#夢の話です 001

未来かどうか、わからない。世界の様子は現実と変わらず、だが、どこか違った。夢によくある、朧なものだ。

仲のいい人々が私のもとに集い、数日間の宿泊、および共同生活をしていた。誰もが私を好いたし、楽しんでいた。

そして、その最終日。卒業式のようなものに、私は出席していた。そして演目があった。

「さて、これをもって私の誕生日は終了、もう、完全に別の世界に互いに旅立つわけだ」

演目は終わった。アンコールもこなした。皆、歓喜に沸きながら、解散しつつある。

ふらふらと、心に穴が空いたような気持ちで私は帰宅し、変装して、人の波の中から、掃き出し窓越しにその顔を探した。最後に。最後に顔が見たい。

いない。いない。どこ?いや、そもそも。

「……誰だっけ?」

誰だかはわかる。でも誰だ?名前は、なんだった?顔はよく覚えている。暇さえあれば眺めていた。

とにかく、私は外に出た。小学校の同級生に会った。話しているうちに、思い出した苗字。

それを頼りに、様々な機関を回った。そして得たのは、所属していた場所の情報と、もうそこにはいないということ。彼はどうも研究のため職場を辞めたらしい。

結局彼に会うことは出来なかったが、代理でやり取りをしてくれた人がいた。私の手足のように、身近にずっといて、見守ってくれていた人だ。

私は今回の演目にあたって、秘密裏に開発された義体を手にしていた。義手、義足などではない。ほぼ全身が機械。サイボーグというやつだろうか。

目的の人物の研究対象が義体であることは、わかっていた。私は義体の提供を進言した。だが。

「それでは意味がない」
「そんな!このパーツを使えば、あなたの思い通りのものが出来るかもしれないんですよ!?」
「私は全部位を研究材料として提供します。それが、私の、」
「意味がないんだよ、君。私の目指すものにそう簡単に届いてしまうのでは。自力で辿り着かねばならないものなんだ」

私はただの実験材料にされたとしても構わなかったのに。それなのに。私はどうあがいても、彼の何かになることはできなかった。


失意とともに目が覚めた。考えてみれば別に想いを寄せる人物は存在しないのに、不思議な話だなと思った。

本当はもっと色々ごちゃついた夢だったのだが、それはもう書くに書けないのでやめた。割愛した。しかたないね。

夢の話は普段ツイッターに書くのだが、今回は鮮明かつ長かったのでこちらに書いた。今後もあるかもしれない。以上。

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