【書評】 どんな本でも大量に読める「速読」の本

はじめに

速読について面白そうな本があったので読んでみた。

どんな本でも大量に読める「速読」の本
https://www.amazon.co.jp/dp/B00GJVAZ3G

概要

速読のイメージをつかむために読む場合ではなく聞く場合に置き換えてみる。

* 相手の言葉について、1つ1つその意味を確認したり、論理的矛盾がないかもチェックしたりしながら聞く
* 相手の話す言葉の細かいところにはとらわれず、相手の気持ちなども感じながら、まずはいったん聞く

一文字一文字読むのは前者、速読は後者のイメージとなる。

人は何かを読むときに、これまでに自分が蓄えてきた知識や情報、経験などの「ストック(蓄積)」を使って読んでいる。読む速さにはこの「ストック」の量や質が大きくかかわってくる。ストックがない状態だと結局は遅い速度で読まないと理解できない。速く読むためにはストックが重要である。このため、速読技術に重点を置くのではなく、ストックに重点を置いた方が速読力は結果的に速く身につく。

この本における速読術のキモは、同じ本を繰り返し読んで、その本に関するストックを蓄えながら、そのストックを使って速読することである。まずはざっと眼を通して本の特徴をつかむ(ストックを積む)。その次に読むときには最初より速く読めるようになる。1回で終わらせるという意識を捨てることが重要である。

このようにして、繰り返し読むことでストックが蓄積される。1回目よりも2回目の方が速く読める。その次はもっと速く読めるようになる。

これは以下に示す速読の2つの原則に基づいている。

1. 速く読むから理解できる
2. 1回目よりも2回目のほうが速く読める

1冊の本を読むのに時間をかけると最初の方の内容を忘れてしまい、逆に理解ができなくなる。ゆっくり読みすぎると木を見て森を見ていない状態になる。まずは森全体を見る方が理解しやすい。

速読のコツ

30分で本を読みきるときのイメージ

* 「目次」を2分で10回転
* 「まえがき・あとがき」を5〜6分で10回転
* 本文は見出しの拾い読みら入る。3回転くらい。一般的な書籍であれば5〜6分程度。
    ※ここまでで約15分程度。
* 残りの15分で、回転を続けてストックを蓄えながら、だんだんと細かいところに入っていく。
* 見出しを読む中で本文の言葉が目に入ってきて気になった箇所や目次や見出しで興味を惹かれた章を中心に読んでいく。
* このときでも高速で回転させることを意識する。音にしないで見る、わかろうとしないで見ることを忘れずに。

気がつけばじっくりと読んでいることはよく起こる。そのときには、全体に戻って眺めることが効果的である。最初の方はただ見るくらいの感覚で良い。

文字を音にする癖をなくすことが重要

音にするために、一文字一文字に意識が行って、視野が狭くなってしまう。また、音にしようとすることで時間がかかり、眼の動きは遅くなってしまう。

わからない場所にこだわらないことが重要

1. 速く読むからストックが蓄えられる
2. ストックが蓄えられるからさらに速く読める
3. 速く読むからさらにストックが蓄えられる

わかろうとしないで読むコツは、本の内容に共感すること。「そうか」「なるほど」などあいづちを打ちながら読む。著者の意見に賛同するという意味ではなく、著者はこう思っているんだ、というように相手の主張をそのまま受け止める相づちのイメージ。

わからないところを探すのが読書という感覚でいるべき

わからないのにわかったふりをする、わかったつもりになることはダメ。

読み終えた本と長く付き合うことが重要

自身が持つストックが変化すれば同じ本から得るものが変わる。そう考えると読書に終わりはない。短時間で読み終えて何も残らなかった本より、読み終えたあとも長く引っかかっている本のほうが良い。

読書は非常にダイナミックな体験

読書は本に書かれた内容がそのまま脳にダウンロードされるのではなく、読み手が持つストックと反応する。速読とは本を読むのではなく、本を読んでいる自分を読むことである。「本を読んでいる自分を読む」とは、自分の中で起こる、本と自分との反応・共鳴に意識を向け、それを受け取ること。

あえて積読をする

難しい本、なかなか読めない本があったとしても背表紙のタイトルが見えるようにどこかに積んでおく。背表紙のタイトルだけでも日々眺めるとそれらの本との距離が近づく。積読しない人は、自分の読める本や自分の枠の中にある本しか読んでいない可能性がある。積読してしまう本があるのは、チャレンジしている証でもある。

おわりに

この本から自分の中で得たものが大きかったのは、目次を2分くらいで10回転くらい読むこと。今迄、まず最初に目次は時間をかけてじっくり読むようにしていたが、目次であっても何回も回す、ストックを徐々に蓄えていくという発想はなかった。この発想を知ることができたのはかなり貴重だった。


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