健康も成長も、8時間の睡眠から始まる

集中力について何冊か本を読んだときに、睡眠というキーワードを目にすることが多かった。

そこで、睡眠に関する書籍を読んだのでメモを残す。

書籍1:睡眠こそ最強の解決策である
https://www.amazon.co.jp/dp/B07D3N4NQM
この書籍は睡眠に関してかなり詳しい。睡眠に関して一冊だけ読むとしたらこの本をオススメしたい。この書籍のスタンスは「睡眠は最低でも7時間、できれば8時間はとるべき」である。これ以下の睡眠が続くとどのような弊害があるかについての説明が豊富だ。
書籍2: スタンフォード式 最高の睡眠
https://www.amazon.co.jp/dp/B06XC5BZ4Q
この書籍は睡眠は7〜8時間とらなければならない、という点で書籍1とは一緒(現時点での睡眠研究としては恐らくこれが共通の前提なのだろう)。それに加えて、現代ではやむをえない事情により長時間寝れないときもあるので、その場合どのようにすべきか、という点についても触れられている。
書籍3: 世界のエリートがやっている 最高の休息法
https://www.amazon.co.jp/dp/B01J2ZLLN8
この書籍は、睡眠ではなく休息についての本で、具体的にはマインドフルネスに関する書籍だ。ぼーっとしていてもDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)という脳回路が働き続ける限り、脳のエネルギーが消費され、脳はどんどん疲れていく。このDMNのエネルギー消費量は、脳全体のエネルギー消費量の60〜80%を占めているとのこと。このDMNの活動を抑えることで真の休息が訪れる。

睡眠について

睡眠は心身の健康を保つ最強の薬。食事、運動、睡眠のうち、健康のためにもっとも大切なのは、睡眠。今のところ睡眠が何らかの害になる証拠は見つかっていない。

そして、睡眠不足は寿命を短くする。睡眠時間が6〜7時間を下回る状態が長く続くと、免疫機能が衰え、ガンのリスクが2倍になる。またアルツハイマー病発祥のカギも握る。心血管病、脳卒中、心不全などのリスクも高まる。また、徹夜や寝不足により失われた睡眠は、一度に取り戻すことはできない。

睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠がある。そしてこれらの睡眠には以下の機能がある。

ノンレム睡眠
    ・不要なニューロンのつながりを削除する。
レム睡眠
    ・ニューロンのつながりを強化する。

眠りの最初の方で長いノンレム睡眠をすることで不要なニューロンが多く削除され、脳の記憶スペースが確保される。その後、短いレム睡眠で土台を作る。睡眠の後半では、段々と削る作業が要らなくなり(すなわち、ノンレム睡眠が短くてもOKになり)、細かい作り込みのためにレム睡眠を長くとるようになる。

このようにして、記憶のスペースの整理をしつつ、記憶のカタログが更新される。

8時間睡眠ではなく6時間睡眠にすることで、単純には25%の睡眠が奪われることになるが、レム睡眠としては、60〜90%奪われることになる。

また、浅いノンレム睡眠により記憶のリフレッシュがされる。具体的には、海馬(新しい情報を取り入れる部位)から脳の長期記憶を保存する皮質に移動される。これにより新しい情報を再び取り入れることができるようになる。

上記リフレッシュは睡眠時に脳波に表れる睡眠紡錘波によりなされ、睡眠紡錘波が多いほど記憶力の回復が大きくなる。睡眠紡錘波がもっとも増える時間帯は明け方の時間であり、長いレム睡眠に挟まれている。睡眠時間が6時間以下になると、睡眠紡錘波にきちんとした活動の時間を与えないことになる。

記憶の定着は深いノンレム睡眠(夜の前半)に行われる。記憶の定着時にも短期記憶が長期の保管場所に移動される、すなわち、海馬から大脳新皮質に移動するため、記憶スペースが空く。

睡眠には、眠る前に覚えた記憶を残すだけではなく、覚えてすぐに忘れてしまった記憶を掘り起こす効果もある。

更に、睡眠は運動スキルを高める。ピアニストが、夜中まで練習してもマスターできない箇所があり、マスターできないまま眠ったあと、翌朝になると何故か弾けるようになっているという経験をしていた事例もある。練習が完璧をつくるのではなく、練習と睡眠が完璧をつくる。

運動記憶の場合は、短期記憶から長期記憶ではなく、意識の元で活動している脳の回路に移動される。脳は睡眠の力を借りて、スキルの動きを自動化させている。

スキル習熟の要である、スピードと正確性の向上は、ステージ2のノンレム睡眠と直接的なつながりがある。

8時間睡眠の場合、最後の2時間がカギになる。このため、8時間未満の睡眠はよくない。6時間未満はさらに顕著にわるくなる。

以上、簡単に睡眠による働きについて記載したが、これだけでも睡眠時間は8時間は取るべきと感じる。

なお、書籍2では睡眠の最初の90分が非常に重要と説いている。どうしてもやるべきことがある場合で、8時間の睡眠が確保できない状況下で効率的な睡眠を取るための方法が書籍2で紹介されている。その方法とは、眠気があるならまず寝てしまい、黄金の90分(すなわち睡眠初期の90分)が終了した最初のレム睡眠のタイミングで起きるという方法である。これにより最低条件下で最大限のメリットを得ることができる。

逆に、全てを終えてから明け方に寝ようとしても、以下の点で睡眠の質は確保できない。

・集中していた脳は興奮しており、更に入眠のタイミングを逃しているので、すぐ眠れたとしても、この時間では黄金の90分は出現しない。
・体内時計の働きで、朝が近づくにつれ、体は起きる準備を始める。脳が活性化し、交感神経が高まる明け方にはレム睡眠が多くなるため、明け方に深い眠りをとるのは難しい。

寝付くためのテクニック

・毎日同じ時間に就寝する
    ・最低でも就寝時間を固定
    ・可能なら起床時間も固定
・体温
    ・覚醒時は、新語体温が皮膚体温より2度ほど高い
    ・健康な人は入眠前には手足が暖かくなる。皮膚温度が上がって熱を放射し、深部体温を下げている。このとき皮膚温度と深部体温の差は2度以下に縮まっている。
        ・この変化を助けてあげることが重要
    ・質の良い眠りであれば体温が下がる
    ・深部体温と皮膚体温の差を縮めることが鍵
        ・深部体温を下げる
        ・皮膚体温を上げる
・脳
    ・脳が興奮していると体温が下がりにくい。

睡眠の質を確保するための方法

大前提として 睡眠は、後ろにずらすのは簡単であり、前にずらすのは困難である。

・睡眠の質を確保するなら、まずは起床時間を固定する。
    ・睡眠時間が足りなくても無理やりであっても、起きる時間を決めることで就寝時間をセットする。
    ・14〜16時間ほど覚醒が続けば睡眠圧が高まり、自然と眠くなってくることを利用する。
・次に寝る時間を固定する
    ・毎日は無理でもベーシックな寝る時間を定時にする

どうしても寝付けないとき

余計な思考にとらわれて寝付けないときがある。そのときにはマインドフルネスのテクニックを使うと良い。

自分の中で寝付けないときはまずは以下の呼吸を繰り返すことを実践している。これは集中力を高めるためにも有効なテクニックだ。

・5秒深く息を吸う
・3秒息を止める
・8秒息を吐く

この呼吸を繰り返すことで大概の場合は寝付くことが出来る。コツは呼吸に集中すること。

ただし、呼吸に集中していても雑念が浮かぶことは多い。雑念が浮かんでもその事実に気づき、呼吸に意識を戻すことを心掛ければ良い。

但し、負の感情が発生しているときはなかなか雑念が消えないことが多い。そのときには、まずはその感情が発生していること自体を受け入れ、またその感情が発生してしまっている自分自身を責めず許す。そして、そのときの自分の身体の変化に注意を向け客観的に見直してみる。まずはあるがままを受け入れるという気持ちを持つことを意識する。

起きているときにやるべきこと

睡眠に着目するだけではダメで、どう起きている(覚醒している)かも重要。どう起きているかでぐっすり睡眠が出来るか否かが決まる。

朝は太陽の光を浴びるのが良い。人間の体内時計は正確に24時間ではなく大体24時間である(平均すると24時間と15分)。太陽の光によって体内時計が24時間に調整される。このため、朝起きたら太陽の光を浴びることを習慣づけておく方が良い。天気は曇りや雨でも、体内時計を調整するには充分な効果がある。

また、朝食はしっかり咀嚼できるものを食べること。咀嚼することにより体内リズムに良い影響がある。噛まないと記憶に悪影響が及ぶ可能性もある。噛むことで、三叉神経から脳に刺激が伝わる。よく噛むことは1日もメリハリをつけるのに役立つ。噛まずに食べると、覚醒と睡眠のメリハリがなくなり、記憶もあやしくなり、肥満になる。

呼吸は口呼吸ではなく腹式呼吸を習慣づけること。習慣づけば睡眠中も鼻呼吸になり、いびきも解消する。口呼吸は睡眠の質を下げる。

目覚めのコツ

朝方であれば、レム睡眠の時間は長くなっており、ノンレム→レムの切り替えは20分前後で行われる。このため、目覚し時計は20分前後でかけておく(スムーズ機能は使わない)。例えば、7時に起きるなら、6時40分と7時の2つでセットしておく。

1回目のアラームは、ごく微音で短くセットする。2回目は大きめの音で良い。1回目の時点でレム睡眠であれば、小さい物音でも目覚めやすい。一方ノンレムであれば起きない。大きな音だとノンレムでも起きてしまい、目覚めが悪くなる。

起きたあと、手を冷たい水で洗うと良い。深部体温と皮膚温度の差を少しでも広げるのがねらい。歯磨きを冷たい水でやっても良い(睡眠とは直接関係ない話になるが、歯のケアという観点においては、歯磨きは朝起きた直後に実施する方が良いので寝起きに冷たい水で歯磨きをするのは一石二鳥である)。

おわりに

睡眠は、単純な継続時間で測れるものではなく体内時計と密接に関わりがあることを実験結果などをベースにしっかりとしることができた。睡眠中に、自分の想像を遥かに超えた脳の活動は驚きだ。睡眠をとることで、夜に小人が問題を解決してくれている(解決策を提示してくれる)というのは正しいのかもしれない。


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