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Jack Frost

「We have a visiter.」
ほぼ毎朝紅茶とビスケットをベットまで届けてくれる旦那さまが、マグカップをサイドテーブルに置きながら言った。
また、キッチンにDaddy long leg (脚の長い蜘蛛)でも居たのかと思ったら、初霜のことだった。

気温はグッと下がったけど、素晴らしい快晴で、ガーデン日和。お友達と王立公園に行く約束をしているので、ニンマリ。ラッキー。

寒いけど、風もなく素晴らしい日。しかも早めに着いたので、週末の園内はまだ空いていた。
秋色に紅葉している木々。美しい枯れ葉の絨毯。久しぶりに見た黄色いイチョウの葉など、木の実をついばむ小鳥たちを眺めながら、ゆっくり歩く。見上げると真青な空に薄い綿毛のような雲。

キッチンガーデンの片隅に積まれていたカボチャたち。

クラフトフェアを覗いて、出店しているお友達とちょっとおしゃべりし、色々な作品をあーでもないこーでもないと言いながら眺め、ちょっと気に入った品を物色し、カフェで休憩していたら、あっという間に時間が過ぎた。

クラフトフェアで見つけた画家さんの商品。布に印刷してランプシェードとかクッションカバーとかになってて素敵だった。

一緒に行った縫い物友達はスコットランド人なので、ちょっと気をつけていないと言葉を聞き逃してしまう。でも、なぜか一緒にいて楽なので、おでかけに誘ったのだ。(なのに、彼女が車を出してくれたが。)
私が単なる憧れだけで、「シェットランドに住んでみたい!」とか言うと、「息子が2年間、住んでたけど、冬は日照時間が3時間くらいで、辛いらしいわよ。」って。
来年から息子家族がサウジに引っ越すとか。「孫も行っちゃうのよ。」と、ちょっと寂しそう。でも、彼女も米国などに住んだ経験ありだから、文句は言わないだろうなぁっと思う。我が家もだけど、イギリスの家族は個人の意見を尊重する。子供が地球の裏側に行くと言って、親が反対するとか、聞いたことがない。そういう家庭が多いからか。親離れ子離れができているからか。
それでも、残される方は寂しいんだ。

帰る頃には、真っ白に凍っていた草木が霜を脱ぎ捨て、本来の姿をあらわにしていたけど、太陽は早くも西の空に落ち始めている。今夜も寒くなりそう。

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