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日記 20240416TUE

あちこちでモッコウバラが咲いている。
我が家の庭でも。

何年前だったか、同僚と駅までの道を歩いている時のこと。通りがかったお宅のフェンスにモッコウバラが咲き乱れていた。その様を見た彼女が、「かわいいねぇ。炒り卵みたい」と評したのを忘れられずにいる。

おかげさまでモッコウバラを見れば炒り卵を思い、炒り卵を見ればモッコウバラを思うようになってしまった。どうしてくれる。
改めて苦情を入れねばならぬ。くいと肩を引くいつもの仕草で、不敵に笑ってくれることだろう。

桜が終わり、花水木が目を引くようになってきた。歌の影響か薄紅色のイメージが強いようだけれども、私は白い花が好きである。

建て替える前の家の庭には花水木があった。2階の自室からも、目の高さに花が見えるような大きな木だった。花が咲くと、控えめに広がったスカートのように美しく映える樹形で、グリーンゲイブルズの「雪の女王」はこんな感じだろうか、と見上げながら育った。アンの女王は林檎の木だから、花びらの散りゆく様も雪を思わせたのだろうか。

花水木は秋も美しい。葉は紅く染まり、真っ赤な実をつける。冬は落葉するが、不思議と淋しさを感じなかった。落ちた葉や実の始末にいささか手がかかるのが辛いところ。建て替えのあと、庭に植えることを躊躇ったのはそのためである。

春の宵、夜目にも鮮やかな花水木を前に雨戸を閉めてしまうのが惜しまれて、暗闇に浮かぶ白い花を眺めながら眠りについたことなど、わずかな寂寥を伴って懐かしむ。巣箱を取り付けたら、四十雀が巣をかけたこともあった。

庭木に欲しいもの。
花水木、西洋ニワトコ、山法師。

春の生まれだからだろうか。今頃は息がしやすいと、毎年のように感じている。

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