【書評】ゼロ秒思考

はじめに

以下の本の書評。

ゼロ秒思考
https://www.amazon.co.jp/dp/B00HQ6O7BO

これは「思考のために素早くメモをとり続ける方法」について記載された本。

メモをとる

思いついたことはすぐにメモを書くと良い。

考えを深め、心を整理する効果的な方法
* 頭に浮かぶことを次々とメモに
* ゆっくり時間をかけない。1ページを1分以内にさっと書く
* ノートやパソコン上ではなく、A4の紙に1件1ページで書く
    * メモを振り返るときや活用するとき、ノートだと並び換えができない
    * パソコンだと絵をすぐ描くことができない
    * 現時点では圧倒的に手書きが優位

メモをとるときの注意点としては、思ったことをすべてそのまま書き出す。こんなこと書いてはずかしいとか、こんなこと書いていいのかな、のようなことは考えずにとにかく書くこと。1分以内でメモを書くからといって雑にかかず、言葉を的確に使うことを目指す。

イメージや感覚を言葉にすることに慣れてくると、自分の気持ちや思っていることをあまり苦労せずに表現できるようになる。また、気持ちを押し殺したり過剰に背伸びしたりせずに、一層自然にうまく伝えることができるようになる。感情のぶつけ合い、どなりあいではなくなる。相手の機嫌を損ねたらどうしようとか、言い争いになりそうでとても伝えられないと思っていたことをスムーズに伝えられるようになると、物事が建設的に進むようになる。

更に、考えを全て書き留めることで、頭の中での堂々巡りがほぼなくなる。物事を考え続け、仮説を立てるなどが自然に行うことができるようになる。

優れた経営者、リーダーはどうして即断即決できる理由は、常にその問題について考え続けているから。必要な情報収集を怠らず、感度が高く、アンテナが強力に立っている。最善のシナリオ、最悪のシナリオも常に考えている。このため、慎重でいながら正確、かつ電光石火ということが充分できる。別の言い方をすると、どんなことに対しても仮説を立てている。また、仮説はすぐ立てることができる。仮説は立てた後で検証し、違っていれば、すぐ立て直す。このスピードが滅法速く、かつ迷走しない。

ゼロ秒思考のやり方

* A4横
* 1件1ページ
* 1ページに4〜6行
    * 経験的に、4つは記載できる
    * 7個を超えると、大事でないこと、レベルの違うことまで書いてしまう
* 各行20〜30字
* 1ページを1分以内
    * 時間をかければ考えが深まるとは限らない
* 毎日10ページ書く
    * すなわち、毎日10分だけメモを書く
    * 1日10ページの理由は、著者の経験則
    * 毎日大体10ページ書き続けていけば、ほぼカバーできる
※1週間ほど(70ページ)で脱落しがちだが強い意思で継続すると力がつく

メモは思いついた瞬間にかくこと。すぐ書くことで頭の働きをよくし、発想をさらに刺激する。後でまとめて書こうとするのは忘れるのでダメ。

何度でも同じタイトル(=テーマ)でメモを書いて良い。昨日と同じタイトルでメモを書いて、今日も同じタイトルを思い浮かんだのであれば、それを記載する。昨日どう書いたかなどは見直す必要はなく頭に浮かんだまま書くだけ。何度も書いていくことで、頭が整理された状態になり、そのタイトルでメモを書こうと思わなくなる。気になっていることも、それへの取り込みもはっきりし、あえてメモを書く必要がなくなるからだ。毎回新たに書いた方が、後で振り返れば、最初のうちに書いたものよりより良い内容になっている。

また、あるメモの各行を、タイトルにして新たなメモを作成すると考えが非常に深まってより整理される。1つの重要テーマに関しては、1ページだけではなく、色々な角度から多くのページを書くと視野が大きく広がる。

ゼロ秒思考で重要なのは考えの背景となる情報である。これがなければ最小限の調査・情報収集が必要となる。背景知識がなければ自己流すぎる判断となり、大きく見誤ることになるため、普段から色んなことにアンテナを立てておくことが大事。

一方、問題は調べすぎることも問題である。どの程度調べれば良いかが分からないとき、以下のようにするとよい。

* 対象の課題・問題点の仮説に対して、取りうる解決案を3つあげる
* それらのメリット、デメリットを洗い出して目星をつけてから情報収集をする

慣れてくると、以下の2つの勘が働くようになる。

* 適切な判断をするために必要な情報を自分が持っているかの勘
* 情報が足りない場合、どこからどうやって鍵となる情報を取ったらよいかの勘

普段から大胆に仮説を出す癖をつけることで、仮説構築のスピードと質は劇的に高まる。そしてメモを普段から多数書いていると、大事なことが見えてくる。大事なことが見えてくると大事でないこととの区別がつきやすくなり、大事なこと意外あまり気にならなくなる。気が散らなくなり、集中力が向上する。

メモ書きによる変化の段階
1. 感情を殺している人
2. 考えてない人
3. 普通の人、一般の人
4. 考えようと努力している人
5. よく考えている人
6. 広い視点から考えようとし、メモもよく書こうとする人。考えが深くなる
7. 頭が常に整理されており、メモに直ちに書き、すぐに課題解決に取り組める人。成長が速く、仕事ができる。

書いたメモの整理・活用

メモは普段は見返さず、3ヶ月に一度整理し、ざっと眺める。さらに3ヶ月後に一度だけ見返す。2回見れば、それ以降見る必要はない。

メモを整理しているときに、同じ内容が2ページに分かれている場合には1ページにまとめ直せば良い。また、情報を足す場合は1ページ追加していく。

アイデア出しや企画書を作るベースとして使うこともできる。関連しそうなメモを複数結合(例えば、親子関係を作ったり等)して活用する。この並べかえの作業をするためには、ノートではなくA4の紙が良い。

おわりに

元々メモは取る方だったが、素早くとることは意識していなかったし、基本的には関連するメモに継ぎ足して書いていくスタイルだった。不思議とメモをとると、とったメモを見なくても記憶に残っていることが多い。素早く何でもメモをとるだけで頭が働いているのだろう。頭の中をすべて書き出していくというスタイルはGTDにも通じるところがある。集中力の向上も期待できると思う。


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