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中竹 竜二さんのイベントに参加してきました!

ご縁があって先日都内で行われた、ICCアカデミー「FCバルセロナに学ぶウィニングカルチャーとは?」というイベントに参加させていただきました。

中竹 竜二さん(日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター / チームボックス 代表取締役)がスピーカーとして、著書の「The Barcelona Way FCバルセロナ 常勝の組織学」をもとに、ウィニングカルチャーについてお話をしてくれました。

この本にも書かれていますが、イベントの中で中竹 竜二さんは常勝チームの一つであるFCバルセロナを例に挙げ、その強さの秘密をカルチャー(組織文化)に着目して説明していました。

「組織文化」と「組織風土」の違いは何か?話し合ってみてください。と言われ数分間考えましたが、僕の中でまとまった答えは出ませんでした。中竹 竜二さん曰く、その違いは「言語化されているか、されていないか」。
普段、無意識に行っていて見えないものが文化であり、それを言葉で表すと風土になる。根底には文化があって、放っておくと言語化されない、と言います。

〇〇しろ!〇〇しましょう。などと既に言語化されているものは風土で、わざわざ言われなくても当然のようにやっていることが文化だと聞き、具体的な例をサッカーで考えました。

少しマニアックですが、「ジョルディ・アルバ選手(FCバルセロナ)が裏に抜けたら、メッシ選手(FCバルセロナ)がニアに走り込む」この一連の流れは、今となっては指示がなくても自然に行われることですが、間違いなくチームとしての作戦、狙いであり、言語化されたものだと思います。よってこの例は「組織風土」であると考えました。 

一方で、「ハーフタイム(試合の前半と後半の間の休憩時間)に、チーム全員でよく話し合ってそれぞれの意見を反映する」これを自分たちで無意識的に、言われなくても行っていることだとすれば、それは「組織文化」であると言えるでしょう。誰かがそれを言語化し、指示したのであれば「風土」にあたりますが。

中竹 竜二さんが大事だと説く「文化」。他の分野では、世界中でその重要性を訴えている人が多くいます。ですが、練習方法や道具などが注目を集めるスポーツにおいて、「文化」がトピックに上がってきたのは最近のことだそうです。

スポーツの分野に限らず、他分野の情報や新常識を取り入れていくということは良いことだと思いますし、スポーツが進化を遂げていると考えることができるのではないのでしょうか。

「FCバルセロナの文化とは何なのか」中竹 竜二さんはスペインへ行った際、FCバルセロナを研究する方にお話を伺ったそうです。

その方が考える常勝の文化は、「謙虚さ」。謙虚であることはサッカー、スポーツのみならず、どの分野においても大切なことだと思います。サッカー界を代表する名クラブ、FCバルセロナの一員なら尚更です。FCバルセロナの選手はクラブの代表として、というだけでなくカタルーニャの代表(この話は後ほど触れます)という自覚を持ち、常に手本となるように振る舞う必要があります。その「謙虚さ」ということについて、中竹 竜二さんの著書に書かれていることをもとに、ズラタン・イブラヒモビッチ選手の話を紹介したいと思います。

2009−2010シーズンにFCバルセロナに在籍していたイブラヒモビッチ選手。ある日、高級車で練習に向かった際、グアルディオラ監督にこう言われたといいます。

“「いいか、バルサでは、いつも地に足を付けておかなければならない」「つまり、我々はフェラーリやポルシェで練習に来たりしない」”(The Barcelona Way FCバルセロナ 常勝の組織学より引用)

イブラヒモビッチ選手は、当時のことを次のように振り返っています。

“その頃にはもう、バルセロナはちょっと学校みたいだと思っていた。そういう感じの、お固い場所みたいだなってね。選手はすごかったよ。完璧だった。でも正直言って、スーパースターらしい振る舞いをするやつはひとりもいなかった。妙なことにね。メッシ、シャビ、イニエスタ。連中は全員、学校の生徒みたいだった。”(The Barcelona Way FCバルセロナ 常勝の組織学より引用)

イブラヒモビッチ選手にとって、グアルディオラ監督の細かい振る舞いにまでもルールを設けるやり方は息苦しく感じたのでしょう。このようなクラブとの価値観の相違が一つの要因となり、イブラヒモビッチ選手はわずか一年でFCバルセロナを去ることになります。

では、先ほど触れると言った「カタルーニャの代表」ということについて。これはバルセロナの組織文化、風土に関わってきます。1714年9月11日、王位継承戦争にてカタルーニャはスペインに敗北し、独立が失われました。その後、スペインの国王フィリペ5世は学校でカタルーニャ語を使うことを禁止し、カタルーニャ人はアイデンティティを失うことになりました。

これを始めとする様々な歴史的背景により、レアルマドリードは国側、バルセロナはカタルーニャ側という関係が出来上がりました。バルセロナが国と対抗する一方で、レアルマドリードは国との繋がりが強く、国がレアルマドリードにとって都合の良いように移籍に関する決まりを変更したこともあったそう。レアルマドリードは常にスペインを象徴し、バルセロナはカタルーニャを象徴する。多くの人々の気持ちを一身に背負って戦い、一種の代理戦争のような役割を果たします。だからいつの時代もクラシコは人々を魅了するのでしょう。

「Més que un club」カタルーニャの言葉で、「クラブ以上の存在」という意味です。バルセロナファンならもちろん、聞いたことがなかった人も、説明がなくてもこの言葉の語源を理解していただけるかと思います。この言葉はバルセロナの広告文となり、バルセロナのホームグラウンド、カンプノウのピッチの傍やスタジアム内の至る所で見ることができます。

「Més que un club」この言葉、考え方こそが、バルセロナの根底にあるものだと思います。言語化されているので「組織風土」に当たるのかもしれませんが、根底にあり、言わずともそれに基づいて行動しているはずなので、限りなく文化に近いのかなと感じました。

上で紹介した言葉も文化の一つだと思いますが、もう一つ僕が考えるバルセロナのウィニングカルチャーは「美学を追求すること」です。観るもの全てを魅了する、美しいサッカーがバルセロナの特徴の一つだと思います。

その美しいサッカーの生みの親、ヨハン・クライフがバルセロナに与えたものは大きく、その考え、美しいサッカースタイルはグアルディオラ監督等の手によって今もなお、受け継がれています。ヨハン・クライフは数多くの名言を残していますが、中でも一番好きなのは「ボールを走らせろ。ボールは疲れない。」という言葉です。これが一番バルセロナのスタイルを端的に表していると感じるからです。ヨハン・クライフという人物、バルセロナに与えたものついては詳しく文中にあるので、是非読んで下さい。偉大さを再認識することができます。

今回イベントに参加させていただき、常勝チームの文化に着目したお話はとても面白く、納得するところや考えさせられるところが多くあり、勉強になりました。お話の全てはまとめられていませんが、この文章を読んでくださった皆さんに「イベント面白かった!」という僕の想いが伝れば嬉しいです。

この本には、さらに多くの興味深い話が書かれています。サッカーを知っている人もそうですが、どちらかといえばチームで仕事をしている方、リーダー的な立場にいる方に読んでいただきたいです!(あとバルサファンにも)最後に本のURLを貼っておきますね。

(中竹 竜二さんと写真を撮らせていただきました!)

また、お話を聞いたあとに懇親会があり、少しだけ参加させてもらいました。僕を知っていてくれた方とお会いした時は少し不思議な感じがしましたが色々なお話ができて、さらに頑張ろうと思いました。中竹竜二さんにはバルセロナへ行った時のことなど、様々な話を聞くことができました。その日だけでたくさんの方と交流することができて楽しかったです。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

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⚪︎バルセロナ公式「ジョルディ・アルバとメッシ、必殺のコンビ」 
組織風土の話の例に挙げた、ジョルディ・アルバ選手とメッシ選手の一連のやりとりの動画です。1:05〜が比較的分かりやすいかもしれません。でも是非全部みて下さい!

⚪︎日経BPブックナビ「The Barcelona Way FCバルセロナ 常勝の組織学」

⚪︎amazon「The Barcelona Way FCバルセロナ 常勝の組織学」

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