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2023年、買ってよかった山道具4選


 お気に入りの山道具は、山で過ごす時間を豊かにしてくれる。

 自分の感性に合う道具があることで、気分があがるのはもちろんのこと、行動中のストレスが減る、動作が時短になる、などの嬉しいことも。

 そうすると、山を楽しめる時間が増え、さらには自分の力を最大限発揮できるようになる。

 なんと、いいことづくめなのだ。

 あなたの傍にも、使っていて愛おしくなる道具はないだろうか。

 私が山道具を選ぶ上で大切にしているのは、自分の感性に合うこと。つまりはフィット感だ。それは、道具が肌に馴染む感覚で、ずっと前から手元にあるような、慣れ親しんだ使い心地がある。

 過去にいろいろな道具を試しては、メルカリで売ることを繰り返してきた。この「フィット感がある」という感覚は、その結果得られた自分なりの最適解だ。

 何か合わない感覚がしこりのように残っている場合、仮にどんなにいい道具だとしても、結局使わずにお蔵入りになってしまう。

 だから、山道具は滅多に買い足さない。同じものを、くたびれるまで何度も使う。それが、山道具にまつわる私の決め事のようなものである。

 今年もたらふく山の空気を吸い込み、たくさん山で遊んだ一年だった。その山歩きを支えてくれた今年のニューフェイスたちを、今回ご紹介しようと思う。



①モンペズボン|アウトドアウェア


 一二の用品店が手掛けるモンペズボンの特徴は、腹巻きのようにお腹周りを包んでくれるゴム紐と、おやつがたくさん入る大きなポケット。

ねじりきな粉が入ってます


 一着一着自然な風合いの色で染められていて、そのカラーによって「草」や「炭」などと命名されている。

 根強いファンがいるブランドで、何本もリピート買いしている方が多い。

 私の周りでは、モンペズボンを気に入って履いている方が多く、数年前からその存在は知っていた。けれど、他に気に入って履いていたトレッキングパンツがあったので、特に求めることもなかった。

 今年になって、登山中に化繊と肌の摩擦による痒みを覚えるようになった。そこで「ゆったり履けるズボンが欲しいなぁ」と思い始めたことをきっかけに、このズボンを試してみることにしたのだ。

 なんとなんと!それが予想以上に心地よい履き心地だったのだ。

 生地が柔らかくて、肌に優しく寄り添ってくれる。けれど、決してやわくわない。アウトドアへの耐久性があり、生地が簡単に破れることもない。

 私はこれを履いて、北アルプスの北穂高岳や剱岳にもガンガン登っていった。

 北穂高岳の山頂では、「それモンペズボンですよね!?」と若いカップルに声をかけられた。

 シルエットがすごくいいと褒めてもらい、照れながらもお礼を伝えた。「なかなか買えなくて…」とも話されていたが、一着一着をハンドメイドで丁寧に作っておられるので、仕方がないかもしれない。

 (ポップアップや店頭販売をしている店がいくつかあるので、販売については店舗のInstagramやHPでご確認ください。)

 大量生産ではないところが、人が本来持っている「物を大切にしたい気持ち」を引き出してくれるのだと思う。


 自然の中で、街の中で、そして日々の生活の中で着られる、自由度の高い衣服がほしい。そんな中で頭に浮かんだのは、かつて日本で広く普及していた労働着、もんぺです。主に女性の野良着とされていたもんぺは大変動きやすく機能的で、造りにも無駄がありません。そのもんぺの良いところをそのままに、現代の生活に合った形に見直しました。

一二の用品店 ㏋より

②ローンピーク7|トレッキングシューズ


 登山では、専らトレイルランニング用のシューズを愛用している。

 軽くて、足が柔軟に動かしやすく、水に濡れてもすぐ乾くところがいい。

アルトラのローンピーク7

 

 登山道を歩いていると、時々舗装路を歩かなければならない時がある。

 一般的な登山靴だとソールが硬くて舗装路は歩き辛い。けれどトレイルランニング用のシューズだと、ソールが柔らかいので、そういう場合も楽に歩くことができる。

 だからトレイルランニング用のシューズには、多様な道に柔軟に対応できる良さがあるのだ。


 そして今年はシューズを新調した。

 愛用していた靴を手放すことには勇気が要ったが、ボロボロになった靴を履き続けるほうが、トラブルの元になると考えた。

 結果、それがとてもよくて、苦手だった下り道を、新調する前よりもスイスイ駆け下りれるようになった。登山は靴選びがなにより大事だと、初心に返ったような気持ちになった。

▼靴選びのことに関する記事は、こちらもご覧ください



③折りたたみ傘|レインギア


 今年の新しい試みのひとつが、「山で傘を使う」こと。


 山で傘を使うと良いという話は、以前から聞いたことがあった。けれど、本当に使えるのだろうかと疑心暗鬼だった。


 そんな時、知人が「樹林帯で傘をを使ってよかった」という話をしてくれた。

 山登り経験が豊富で、ギア選びにも精通しているこの人が言うなら。「これは試してみる価値がある!」と思い、11月の2泊3日の熊野古道で試してみることにした。


 持って行ったのは、雑貨屋さんで見つけた108gの折りたたみ傘。これが、めちゃくちゃいい役割を果たしてくれたのだ。


⁡ この2泊3日の熊野古道の山歩きでは、小雨やあられに見舞われた。天候が不安定な中、パッとザックから取り出して、サッと傘をさす。

 この慣れ親しんだシンプルな動作のおかげで、降ったり止んだりする雨を嫌にならずに対応できた。どちらかといえば、傘で雨やあられをしのげている優越感があった。

 ただ、これができるのは樹林帯が多い山域ならではだ。稜線に出た途端、横殴りの風がびゅうびゅうと体に当たったからだ。傘は、いとも簡単にひっくり返る。

 だから、一時的な雨が予想されている行程や、宿泊を伴う登山で1日だけ雨の日があるなど、状況に応じて、セパレートタイプのレインウエアと合わせて使うのがよいと思う。

④トレールアクショングローブ|手袋


 登山の手袋の悩みといえば、終わりがないところだった。直接岩を触って登ったり、泥がついて洗うことがあるので、どうしても耐久性が落ちてしまう。

 それに、適度な温度に保つことが難しく、手が汗ばんできてすぐに脱ぎたくなり、でも風があたって寒くて…と、脱いだり装着したり。いい塩梅の手袋が見つからないのが常であった。

 今年新たに購入したのが、アウトドアメーカーのモンベルが手掛けるトレールアクショングローブ。モンベル店員さんと相談して購入したのだけれど、これが、晩秋~春先にかけての肌寒い気温の登山にちょうどいい。

 内側が起毛していて、肌馴染みがよく温かい。活動していると脱いでしまうことはもちろんあるが、それは体温調整のうちのひとつ。適度に汗が抜けるので、着用によるストレスはなかった。

 冬の低山や、雪山でも大活躍してくれそう。

 ちなみに、私は末端冷え性なので、雪山登山中の手先の冷えが尋常ではない。これをモンベル店員さんに話したところ「手袋をいくら極厚にしても、冷えは解決しない」と断言された。

 結局、内側(体温)から温めないと、手先は温かくならないのだそう。なのでそういう時は、手先を動かすことが効果的だと教えてもらった。手袋でなんとかしようとしていた私には、この上ないアドバイスだった。

 ちなみに、冷えにも効果があるインナーグローブは、しいて言うならウール入りの手袋だそう。一応、これは今後試してみようと思い、購入しておいた。

 

おわりに



⁡ 行く山が決まったら、その登山に適当な山道具を選択する。日帰りなのか、宿泊を伴うのかによって持っていく道具は異なるし、標高の低い山と高い山でも必要な道具は違うからだ。


 こうして、行く山域によってギア選びを変えることは、快適な山旅を叶えてくれる。また、自分の必要な道具を知れば知るほど、荷物の量が減り、より歩きやすい重量へと変化していくだろう。

 道具選びで何より楽しいのは、ピースが「カチッ」とはまった時のような感覚が味わえること。それはつまり、自分の求めていることと絶妙にフィットする瞬間だ。

 こうして、ちょっとした工夫がうまくいったとき、思わず心の中で、ひとりガッツポーズをしてしまう。


 楽しく快適な山歩きのために、「マイベスト山道具」の探究は、これからも続く。

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