要守のうた
その土地を守るために生まれた私。
その場に起こる災厄を一身に背負う。
焼ける心、凍える涙。
己に起こるその不幸、
そのすべてが厄払い。
山を見つめて吹き下ろす風を受け、
川を見つめてあふれる水に足を凍らせる。
水面を見つめて、映る自身は
涙を浮かべた笑顔ばかり。
その場にとどまり、要となり、
力尽きれば人柱。
水が来るやら、山が来るやら、
分からずとも己のさだめだけは分かる。
生きては要(かなめ)
死しては人柱。
とどまるだけの人の杭。
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