法は個人的にはあまり効果を感じなかった。

では、具体的に短答対策と論文対策を兼ねるにはどうすればいいのか。まず、短答の過去問の中で、論文に出そうな分野とそうでない分野の2つに分ける。例えば、商法で言えば、手形小切手法、持分会社、計算あたりは論文でまず出ないので、優先度を下げる。このようないわゆる短答プロパーと呼ばれる分野は丸暗記で対応し、なるべく時間を割かないのがポイントである。場合によっては全く対策しないというのもありだろう。

そして株式会社の中でも出資、役員、株式発行などの論文でよく出てくる分野は重点的に復習する。ポイントは、短答問題集の解説をみるだけではなく、分からないところを基本書や論文問題集を参照するということだ。このような勉強をして初めて短答対策=論文対策といえるようになる。短答問題集の解説を読むだけでは、知識はつくかもしれないが「理解」には至らない。基本書や今まで使ってきた論文問題集と照らし合わせてようやく知識が自分のものになるのだ。

このプロセスは非常に時間がかかる。ただ短答問題集を回すだけに比べて何倍も進みが遅くなるだろう。しかし、先ほど言ったように、短答対策=論文対策である以上、時間がかかっても問題はない。もちろん全科目に手が回るようにペースを配分する必要はある。

私が予備試験の論文で好成績がとれたのは短答対策によるところが大きいと感じている。特に、短期合格を目指す人にとって、短答対策を有効活用できるかどうかは合否を左右するといっても過言ではない。

「短答に受かるだけの勉強」は無意味である。目先のことに囚われず、優先順位をつけて短答に取り組む姿勢は全ての受験生にとって重要と言えるだろう。



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