見出し画像

マインドフルネスを実際にやる!②自分と他人の幸せを同時に願う

他人の幸せもマインドフルネスの中で願うことが最大の特徴

 さて、正しく映画館の外に出るために、前回はまず自分の身体に意識を向ることをやってみました。そして、その次に大切なこととして、そのままの自分を癒やしていくのではなく、古い自分は最初に一旦脱ぎ捨てて、リリーフピッチャーとしての私を意識することをやってみました。

 その次の3番めは、正語、マインドフルネス本来の正しい言葉を口に出してみることです。

 言葉を使って自分に暗示をかけることは、催眠療法などでもよく使われる方法ですね。みこちゃんは実は中学生の時に自己催眠療法をマスターしていて、今でも、横になるとほぼ一瞬でかなり深い催眠状態に入ることが出来ます。その時も言葉を唱えるのです。

「右腕が重たい」→(途中省略)→「額が涼しい」と、第1段階から第6段階までありますが、自律神経が完全に整います。ストレスも無くなり、心が落ち着き、とても創造的になりますね。
 大学病院で脳波も調べてもらったこともあるのですが、禅僧と同じ脳波が出ているらしいです。今度また機会があれば書いてみます。

自己催眠療法で自律神経をチューニングするみこちゃんの図

 仏教マインドフルネスはみこちゃんの知っている自己催眠療法の言葉とは違った、極めて仏教的な言葉を唱えます。


3.正語 (right speech)

映画館の外の文脈でしゃべること

 如是我聞。ここで、自己流のマインドフルネスや、いきなり八正道の第7番目から始めてしまう身体リラックス技法としてのニセマインドフルネスではなく、もともとのマインドフルネスである仏教で大切な「慈悲」の言葉を唱えます。

 仏教では「慈悲」をこのように考えています。

「慈」はmaitrī、「悲」はkaruṇā の訳語。仏語。衆生をいつくしみ、楽を与える慈と、衆生をあわれんで、苦を除く悲。喜びを与え、苦しみを除くこと。

 つまり、自分に楽しみを与え、同時に他人に楽しみを与える(慈)。そして、自分の苦しみを取り除き、他人の苦しみも取り除く(悲)ということですね。

 この、自分だけが楽になる、というではなく、同時に他人もまた生きているのが楽になる、毎日気力が充実して楽しく生きていくことを願う、というのが正統的な仏教マインドフルネスの特徴です。

 書籍から引用してみましょう。

「私が幸せでありますように。私が苦しみから開放されますように」

「この人が幸せでありますように。苦しみから開放されますように」

「生きとし生けるものが幸せでありますように。生きとし生けるものが苦しみから開放されますように」

『「マインドフルネス×禅」であなたの雑念はすっきり消える』P232-234

 最初の「私が幸せでありますように。私が苦しみから開放されますように」というのは分かりますよね。普通のマインドフルネスはだいたいこれです。

 でも仏教マインドフルネスの特徴は「この人が幸せでありますように。苦しみから開放されますように」と「生きとし生けるものが幸せでありますように。生きとし生けるものが苦しみから開放されますように」です。

 何で人の幸せや、生きているものすべての幸せを願うのでしょうか。余裕があったらやろうとか、自分だけじゃ道徳的にあまり良くなからでしょうか。

 違います。精神論ではありません。

 他人や、この世の中全部の幸せも願わないと、自分が幸せになれない。リラックスできないのです。そこには、精神論ではなく明確な理由があります。

 なんちゃってマインドフルネスでは絶対にそこは理解できません。つまり自分のリラックス、自分の幸せのみを追求するニセマインドフルネスでは、「今に集中するぞ!」とマインドフルネス瞑想もどきをやっても本当に精神が落ち着くということはないのです。

 この精神論ではない、明確な理由を次回、これら本も使いながら詳しく見ていきますね。いずれも有名な本なのですでに読んでいる方もいらっしゃると思いますが、みこちゃん解釈でやってまいります。

自己は仏というスローガンばかりが先行し、メソッドのはっきりしない従来の日本の仏教「仏教1.0」、メソッドははっきりしているがテクニックとスキルに走るテーラワーダ仏教「仏教2.0」、これらを超えた〈仏教3.0〉を目指す二人の仏教僧と、一人の哲学者の鼎談集。大きな反響のあった『〈仏教3.0〉を哲学する』のコンセプトを引き継いで、今回は仏教の実践における他者と慈悲の問題を、瞑想実践での体験や哲学の理論を通して論じる。

Amazon紹介文より

お釈迦様が説いた「慈悲の瞑想」をフルバージョンで詳細に解説!解脱の智慧をひらく慈しみの実践を、真に理解するための一冊です。

Amazon紹介文より

2022年1月に惜しまれつつご逝去された世界的な禅僧ティク・ナット・ハン師。
本書は、ティク・ナット・ハン師が設立したヨーロッパを代表する仏教の僧院であり、
瞑想センターである「プラムヴィレッジ」で実践されているマインドフルネスの実践法です。
マインドフルネスとは「今この瞬間に気づく」こと。
歩く、座る、働く、食べる、話すなど、 日常のことがそのまま、マインドフルネスの実践ににつながります。
Googleなどの世界的企業も取り入れている超実践的な方法です。
瞑想を知りたい、実践してみたい方にとって、まず手に取っていただきたい一冊。

Amazon紹介文より

 それでは、次回から数回、正しいマインドフルネスにとってとても大切な「慈悲の瞑想」について考えていきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?