見出し画像

山ペンギン45 辻󠄀はやばいよ。

「歩き疲れたわねー。」
主任が肩で息をする。

「ダメですよ、辻󠄀で停まっちゃ。」

「お前達の迷信、私には刺さらないけど…」

劉さんがため息を付く。
でも、中国でも辻󠄀は化け物の出現場所だろ…。

オレたちは山を降りて、普段通らない裏道を歩いているが、なぜかその本道に何本もの細い道が交差して、本道のどの位置も「辻󠄀」になるのだ。

辻󠄀に休むことは危険だと言うので、歩き通しなのだが、歩けば歩くほど、クロスする道にばかり出会って…

なんでこんなに脇道が多いんだ…。

だんだん怖くなってきた。

「私は最初から怖いよ。」

劉さんがつぶやく。
劉さんが怖いって相当だな…

「いや、お前の無計画が怖い。」

大変申し訳ありません。

とうとう主任が座り込んだ…

「なんでこの道こんなに遠いの?」

確かに。
山に来たのはこれが初めてではない。

裏道とは言え今までも何度か通った道だ。
こんなに長かったか?

見たことの無い道…
これは…

彼岸との狭間の道…

我々は知られざる世界の中に…

「何してるんですか?こんな所で。」

女神登場。

「隣町に歩いて行くおつもりですか?夜が明けますよ?」

えっと…。

これこれしかじかと女神に話すと。

「…一番最初の別れ道、間違ってますわ。」

劉さんに殴られたが、彼女のポケットマネーでタクシーで家まで帰った。

先輩というものはこういう時にありがたい。

ちなみにイマドは普段の道を使ってホバークラフトで帰っていった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?