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小児科医が解説する喘息

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は「小児科医が解説する喘息」というテーマで短くお話ししたいと思います。

あなたは、喘息って聞くと、どんなイメージがありますか?ヒューヒュー、ゼイゼイ苦しいもの。喘息については、そんなコメントを聞くことがあります。これは、喘息になると、空気の通り道である気管支の内腔が狭くなってしまうからですね。

そんな気管支喘息って、気道が慢性的に炎症を起こしている状態なのです。「慢性」というのは、「ずっと常に」ということです。気道にずっと炎症があって、気道の中の平滑筋という筋肉が刺激されて収縮してしまうので気道が狭くなってしまうのです。

喘息の対処方法には、呼吸苦があり苦しい時の「発作時対応」と、普段の「予防対応」の2種類が大切です。喘息では、気道に慢性的に炎症が起きているため、「苦しい時だけどうにかすればいい」ということではないのです。苦しくない時も気道には炎症があるため、普段から炎症を鎮める対策が必要です。つまり、「発作時対応」だけでは解決にならず、「予防対応」がとても大切ということです。

また、いくら薬を使用しても、喘息を悪化させるような環境が常にあるようでは改善はしません。例えば、タバコの煙が常にあるとか、ほこりがたくさんあるとか、そういった環境では喘息症状も改善しないものです。

そして、喘息のパターンを知っておくことも大切でしょう。喘息の症状は、日中は軽減して、夕方以降や朝方には悪化する、そういうものです。「日中症状は落ち着きますが、夕方になると症状が出てくるんです。喘息が治ったり始まったりを繰り返しているんでしょうか」、そういった質問をいただくこともあります。でも、それは喘息が治ったり始まったりということではなくて、そもそも喘息症状の出やすい時間帯はそういうもので、その子は喘息症状が続いているという理解です。ですから、しっかり継続的に治療しましょう、ということになります。

喘息という相手を知った上でしっかり対応していれば、怖いことはありません。

今日は「小児科医が解説する喘息」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太
小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて:https://yukurite.jp/)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

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