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バティスタ不在が与える影響とは?

先日耳を疑うような衝撃的なニュースが飛び込んできました。

そのニュースとは、バティスタのドーピング検査が陽性反応を示した、というものです。

カープアカデミーの出身で、2016年に育成選手登録、2017年には支配下登録を勝ち取り、一軍初打席から二打席連続代打本塁打という衝撃的なデビューを飾りました。

その後も順調に成績を伸ばし続け、今季は主に3番打者を務めながらチームトップの26本塁打を放つなど、チームに欠かせない存在となっていました。

そんな中でのドーピング違反ということで、どのような違反なのかはまだ定かではありませんが、自身のキャリアを汚してしまったとともに、リーグ3連覇を果たしたチームの功績にも泥を塗ることとなってしまいました。

故意であろうがなかろうが、どのような事情があったにせよ、プロのアスリートとして自己管理が出来ていない時点で話になりませんし、厳罰は受けて然るべきです。

実際に罰則を適用されるとなると、長期の出場停止は避けられないでしょうし、場合によっては契約解除となってしまうかもしれません。

そのようにバティスタが不在となってしまうことで、チームにどのような影響があるのかについて考えていきたいと思います。

1.打撃面

1-1.長打力不足

昨季39本塁打の丸佳浩の移籍とエルドレッド・新井貴浩の退団、松山竜平の打撃不振によって今季はチーム全体の長打力が大きく減退しています。

長打力を示す指標であるISOは、リーグ1位の.169からリーグ4位の.139へと後退し、そのためか3年連続リーグ1位の得点力もリーグ4位へと低迷していることが如実にその事実を証明しています。

そんなチーム状況の中で、貴重な長距離打者としてチームの重要なピースとなっていたのが、鈴木誠也でありバティスタであったわけです。

以前「なぜ広島は大型連勝と大型連敗を繰り返すのか?」とのnoteの中で記しましたが、この両者への、一振りで得点になる本塁打の依存度が昨季より高まっており、バティスタ不在により更に長打が減ってしまう可能性は非常に高いでしょう。

長打力不足に陥ると、どうしても得点力は伸び悩みますし、バティスタが3番を打ってもなお、上記のような長打力不足という事象が生じているだけに、非常に痛いと言わざるを得ないでしょう。

打線全体からの怖さも消え、何なら再び6月~7月にかけて生じた得点力不足問題が、再び再燃する可能性すら感じます。

1-2.ストレート対応の劣化

こちらも以前「広島打線のストレート対応の劣化」にて記しましたが、広島打線全体でストレートへの対応力が劣化しており、これも得点力不足の一因と考えられます。

そんな中、広島打線でストレートへの強さを見せていたのが、またもや鈴木でありバティスタです。

ここまでチームのストレートへのPitchValueが-4.7と低迷する中、鈴木は27.3、バティスタは15.0という高い数値を叩き出し、貴重なファストボールヒッターとして君臨していました。

このファストボールヒッターが生きるのが、試合終盤のパワーリリーバーとの対戦であり、かつ鈴木やバティスタのような長打が期待できる存在は、一振りで試合を大きく動かせるため、試合の勝敗すら左右する存在なわけです。

巨人・デラロサからの勝ち越し2ランや中日・岡田からの同点2ランなど、試合終盤の印象に残る場面で快打を連発していたバティスタは、まさしくそのような存在であり、接戦の終盤時には敵球団に大いなるプレッシャーを与えていたことでしょう。

そのような存在がラインナップから消えることで、接戦を勝ち切る術を一つ失うこととなるため、勝利を積み重ねるのは一層難しくなることは想像に難くありません。

もちろんそれ以外にも敵球団の先発投手も、速いストレートを持っている投手は増えているため、その投手達への打線の対応も劣化することとなり、トータルで見て得点力不足にも繋がってくるように感じます。

2.守備面

バティスタというと、圧倒的なパワーを生かした打撃力という印象が非常に強い選手ですが、実は一塁守備においてもチームを支えています。

UZRという守備力を示す指標では、守備範囲の狭さが仇となって-3.7といい数値を叩き出しているとは言えませんが、ここまでの失策数は4と捕球能力は悪くなく、各内野手の送球をしっかりと受け止める堅実な守備で内野陣を締める役割を果たしています。

シーズン当初は打撃不振でバティスタが一塁手に入らない時は、松山が入る機会が多くありましたが、その時期に失策を繰り返すなど内野守備が乱れ、チームは敗戦を重ねました。

松山の一塁守備はお世辞にも上手いとは言えず、一塁のUZRは430イニング守った昨年で-6.0と大幅低迷し、過去には1試合3失策を記録するほどの守備力であったため、他の内野手にとっては送球面に不安が生じたことが内野守備の乱れを招いた可能性があります。

その点、バティスタは松山と比較して的が大きく、ハンドリングも問題ないため、内野手がより安心して送球できることは間違いないでしょう。

松山よりはメヒアの方が幾分かはマシでしょうが、その他の内野手との連携不足等を考えると、バティスタには敵わないでしょうし、このように守備面でも何らかのマイナスは生じてしまうと考えられます。

3.チーム編成面

今季の残り試合全て出場停止の処分で、かつ現行契約もそのまま履行されるようなら問題はありませんが、契約解除となると、今後のチーム編成にも当然大きな影響を及ぼします。

まだ27歳と年齢的にはここから全盛期を迎え、かつ2017年から6年契約を結んでいることから、チームとしては今後数年バティスタを鈴木と並ぶ打線のコアと想定してたはずです。

現メンバーの中から代替要員として名前が挙がるのはメヒアでしょうが、バティスタと比べると力不足感が否めませんし、二軍で一塁守備につく機会が多く長距離砲としての資質を覗かせる林晃汰も、高卒一年目でまだ多くは期待できない状況ですから、現メンバーでは代替が効くはずがありません。

という現状から、新外国人を探す必要性が当然生じますが、調子の波こそ大きいものの、30本塁打を見込める抜群の長打力を持ち、勝ちパターンで登場するような投手のストレートを捉えられるファストボールヒッターで、水準レベルの一塁守備を持つ野手を探すのは容易ではないでしょう。

また、駐米スカウトもバティスタの存在があったため、これまであまり本腰入れて探してはないはずでしょうから、一塁手の長距離砲を欲する他球団と比べ動きが遅れている可能性は高いでしょう。

なので、来季に向け外国人野手を獲得するでしょうが、バティスタの穴を埋めるほどの活躍は中々期待できないでしょうし、チームの勝敗にも大きく影響してくるでしょう。

今後は3連覇したチームが解体期に入るため、勝てなくなるのは仕方がありませんが、あまりにも勝てなくなると、選手の育成にも影響を及ぼす可能性がありますし、バティスタの穴はそれほど大きいと考えます。

4.まとめ

・打撃面
長打力不足でチームの得点力不足を招き、貴重なファストボールヒッターが減ることで接戦を拾えなくなる可能性もある
・守備面
大きな的と堅実なハンドリングで内野守備を締めており、不在により松山やメヒアを起用せざるを得ず、その他の内野陣の送球に悪影響を及ぼす
・チーム編成面
チームの勝敗に大きく影響を与えるのは間違いなく、ひいては若手育成にすら影響を及ぼす可能性もある

様々な面でバティスタは、チームに欠かすことのできない存在となっていたため、優勝争いを演じるこの時期にこのような形で離脱されるのはこの上なく痛いですし、今後の契約の問題まで話が及ぶレベルですから、あまりに衝撃が大きすぎます。

現時点では具体的なことは分からないことだらけですので、本件についてはまずは続報を待ちたいと思います。

#野球 #プロ野球 #広島 #カープ #バティスタ #ドーピング

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