見出し画像

真鍮の鎧

似合わないと

はぎ取られた私の鎧

褥の向こうに置き去りにされ、

私はあなたの視線を纏う。

あなたの指は私の中に、

私の両手を束ねる左手には、

懇願するたび力を込める。

空は臙脂に、群青に、そして漆黒に。

鎧と鋼の刃を探し求めていた両手は、

やがて、あなたを探り始める。

漆黒の夜はまだ長く、

暁の茜まではまだ遠い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?