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2016 June フィリピン滞在記#2

1日目ーー2016 06 03 金曜日
成田からの夜間飛行。前回は満月がきれいだったんだけど、今回は素晴らしい雷を見た。思わず同行のタカハシくんと盛り上がる。

11:50pm着。。。って、ほとんどもう日付またぎ。タカハシくんが安いアンドロイド買ってきたから7日300phpのSIMを突っ込む。海外がほぼ初めてで英語も出来ないというけど、距離をとってじんわり観察してる限り大丈夫そうやん。かわりに暗算およびGPSとボディガード(鍵しめてへんけど荷物に南京錠くっつけとくと抑止力になる的な)として機能してもらう予定。

さっきまではひどかったという渋滞はマイルドで、クラクションも前回ほど聞こえなかったが、空港行きはひどいもの。高架鉄道の終電は10:30pmぐらいだとか、私たちが出立する独立記念日は、店も空いてるしさほど変わったこともなかろうと運ちゃんにきく。クーポンタクシー870php。実直そうな若い運ちゃんで、おつりおねだり攻撃もなく気持ちよく下車。前も泊まったFersalにチェックイン。

1:30amぐらいだが 無職・イン・エクスカーションがこのまま寝るとかありえず、1リットルサンミゲルで乾杯。それも足りずに50phpの缶ビール2本ルームサービス。JKさんから朝食のお誘い。旅の始まりだ。

2日目ーー2016 06 04 土曜日

CubaoのFeral Annapolis (また来たよーって言ったらフロントのお姉さんがニッコリしてくれた)で朝飯食ってジプニーで Jk Anicocheさんちに出勤。ここでも豪華ブランチ。疲れハイのJKさんとゾンビごっこして自撮りw 
集った人々と軽く自己紹介して交流。6月1日から始まっていたのだけど、私にとってはここからがアート、パフォーマンスとソーシャル・イノヴェーションを標榜する「KARNABAL FESTIVAL2016」 http://karnabalfestival.com の始まり。ゲストアーティストもプロデュース側もインターンも垣根のない感じがいい。私は観客代表、かな?

午後は石神 夏希 (Natsuki Ishigami)さんの「SOMATO」2日目。
英単語でSOMATOというと「体細胞」とか「膨らむ・膨張する」みたいな意味があるらしいんだけど、当然違って、日本の「走馬灯」のこと。お盆に出すアレ。そして死ぬ前の一瞬のメモリー。

十七歳の高校生たちと影絵を作った午後。会場のPappet Museoは、長らく閉鎖されていた人形劇劇場を開けて今回のメインヴェニューになっている。あちこちに可愛らしい装飾があってグッとくる。飾られている文楽人形ぐらいのサイズのパペットはホセ・リサールなどなど。日本から送られたらしい日本人形(藤娘かなにか)も飾り棚にあった。
でもここが暑くて!大型扇風機が頑張ってくれてるけど、参加者がかなりいて照明もあるので途中フラっとしちゃいました。が、こんだけ汗かきながら若い子とキャッキャいいながら聞き取れない英語に苦労しながら「死生観」にまつわるパペットを作っていくのが、楽しかったですね。本当に体験のレイヤーがいくつもいくつもある感じ。

疲れるからこそ一休禅師の「IKKYUーー人生は生まれてから死ぬまでの一休みの時間」というサブテーマも生きてくるわけで。。。休憩時間、CGNの美味しいコーヒーとともに回されるクッキー。「わー、お葬式みたい!」と反応する人々。私は制作過程から石神さんの日記のファンで、フィリピンの習慣と休憩を重ね合わせて葬儀の雰囲気を出すのは彼女の狙いだと知っていたので、一人内側で盛り上がりましたw。

「日本にも夏にハロウィンみたいなんがあって、そのときに走馬灯を出すんだよー」とか喋ってた。
私が年長なので「娘や息子さんはいるの?」ときいてくれて「いないよ」っていうと、一瞬「ちょっと悪いこときいたかな?」な空気が生まれる。カソリックだからこそ?女性はある程度の歳を経ると子供をもつのが普通、という体感があるっぽい。でもそこで空気ごまかさないであれこれお話しするのが楽しみなわけで。私は自分の教員体験とか喋ってたな。ステージの上、パペット操演のアイデア出しとかしながら。

一緒に組になってくれた子たちは、学校で影絵芝居をやっている人々なんだけどーーこの「人々」という言い回しがJKさんとか、グレイトな通訳 Kei Tairaくんの日本語からうつっちゃったーー走馬灯式ではなくOHPを使うらしい。だから和紙(だよね?とても美しい!)にLEDのペンライトで影絵を移すやり方は、彼らにとって新しかったのかも。壁しかない家に住んでるんだものね。

昭和育ちの私にとっては、もう子供時代の夏の夜は「影絵やろうぜ!」って花火以上に大好きな娯楽だったからなぁ。セロファンとか使ってパペット使って障子に映して親とか弟に見せてたな。あーー、すんげえ楽しかった!思い出した!俺のガキん頃、辛いことばっかじゃなかった。楽しい美しいことも確かにあったぜーー!って不必要にラップしたくなるほど、ここでも一人内側で盛り上がるw

でも和紙の障子が当たり前に家にあったのは、時代とか私の家族の住環境がもたらしたもので、当時からそういう家に暮らしてなかった人はいたわけだし。どちらにせよいまのマンション建築では影絵の楽しみはけっこう工夫しないと得られない、かな?

もっといろいろ書きたいけれど、果てしなく日記が長くなるから、石神さんの日記がおすすめです。 http://natsukiishigami.com ここの「フィリピン日記」を読むと、SOMATOの辿ってきた曲がりくねる道が見えるし、その他フィリピン社会の、街の、人々のことが石神さんの眼と心を通して見えてくるので好きなんですよね。

喉からっから!すわ熱中症? びーるびーる~~ と唱えつつジプニーでCubaoへ。行きつけのAlan’s Grillに行こうとして迷いまくり無駄歩き疲労頂点! 筋金入りの方向音痴でGPSぶっこわれてるNEXUS6に比べれば、まぁまぁなGPS標準装備の タカハシ タカカーン セイジ (Seiji Taka Khan Takahashi)に期待、しようにも彼はあのバー行ったことないしなぁ。で、ガードマンに道聞きまくる。だいたいどこでも3人ぐらいに聞けば辿りつける。

辿りついたら Riki Takeda武田力先生が明日のレクチャーパフォーマンスの準備をされていた……のだがSan Miguel Pale PilzenとFarmer’s Oysterでお邪魔しちゃった。日本人建築家の名前がどうしても思い出せなくて苦しんでたんだけど、あとから考えたら磯崎新氏でしたね。


3日目ーー2016/06/05 sun.

やっぱり旅のはじめは早くに目が覚めちゃうな。7時前にはMEGA Qmartでハードウェアをお買いもの。生きてるかわいい猫と、眠るように行き倒れている猫を見る。私の理想の死。Cubaoの路上で行き倒れたい。

お部屋にもwifi、コーヒーお代わりありの朝食、冷蔵庫、エアコン、トイレットペーパー、コップとマグカップと湯沸かし器。。。至れり尽くせりで一泊1440phpのFeral Annapolis から、KARNABALのvenueに近いMAYA RESIDENCE INNに移動。KARNABALをしゃぶり尽くすには、やっぱ近くがいいよねってことで。たまたまデラックスな部屋(2250php)しか空いてなかったけど、安い方(1990php)が空いたら移動できるってことで。

Cubaoが動物の臭いのする街だとすれば、Teacher’s Villageのあたりは植物が薫る。高い梢から降る蝉のシンセシス。

今日のお昼はRiki Takeda による『An Octopus is an Octopus, but it is a Japaese』のプレゼンテーション&パフォーマンス。武田力が俳優、というかチャーミングなカリスマをもったタレントだと思うのは、たどたどしいタガログでの自己紹介でつっかかったり途中でカンペ見ちゃったりする「可愛らしさ」がたこ焼きを焼く仕草にも発揮されるとこ。ダンスのように、でもさりげなく。右手で「返し」を持ってクルクルするあのたこ焼き動作が、屋台のにいちゃんとは違う「素人」っぽさで観衆を惹きつける。「アイドルがたこ焼き焼いてる!」的に、観衆がスマホカメラを掲げてたこ焼き器に殺到する。それもこれも、事前に語られた、えぐくもグロテスクなレクチャーがあったればこそ。

底流にある戦争と、食べて生き延びることへの語り。だからこそ笑うしかないのか?------あとでりっきーと 藤原ちからさんがフィリピン人の笑うポイントについて喋っているのが興味深かった。「日本人は戦争の話になるとおし黙るしかないんだけど、フィリピン人はむしろ笑っちゃうしかない???」

いかようにも深められる話題を瞬時に英訳していく(適宜タガログ?)Kei Tairaくんは、とても詩的な通訳をやってのけていて、それは彼のイマジネーションと努力、彼のもつ三つの言語それぞれへの愛着あればこそ。
彼は日本語でしゃべるときは主に前で手を組んでいる。英語に切り替わると「私」という時、必ず右手のひらを心臓のあたりに当てる。言語が呼ぶジェスチャー。可視化されたカルチャー。

今日の主演俳優は、武田くんが早朝のマーケットでやっと見つけてきた小ぶりなタコ(美味しかった!)のはずだったんだけど、実際はKei君かな?
彼が訳そうとするところで武田くんが「じゃあ、これについてはkeiくんの意見を言ってもらいましょう」と揺さぶってくるので “プレゼンテイター、通訳者” の関係性は瞬時に融解して “演出家、俳優” となる。その気はさらさらなかったのに、主演俳優にされちゃってるkeiくんは、昨日の石神さんの『SOMATO』で「なんか面白いことあるらしい」とワークショップに参加してたら出演しちゃった!っていう楽しい想定外の連続。ひとつ間違うと暴力なんだけど、それを嬉しい驚きに着地させるのが監督や演出家の役割かと。それが旅の中だけでなく、日々にもたらすのが私の憧れなのだけど。。。

Sarah Salazarがくしくもいったように「Rikiのcooking show」は、タコの肌のように噛み応えのあるプレゼンパフォーマンスでした!実際たこ焼きもめちゃ美味しかったし。

たこ焼きをツマミに、いただきもののSan Miguel Pale Pilzenとよく冷えた白ワインをいただく。ClydeがBrandonを紹介してくれる。三三五五ひとびとは「犬のパフォーマンス(Dogprov!)へ。私は「入力過多を避ける」の法則を適用して昼寝することにする。220Vのパワーでフルスイングする扇風機。それでも首筋に絡む毛髪。雷鳴、夕立。ついこのあいだ5月に来た時は乾季で猛暑だったのに。なるほど、雨季ってこんな感じか。しかしスコールの後が爽やかになる感じはないね。蒸し暑い。昼間の気温は平均して33度見当。

夜はPappet Museoで『Emancipation of YenYen de Sarapen The Concert』を見る。Adrienne Vergaraとboyfriendで舞監さんのSigmund Roy Pecho(詩具。日本語猛勉中なので日本名がある)には、彼女のマスコットショー(ま、着ぐるみですね)がいかなるものか、前回来た時に動画見せてもらったりして情報を得ていたのだけど、それでも話にきくのと実際に見るのは大きく違うわけで。

「痛い大人になりたくない」と言って物議をかもした日本のタレントがいたと思うんだけど、生きること=痛みを伴うのが当然で、それ感じなかったら「すでに死んでいる」だわ!と、私なんかは痛みに引き裂かれそうになる夜昼朝にいつも思う。これからは突き刺さった瞬間、ステージ上で戦いを繰り返すYenYenマスコットのイメージを参照して楯とするでしょうね。
途中アクシデントもあったのに、YenYenのパフォーマー根性に脱帽!

その後、Russ Ligtasの「D’ORACLE AT DELPILAR」を見る。月が美しい。Russ本人はもちろん、あらゆるしつらえが美しい。と同時に妙に投げやりでテキトーなとこも混じってて、そういうところがいいんだよな。ミュージシャンたち(グッジョブ!)の服装とかw なんでもかんでもおそろいにしなくて、混ざりあってるところ、フィリピン的と私が感じるところかも。そして美しいもの、完成度の高いものって、意外と後まで残らないんだよなぁ。。。

その後fling houseへ行ったらYenYenも元気に飲んでたし、人がいっぱい!隣に座ったNess(今日の午後まで「Ness」ってどの人のことかしら?なんて思ってたのに)と旦那さんのジプニーマスターRalphとジャパニメーションの話とかしてるうちに、なぜか私のサウンドアートの話題になったと思ったら、向かいに座ってたTeresaが前のめりに反応してきて「セイジも一緒に何かやったら? 11日にopen micがあるわよ。え、その日はもう帰っちゃうの? あー、うーーん、じゃあ火曜日にClydeとDavidのshowがあるんだけど、その後できないか聞いて見るわ」。。。って、どんだけ即興精神やねん! 

てか、こういうこと、いままでにもよくあったなぁ。NYCとかで。とりあえず持ってきてる音の出るものは録音用に持ち歩いてるカセットテレコぐらいだから、NYで思いついて制作したやつをやろうかなってぼんやり思う。これ、その後LA、日本、カナダでテレコ4台編成とかでやったけど、今回は1台しかないから出来ることするしかないな。
みんな楽しそうに飲んでるけど、疲れハイなはずで、そこに新しい要素が割り込むのはとても迷惑なはずなんだけど。ややこしいことを楽しんでいく!は、今年の自分のテーマでもあるので、逆の立場になったときも、楽しんでいきたいものだね。学ぶわ、若い人々から~~。

4日目----2016/06//06 mon.

起きてグループチャットを作る「明日ほんとにパフォーマンスとかやっていいのかな?やれたら嬉しいけど!」って、英語で海外でグループチャットするの初めて。基本FB嫌いを標榜してるけど、こういう時は便利ですね。

今日はいよいよ 藤原 ちから氏の「演劇クエスト」初体験。集合時間までホテルでパフォーマンスのアイデア出しとかして過ごす。みるみる曇ってくる空。こりゃあ雨だなぁ。
#‎engekiquest については、ちからさんの「冒険の記録」 http://engekiquest.blogspot.jp に詳しいのでそっちに譲りますが、いやー迷った迷った! 誰かNEXUS6に正規のGPSを搭載して7にアップグレードしてください。そうすると寿命も延びるしw

集合地点の川辺のバー(ここでもよく調べずに手前のバーに入っちゃうという集団行動ミスりやすいNEXUS6の仕様がw)でバケツ入りSan MiguelにRed Horse。Red Horse派の人も多いけど、濃いだけに「二日酔いになりやすいんだよ」という人がちらほら。私も同感、てか、めっちゃ疲れた時は味より何より水みたいなのがやっぱりしみる!

土砂降りの中、Keiくん(マリキナ在住)が教えてくれた新作靴フェア(郵便局前)へ。わー、かわいいサンダル!自分にお土産~。それにしてもすごい雨だ。なんとかトライシクルでSantolan駅にもどる。ここからは電車を使った Alon Segarraのパフォーマンス『Tren』があるのだ。なんとTinderを使った出会い系!観客はみんなストーカー!仮想の「彼」を待つ間、素晴らしい雷が至近距離に落ちる。これ以上ないぐらいの豪雨。マリキナの人たちはどんな思いで、こうした気候に触れるのだろう?

神の怒りに触れそうな、Santolan>Recto>Anonasの旅(LRT LINE2)。結局待ったけれどTinderの人は現れなくて、映画の仕事をしている知り合い?がブッキングされた模様。Alon、もともと美しい人だけど、こういう場ではなおさら美が勝ってみえる。ふと目を離したすきに二人は会話を初めている。横の席が空いているので座ってみる。なんてことのない会話? 声が小さい。こっちも疲れて聞き取り能力が劣化してる。眠くなって少し寝た。むしろ周りの乗客まで、すべてが設えられた演劇に見えてくる。フレーミングの仕方って、いろいろあるけど、さりげなくてキワキワでよかったわ!(途中、丹羽氏の「88の質問」のことも少し頭をよぎった。Tinderの彼が来たら、どうなっていたんだろう?)。

Anonas駅から雨の中TOMATOKICKへ。別に何を食べるというわけでもなくビールを。このあとMagitingでは『Warning : Adult Content』(Bernadette Uy & Sarah Salazar)があるというので行ってみる。のっけから英語テストがあって緊張~。でもあるべきよね。だって、アメリカンな出会い系サイトの「中の人」(圧倒的少数派である女性)になるためのレクチャーですもの。参加者、私を除いて全員男性。洒落んならん現実(妻に不満をもってる年寄りのおっさんの愚痴メールを日に何通さばくか!)と、恋と性にまつわるファンタジーの物語空間の上手なやりとりのコツetc… 勉強になるなぁ~。でも今日は入力過多やったわ。ご飯も適当やったし、反省!!

5日目ーー2016/06/07 tue.

毎朝更新される #KARNABAL2016 の「今日の出し物」欄にうちらのことを載せてくれている。
「With special performance by MIE―Mushoku in Excursion ― Yuko Nexus6 & Takahashi ’Takakhan’ Seiji”」 Blacksoup Cafe and Artspaceで8PMから(こちらの人は20hって書かない。必ずAM/PM制)。

とりあえずどんなところか見に行ってみよう!ってことで、Blacksoupにごはん食べに行く。タカハシくんが頼んだ日本蕎麦(かた茹で)に白身魚のフライとマンゴー!他野菜とかトッピングしたのが絶品! これ、絶対やってみよう~。日本じゃマンゴーが高いから、リンゴとかかな? 秋なら熟柿もいいわね。あと、酸味にピンクグレープフルーツ使ったサラダとか(御子柴さんレシピのに似てる)。いい感じのサイズ、なつこい子どものBlack catがいた。

ぼんやりと準備するようなしないような時間が流れて、あっという間にサウンドチェックの時間。とりあえず必要なインプットとアウトプットを伝えたら、あとはすることないし……ここで大ポカを一つ。イントロで鳴らそうと思ってた原曲を、ちゃんとwifiのあるところで落としてなかったのだ。タカハシくんのwifiでテザリングを試みるも遅すぎてダメ。あー、バカだよなぁ~。気に入らないけどボーカル物(サラ・ヴォーン)が一曲スマホに入ってたので、それを使うことにする。結果、こっちの方がよかったわ。

昼間のガランとリラックスしたカフェ風景とは一転して、時間になると押すな押すなの人々が。リハの時からめっちゃ「ナーバスなのよ!」を繰り返していたClydeが物陰で練習してる。彼女のBioが気に入った---- a part-time lover and a full-time friendーー私もこうありたいわ! MIDI Dollになりきるディーヴァ、大好きよ!

Davidの「What I will Do To Win Foreignoy」は痛い男子、痛いガイジン、痛いヒト。。。つまりは私が一番好きな種類のパフォーマンスで。「こんなかで俺、いっちゃん白いよね? これ以上白かったら透けてまうで」って、この感じ。私だってフィリピンではガイジンなんだけど、私みたいなピノイのおばちゃんはあちこち歩いてて、タガログ下手でも「地方出身かな?」と思われてるのかもしれない。逆のことを私が白人社会や黒人社会でやってみたらどうなるのだろう? 最後はかあいいフィリピーノ(Sipat Lawinの面々)たちと踊り狂う祝祭。

で、私のは以前NYCで「週末パーティがあるから、何かやらない?」と言われてて、んー、パソコン+MAX/MSPてのもなんだかなぁ。。。と思案してたら、地下鉄路線図を見て閃いたのだった。この「A Trainて、めっちゃ有名な、私が幼少期に大橋巨泉のジャズ番組(AM)から聴き続けてた、あの曲の題名? これのことやったん!?」て電撃が走り、ご当地もの(A線でハーレムへ)としてやったのだった。A線でハーレムへ行くことを褒め称えるって、あちこち旅して土地褒めしてビールおごってもらう芭蕉的生活ですね。歌詞はネットで拾ったけど、譜割りがわからなかったのでシカゴのキャロルに電話して(当時Skypeなんてものはない)、通話をカセットに録音して何度もきいて練習して。。。まどろっこしいことをやったもので、自分のパフォーマンス自体はその時どきでその場の空気に混ざって揮発するんだけど、Satanicpornocultshopさんがリミックスしてくれたの( http://www.nunulaxnulan.biz/nnnrelease.html の「Billboard Head Soup」)があって、それが自分の声とは思えないほど素晴らしく引き伸ばされているので、おすすめです。

トリにやったタカハシくんは、タカハシくんの「気持ち悪さ」がよく出てて、いいパフォーマンスだったんじゃないかと思いますよ、いやマジで。https://www.youtube.com/watch?v=CsNUqBkitLw で見られます。

6日目ーー2016/06/08 wed.

今日の #KARNABAL2016 は「Tok! Tok!」。ホテルのバンケットルームを借り切ってのコンファレンス。といっても固苦しくなく、座ったり寝そべったりごはんやオヤツを食べながら参加できるように工夫されてる。Papet Museoから運ばれてきたらしい照明がシアターっぽい雰囲気を生んでいて、Wikaのイラスト(拡大して看板にしたのはRalph)ボードとか思いっきりあれこれ持ち込み演出してる。いつの間にやったのかなー、この人たち、いつ寝てるのかなー。。。でも、1時間以上押して始まったらしく、Tang Fu Kuenさんの基調講演他、いくつかもの予定が翌日回しになったのは残念。

ほぼ事前情報なしで行ってみよーっつって、基本英語&フィリピン語の場に飛び込むのは冒険で、楽しめたし勉強になった。英語の聞き取りはシャレにならないレベルなので、気になった単語をパワポから拾ってメモっていく程度だけど。PINOY RAP BATTLEのBLKDはさすがにラッパー(音楽と言語が不可分)で、フィリピン語なのに通訳不要で伝わってくる! 彼と、貧困地区に演劇を持ち込むSining Kadamay、フィリピンにおけるパフォーマンスアートの歴史をまとめてプレゼンしてくれたEileen Legaspi Ramirezさんのパネルが特に勉強になった。フィリピン語だけのプレゼンの時には、近くにいるスタッフが小声で英語に訳してくれる。自分たちも仕事あるのになんて親切なんだ!てか、日本で私らが招く側になった時、出来る?「おせっかいかも。日本語わかるのかも」なんて理由をつけて声かけられないんじゃない?気をつけよう。

日本からのアーティストのパネルには、ケイくんの翻訳がつく。この時点で時間が押せ押せなので、皆さんの緊張感が伝わってくる。そして、質問がいつも聞き取れなくてコメントしようがないのだけど、この日はどのパネルでも同じ人(2、3人)が質問してて。。。ちょっとカオスな展開になる部分があり。でも、そこが今日のトークの中で一番即興的で面白かったのだけど。作品を「説明する」レベルから、場の空気を繕わないで「大事なことは伝えないと」っていうレベルへと踏み込む現場を見られたから。

しっかしワイヤレスマイクって、ほんっと信用できない。音響担当のスタッフが途中から有線マイクに切り替えたのは正しい判断だったんだけど、これも接触不良でいちいちノイズがのる。こういうの聞いてる人間以上に話す側にストレスがかかるんじゃないかなぁ。気にしない人もいるだろうけど(音きいてない人ってほんと多い)大事なことよね。

カンファレンス終了と同時にPappet Museoにかけつけ、Ninya Rosylle Bedruz の「HAPO(N)」。午後の日差しと「疲れ」の二重の意味を込めたタイトル。最高の理系ロマンチシズムを感じてうっとり。「ここはもうちょっとクールに決めたほうが……」ってところもちょいちょいあったのだけど、大好きな“状況を作る”系の作品。

その後同シアター3階に移動してBoyet de Mesa「LAB KO KO」。終わるなりタカハシくんが「思い出した! マクド食って燃やす人やっ!」と叫んでたけど、そう、私もネットのどこかで評判をうっすら聞いたことがある気がする。でも、それと実際に目の前で行われるパフォーマンスを見るのは全く別物だな、と思った。世の中の全てを実地に体験することはできないし、とりわけ私は見聞きするもの読むものの量が限られているから、実体験する機会と、そこで自分の中に沸き起こることを大事にしなくちゃいけない、と改めて思った。Boyet氏の語りがフィリピン語なので、横にいたスタッフがすかさず英訳してくれた。またまた感謝!

Flying HouseでゾンビっぽいBrandonと遭遇。疲れすぎててビールも飲めない、水だけ。。。って言ってた。私も疲れたまってるし早く帰った方が。。。と思ってたけど人々が三三五々集まってくるのでずるずる居残って、お会計締めたのにまたSan Miguel頼んじゃって、そのうち店内に座り込んで家呑み的に飲んだりしゃべったり。。。するうち、見るとBrandonはビールを飲み、最後は晩御飯もちゃんと食べてた。よかった~。

7日目ーー2016/06/09 thu.

昨夜Flying Houseに来た女の子たちから買ったサンパギータ(4つで20php)が、しおれつつ枕元で甘い匂いを放っている。この手の花はしおれた方が芳香が際立つ気がする。石神さんの「SOMATO」を見ていなかったら、私は買わなかっただろう。作品の外で私を動かす、そういう表現が私にとってのContemporaryだな、と思う。

が、朝から絶不調だ。とうとうやってきたジェットコースターの下り。持病の双極性気分障害のうつ病相。昨日まであんなに元気だったのに、だだ下がる自己評価&極小妄想。今回特にパニック的にきつく、朝ごはんの席で号泣。もはやここまでくると、パフォーマンス。

こちらではガードマン兼ドアマンがポピュラーで、ドラッグストアでもスーパーでも防犯かたがたお客様サービスでサっとドアを開けてくれる。日本だったら「ドアを開けるだけのカンタンなお仕事」とでも揶揄されそうだけど、フィリピンのガタイのいい制服のドアマンには “誇りと充実” が感じられる。仕事ない(お客に動きがない)時は喫煙したり歌ったり仲間としゃべったり楽しそうにしてる。だから退屈もうんざりもしていないだろうけど、多分今日のドアマン氏にはかなりの話題を提供したと思うーー「中国?台湾?韓国?とにかく親子で泊まってる二人がいるじゃない。お母さんの方が泣きながらごはん食べてるんだよね。息子と喧嘩してるのか?と思ったけど、そうでもなさそうだし。突然笑い出したりするしねー。うーん、外国人って不思議ねー」なんちて。

どこでも「Your son?」ときかれるタカハシくんは長らく(といっても1年半ぐらい)のバンドメイツなので、私の躁鬱には慣れていて冷静にコメントをくれる。
「前にフィリピン来た時は気ぃ張ってたから鬱にもならなかったんでしょう? それだけこっちの日常に馴染んできたってことですよねー」
そーだよねー。で、なぜか死にバナになって「死ぬ時どの程度痛いんだろう?」とかあれこれしゃべってるうちにパニックは治まってきた。持参のよくきくお薬(大塚製薬エビリファイの液剤)を飲む。

今日も「Tok! Tok!」のコンファレンスがあるのだけど、二日連続というのはtoo muchな気がしたから遠慮。タカハシくんが「しんどかったらホテルで休んでたら」と言ってくれたけど、こういう状態で引きこもるとダメ妄想の波状攻撃にあって危ないとこまで行ってしまうので出かけることにする。そうだQuiapoに行ってみよう!

ジプニーでCubaoへ。こっから高架鉄道がスジなんだけど、そろそろ滞在日数も先が見えてきて、なんとなくジプニーに乗りたい気がする。もう午後だし渋滞するのはわかっているのに、どうにも乗りたくて乗る。結果、Quiapo Churchの近くまで1時間半のジプニーライド! 夫婦と息子(運転手)、孫(客引きの声を上げる3~4歳。可愛い)というファミリーな経営で、観察してると面白かったし大満足だったのだけど、長身を折り曲げて乗ってたタカハシくんは、かなり早い時点で気分が悪くなっており、まじ申し訳なかったす。

もう3時を回っていたので、98Bに行ってみよう、ということに。マーケットを通り抜ける。小腹すいたし、茹でトウモロコシを買う。「Magkano Po?」とたずねたら「ten」ではなく「sampu」と返ってきて感動!通じた!!
前回の時よりも買い食い力が上がってる気がする。慣れないと買い食いするにも躊躇してタイミングのがすけど、今回は食べたい飲みたいものがすっと買える。こういう変化は、不安と妄想が底に流れる意識を時々せき止め方向転換してくれるのでありがたい。

1Fのアートマーケットでお買い物して、98Bのオフィスを訪問。Anjoくんが親切に応対してくれて、中西美穂さんの横にサインを書かせてもらった。近くの別館(ウィンドウギャラリー)の展示も見せてくれて(これがまたよくて! 私が日頃散々世話になってる路上のガードマン氏)、Markさんの目玉アミュレットを購入して辞去。来てよかったな。

中華街から戻ってGolden Mosqueに行ってみる。下半身は靴と長ズボンで固めておいたのだが、スカーフ忘れた!! 中に入れなくて残念。。。でも、信者でもないのにやたら中を見たがるのも抵抗あるので、これでよかったと思う。地球の歩き方には「治安が悪い」とばかり書いてあるところだから、もちろん用心するのだけど、ムスリムの人たちのマーケットを眺めて歩くのは良かった。ここでも露店のジュースを飲む。ジェリーとかフルーツがいっぱい入ってるやつ。

午後ずっと歩いてたようなもんだが、不思議と疲れは感じない。時々すごいスコール。やんだらやんだで蒸し暑い。でも心地よい。前を歩いてるお兄さんが、突然腕を広げ、踊るような振りで歌い出す。楽しい街だ、マニラって。Recto駅へ到着。Cubaoへ。

Cubao ExpoのAlan’s Grill再び。6時過ぎてるからフードやってるかと思ったけど、7時からやった! どうしてもFarmer’s Oysterは食べたいよねっ。とりあえずSan Miguel をガブガブ飲んで空腹を紛らわす。暮れゆく空。この店があるってだけで、Cubaoに住みたくなってくる。7時と同時にめっちゃ催促してOysterにありつく。Teresaのパフォーマンス、8時半からだよね? ジプニー捕まえようにもFare View/Litex行きが一番混んでる時間。メータータクシーだ! 運ちゃんに交渉。「メーター+50で行く」という。ん、こういうのもアリなのか? ナシとしてもいまは急いでるし。。。乗り込む。なんとか間に合った!

Teresaの「We Are What Movies Told Us We Should Be」は、音だけのシネマ。昨日のNinyaによる「光だけの劇場」と対照的。。。というか、うーーーん、これはお金を払うよりも、うんとフィードバックしたいと強く思ったので、ブランクチケットはブランクのまま。

#KARNABAL2016 でとりわけ大きい社会実験が、このブランクチケット制。入り口で白紙のチケットを渡されて中に入る。出る時に払いたい金額を書き込み、お金とともに受付スタッフに渡す。感想も書き込めるし、さらにいうと対価はお金でなくてもよい(私は、人によっては自分のCDを渡すようにしていた)。

これ、日本の投げ銭とどう違うの?って言われそうだけど、投げ銭だと見栄だとか誰がどれぐらい払っていたかがバレるっていうか、互いにヘンに意識したり監視したりする場合がある気がするーーその解決策が、野良で行われていた「おひねり」かな。あれは祝祭っぽさもあった。でもその場の空気に支配されるから、投げ銭が集まりやすいパフォーマンスとそうでないものに分かれるかも。。。なんしか、対価を払うことがクールに切り分けられているので、時間をかけて払う金額を考えてもいいし、いいやり方だと思った。そのシステムを毎回司会に立つ担当者が観客にしっかり伝えていたのも印象的。

Teresaがやろうとしていたことが、私には読み取れなかったので、たまたま来ていたKeiくんに解説してもらう。やっとわかった!やろうとしていることは面白い。けど、アウトプットがそれにふさわしくない気がしたから、これは何としても彼女と話したい。たまたまKeiくんも以前Soundのコースで彼女がメンターだったこともあり、感想をいいたいというので一緒にTOMATOKICKへ。彼がいてくれたおかげで、私は伝えたかったことをきちんと言えたので、本当にありがたかった(自分の英語力は、ほんとうに足りない。Teresaも英語よりはタガログの方がよいみたいだったし)

Teresaのお友だちも集まっていて、なぜかそこでウルフルズの「大阪ストラット」 https://www.youtube.com/watch?v=rGtnAp8KZ_8 をyoutubeで見ることになり。。。って、私とタカハシ君が大阪だからやねー。みんなも大阪においでや!

いやぁ、しんどくも楽しくて長くて充実の1日でした!

8日目ーー2016/06/10 fri.

もう1日寝ると帰国ですよ~。ホテルの朝食券があと2枚しかない。。。切なくなっちゃうなぁ。
昨日よりははるかにマシだが、それでもちょいちょい脳内に暗黒が忍び寄ってくる。こういう時に一番いいのは、軽作業。渡比前に依頼しておいたチラシのデザイン案がpdfで送られてきたのでスマホで受信、ぽちぽち一本指入力で校正。wifiはホテルのカフェとロビーのみ。。。いやぁ、けっしてノマド向きの環境じゃないんだけど、ひと昔前だったら考えられなかったよね、こういうやりとり。成立しちゃうんだもん。 7月30日に大阪でやる報告会のチラシ。よろしければいらしてくださいな→ https://www.facebook.com/events/1636164553295690/

とにかく午前はホテルでダラダラ。カフェで新聞見てたら一面トップはナボタスで「トライシクル洗おうとしてた運転手が海におっこちちゃってさぁ大変」(でも助かったらしい)。で、その下に物騒なバラバラ事件の記事。驚いたことにかすかにモザイクかかってるけど、遺体写真が。以前、某所でスキャン奴隷wをやってた時、アーティストの趣味でよく遺体写真をスキャンしてて、それがきまってタイかメキシコの雑誌だったので、まぁ「メメントモリ」が好きなお国柄っていうのはあるのかな、と思ってはいたんだけど、フィリピンどうなんでしょう? まぁ、人々は死を語らないのかもしれないけれど、死が近いのは事実だと思う。

お得なお買い物をしにいく、という人々についていく。MEGA Q MARTのあたりは前回はとにかくよく歩いたので懐かしいっていうか好きだな、やっぱ。マーケットの中の粥屋を探したんだけど、お粥は朝だけ? それともいつもの方向オンチ? とにかく美味しい食堂でシニガン他、遅めの昼ご飯。

そこからとある劇場へ向かう。私のfbプロフィール写真にもしている古い巨大な映画館。観客がとにかく少なかったので、頭の中でフィクション化されたイメージに比べたら売店のあたりなんか高い声でおじさんたちがしゃべってて、明るい雰囲気だった。ヤバいのかヤバくないのかをはかりかねて、私は居眠ったり苛立ったり、ややこしいことになっていた。場としてはとても好き。でも、やっぱり「間違えて入った」感は否めない。世界にはいろんな意味で女人禁制な場所があるんだな、と改めて感じた。そこを侵してはいけない、というか。。。

夜はもう一つの「劇場」を見る。Ness Roque-Lumbres の「Mousetrap:Anti-Hamlet」。私が保有している微小なシェイクスピアについての知識をこれまたバグだらけの英語聞き取り能力と(少しスペイン語も入っていた)滞在が長くなるごとに好きになるタガログの響きで、おそらく誤った方向に増幅し楽しんだ。途中「Para」の語源についてのシーケンスがあったと思うんだけど、あの、ジプニー降りる時に必ず使う「Para」? 三人の俳優は「Para!」と叫びながらバッタバタ動き跳ね回り寝転がる。わかんないんだけど面白い。サブタイトルのある外国語劇は見た事ないけど、ないのいいなぁ、動きと音に集中できるから。
いやぁ、Nessにはfeedback、というかいろいろおしゃべりしたかったんだけど、結局時間切れで残念。ぜひ今度!

あとでRalphが夏希さんに解説していたのをシェアしていただいたので、彼女の狙いは理解できた、と思うけど、私にとってのインパクトは本当に子供っぽい感動とか驚きで。だって「To be or not to be?」っていうおそらくお芝居でいっちゃん有名なセリフを白人男性( Christopher Aronson、名優!)が目の前でしゃべるのを見る体験って、これ、意外と一生ないかもしれないよ。セッティングが変わって後半皆で国歌斉唱の場面とか。いろんな国の国歌斉唱の場面に居合わせてみたくなった。日本とはおそらくどこもそれぞれに違うから。以前、Jkさんに道の名前(Magiting)の意味について聞いたら「英雄っていうか……国歌に出てくるんだよね」っていって鼻歌風に歌い出した時のことを思い出す。そういう時に録音ボタンはいつも間に合わない。消えていく。だから美しいとも。 

9日目ーー2016/06/11 sat.

起きたら朝ごはん。メールとかチェックして予定を立てるうちに昼ごはん。洗濯、散歩、買い物、対話、適宜ビールと晩ごはん。。。という日常って、実は普段とそう変わらない。

話題のカフェTheo’sに行ってみたい行ってみたいと思ってたけど、行ってみたら前回大統領選の後でアイスを買った店だった。ここで約半年フィリピンに滞在しておられた Riki Takeda先生が帰国の途に。あんまりセンチメンタルにならない別れっていうのが素敵。

私たちだって、今日の夕刻には空港に向かわねばならない。それまで #KARNABAL2016 をしゃぶりつくすぞ! 13時から演目が被ってる。どちらに行くべきか。。。Nessにオススメされた Isabelle Antoinette Martinez の「Relationship Anatomy」に行ってみる。去年も行われた参加型のパフォーマンスとて、参加者は少ないけど「恋バナをあえてキチっとしたゼミナール方式でやってみる」的な枠のハメ方が面白い。「恋を色に例えるとしたら?」それぞれの参加者の興味深い答え。一番いいなぁ、と思ったのは「黒」ーー急に明るくなるからーー。全編英語なので、集中して聞き取るけれど、やっぱり質問を誤読して答えた部分はあったと思う。それでも、緊張して参加した小一時間の後で、参加者全員が紙切れに書き入れたメッセージが読み上げられる。それが、まるで昇華された詩のように美しく響いたーー「元彼、元カノに言いたいこと」ーーレクチャーパフォーマンス?ゼミ?のふりをしてるけど、やっぱりここはたとえようもなく美しい芸術の場。

それにしても暑い、ビールでも飲んで帰国までの時間をダラダラ過ごしたい。昼飯どうする? Ate Feいこうか……と歩き出すうちに方向感覚が狂って庶民的な地区(人はそれをスラムというのか?)に迷いこんでしまう。トライシクルの詰所、子ども、女性、おじさんたち。賑やかでカラフル。でも、よそ者がダラダラするところでもなかろう。通り抜けるとUPの敷地に出た。タカハシGPSに頼ってなんとかAte Fe(諸江くんの好きな店)でフィリピン最後の飯を食うことに成功。チャプスイ、うまかった。

まだ時間はある。The Scenius Proの「Hear, Here!」どうしよう? 最後まで見られなかったら悪いし、いっそ見ないでおこうか? でも良さそうだし……とPapet Museoの前でダラダラしてたら、アイスクリームベンダーが。例のチャイムを録音していると Keiくん登場。三人で写真を撮った。楽しかった。また会おうぜ〜!

「Hear, Here!」最後まではいられなかったけれど、やっぱり見て本当によかった! 耳の聞こえない人、聞こえる人、入り混じって新しくって親密で楽しいとしか言いようのないコミュニケーション。みんなで拍手しちゃうとうるさくなっちゃうから、手をひらひら。星が降り注ぐような祝祭の表現が静かに静かに場を満たす。なんてことないグミっぽいキャンディを、こんなに味わったことはあるかしら? 好きな香りを選んで持ち帰る。みんなで作る「恋人たち」。愛を伝える様々な方法。シンプルで、これだけ伝わるのかという驚き。サインランゲージ、覚えたいな。組になった女の子はとっても美人で可愛かったので似顔絵を描いた。彼女も書いてくれた。。。Bunny、Eisa、とにかくそこらの人にハグをして、暮れ始め泣き出しそうな天気の中、荷物ピックアップしてトライシクルに越境を頼む。

高架鉄道に揺られるうちに雨が激しく降ってきて、日はあっとゆう間に暮れていく。Taft Ave.駅。駈け出す少年にタクシーを頼む、とこれがメーターではなく交渉。200phpで空港まで行くという。少年に20php。「こうやって使う人間がいるからなくならないんですよね」ーーうん、そうだね。でも雨が激しかったし、結局渋滞してメーターとそう変わらなかったようだ。

結局、今日はビール飲んでないじゃん! しかももうペソ紙幣がほぼないし! 空港のSan Miguelは80phpと高い! えーーーー、ビールぅ!ビールぅ!疲れもあいまってぶっちぎれる。あー、苛立つと近くにいる他人攻撃する癖がいくつになっても直りません。

その後成田から関空へ。関空から西成へ。フィリピナーごっこをしながらスナックで飲み、翌朝は釜ヶ崎を歩くのだが、それはまた別の話!

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