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たったひとつ、その命を大切に

昨夜、眠りに入る直前に悲しいニュースが舞い込んできた。
アメリカのファッションデザイナー、Kate Spadeが自ら命を絶ったと…
まだ55歳の若さであった。
ケイト・スペードといえば、夫アンディとともにブランドを立ち上げ、大成功をおさめた。
デザイナーとして、女性実業家として、とても素敵な女性だった。


娘が小さかったころ、家でできる仕事を探していた私は、ドイツで個人事業主登録をし、日本へ物品販売を始めた。
お洒落よりも、実用性重視のドイツでの商品リサーチは、かなり頭を悩ませた。日本人の好むブランドが、ドイツでは手に入らないことも多かったのだ。
ミニマリストの私だが、毎日ネット上で素敵なアイテムを見続けていると物欲が増してくる。
当時ドイツでは購入できなかった、ジューシークチュール、オーラカイリー、キャスキッドソン、そしてケイトスペードを指をくわえて眺めていた。


そんな中、私たち家族はドバイに旅行に行くことになった。ネット検索をすると、ドバイにはケイトスペードのショップがあることがわかった。
喜びとともに、どの商品を購入するか調べはじめ、可愛らしい時計を見つけた。
「ドバイに行ったら、この時計を買おう!」と決めていたが、残念ながらドバイではその時計を取扱っていなかった。しかし憧れのドバイに来た記念にとケイトスペードのバッグを購入。
これが、私の初めてのケイトスペードとなった。

翌年、私たちはロンドンに旅行した。そこでもケイトスペードのお店を訪ねた。買い物をしなくても、お店の中にいるだけで幸せだった。
そして私は、あの時計と巡りあうことになる。
しかし、せっかく出会えた時計なのに、「今回は贅沢してレゴランドホテルにも泊まったし…」と、主婦な一面が前にでてしまい、購入を諦めた。
そんな私の気持ちを汲み取った旦那さんが、その後こっそりと購入し、サプライズでプレゼントしてくれた、その時計が私の2番目のケイトスペードだ。嬉しい思い出つきである。

しばらくすると、ケイトスペードのiPhoneケースが欲しくなった。お目当てのケースは、もちろんドイツでは買えないし、日本では在庫切れだった。
ヨーロッパ諸国のオンラインストアでも手に入れることはできず、諦めようとしていたところ、旦那さんがヨーロッパ各国にあるケイトスペードのショップに電話をしてくれた。どの店舗も心温まる素晴らしいカスタマーサービスだったが、商品はなかった。
今度こそ諦めなければと思っていた矢先、旦那さんはアメリカにまで電話をかけてくれた。担当者もスタッフからマネージャーに代わり、私たちはマネージャーから最上級の接客を受けた。その店にアイテムはなかったが、全米の在庫を確認してくれ、取り寄せてくれることになった。
問題はドイツまでの送料だった。iPhoneケース本体よりも、高額になってしまう。誰かアメリカに知り合いはいないのかと聞かれ、ハワイに住むディズニーの元同僚を思いだした。彼女が快くお手伝いしてくれたおかげで、私は3番目のケイトスペードを手にすることができた。

そう、私にとってケイトスペードは思い入れのあるブランドである。


一見華やかな世界で大活躍していたケイト・スペード。
そんな彼女にも、成功の裏側には人知れぬ悩みがあったのだろう。

人はそれぞれ、多かれ少なかれ悩みを抱えている。
仕事、お金、健康、容姿、時間、夫婦関係、友達関係…
悩みがまったくない人間なんていないのではないだろうか

人の価値観はさまざまである。
わが息子は、お友達のお家のポルシェに乗せてもらうことに喜びを感じる。
ところが、そのお友達はうちの息子と電車に乗ることが何よりもの楽しみである。彼は普段、公共の乗り物を使うことを禁止されているからだ。
「隣の芝生は青く見える」
お互い、ないものに魅力を感じている。

人間、すべてを手に入れてしまっては、人生の面白味がなくなる。
自分の持っていないものへの憧れがあるからこそ、頑張る意欲にもつながっていくのかもしれない。
けれども、ないものを嘆いてばかり生きていると人生楽しくない。それよりも、今満たされているものに感謝して生きていくことのほうが、充実した人生を送れるはずだ。


親からいただいた大切な命
ぜひ大事にしてもらいたい。
誰かに話し、自分と向き合っていくことで、必ず前に進んでいける。

どん底から這いあがってきた私にはわかる。
長く暗いトンネルの向こうには、明るい光だけが待っているということを。


世界中のオシャレ女子に夢と希望を与えてくれてありがとう。
Rest In Peace, Kate Spade.

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