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隠岐島の隠岐の海

 スーパーに買い物にいって品物を買い物かごに入れ、いつものようにレジに持って行った。キョロキョロあちこち見まわした後、視線を自分が置いたかごに向けるとタイ焼きがひとつ入っている・・・。覚えがない、ついに私も認知症予備軍から正規軍になってしまったか、と少々ショックだが、あのうこのタイ焼きは・・・と言いかけたらレジの人は「お祝なんですよ」という。よそ見した間にレジの人が入れたのだ。何のお祝???レジの人は天井からつりさげられたビラを指さす。そこには「隠岐の海十両昇進おめでとうございます」と書かれていた。認知症正規軍参加のお祝ではなかった。ほっとするやら、おかしいやら。そういえばスーパーのチラシに、十両昇進おめでとうセールと印刷されたいたことを思い出した。隠岐の海は島根県の隠岐島生まれの育ち。県内を本店にするこのスーパーはセールをしてもおかしくはない。
 この隠岐島は自然が残り、古き良き日本の風景を残しているので映画のロケ地になる反面、産婦人科医がいなくなり本土で出産を余儀なくされたり、フェリーや高速艇が本土との島民の足だが、採算があやしく船便をどうするか問題になったりしている、いわば地方問題の縮図のような土地だ。
 暗いニュースが目立つ中で福岡と呼ばれた隠岐島出身の力士が十両に昇進した、という明るいニュースに島も県内も笑顔があふれた。
 県知事は番付をかけ上がれ!と祝福し、島民は万歳を連呼しその姿は地方版のニュースで放映され、主婦は昇進セールで家計費軽減ににっこりしている。でも世の中って「いいことだけ」ではないのが、また実証されてしまった。若麒○の大麻事件だ。なになに、スポーツウェアを着て帽子をかぶってマゲを見えないようにして音楽事務所で大麻を吸っていた、ふーーむ、そのあげく現行犯逮捕。お決まりの親方の謝罪、協会の処分、新聞やテレビの報道がいやでも目や耳に入ってくるので、考えるとどうやら財団法人という協会と親方が取り仕切る各部屋が一般企業のような組織になっていないのが原因の一つのように思われる。それなのに、マスコミ報道は組織のありようを説く。企業のtopが不祥事に対して記者会見で頭を下げることと同じように取り扱う。そしてもっと不思議なのは、各部屋には社会人としての教育マニュアルとその運用がなさそうに思えることだ。今の社会を構成している人たちは、義務教育後、高校や短大専修学校や大学などで集団としての規律や社会のルール、仕事に関する基礎知識を学ぶし企業や官公庁に就職すればその組織での約束ごとを知る。あくまでも外から見ている素人の私の目だが、力士はいったいどのように社会のルールや職業としての基礎知識を学ぶのか、わかりにくい。マスコミも協会も某横綱に品位がないといったけれど、品位の尺度が伝わってこない。初場所が終わったら勝てば官軍みたいにチヤホヤ・・・と辛口の私だが、タイ焼きを食べたら、けろっといつもに戻り、地方紙に目をやると投書欄に関連記事を見つけた。隠岐島町の男性が、隠岐の海が、先場所昇進を逃したときに「ほえほえ頑張れ」と応援する投稿をしたそうだ。ほえほえとは隠岐地方の方言で標準語では「泣き泣き」という意味だそうだ。まなじりをけっして頑張ることなのに何とも優しい感じの表現だ。泣きながら頑張ることなど昨今珍しくなったけれど、泣きながらも頑張ると道は開けると今回の隠岐の海の昇進は物語る。ただし頑張る方向が定まらないと協会も部屋も改革の成果が上がらない。組織の構築や運営方針や努力目標をどう定めるか、がんばろうとする力はたくさんあるのだから、知恵を絞らねばならないわ、と、タイ焼きが小さかったからか、また辛口になる(‘;’)
ゆうこの山陰便りNO.58



 

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