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OP戦の振り返りから考える収穫と課題

先日で各チームはOP戦を終え、広島は8勝4敗4分という戦績で見事に優勝を飾り、3/29より開幕するペナントレースへ向けて、大きな弾みを付けました。

昨年、一昨年はOP戦とはいえ下位に沈み、シーズンでは見事優勝を果たしたとはいえ、開幕前はその戦いぶりを心配されることもありましたが、今年に関してはそのような心配は無用そうです。

ただそんなOP戦の中でも、当然収穫もあれば課題もあり、ここで一度その戦いぶりを振り返って、整理していきたいと思います。

1.投手振り返り

まずOP戦の各投手の登板成績をまとめたものが、表①となります。

ここから見える収穫と課題としては、下記の通りになると考えます。

収穫:①床田寛樹の台頭   
   ②K・レグナルト、島内颯太郎の新加入選手に一定の目途
課題:①順調さを欠く先発候補陣   
   ②新加入選手以外に一向に現れない新戦力

収穫①について
本noteでも既に何度も登場している床田寛樹ですが、OP戦にてはその実力を遺憾なく発揮し、4試合の登板で17イニングを投じ、防御率は1.59で奪三振はイニングを上回るなど、そのボールの威力を見せつけました。(私の詳しい床田評については、この記事をご覧ください。)

元々、ルーキー時の一昨年に開幕ローテ入りするなど、首脳陣からの評価は高く、かつこのOP戦の成績ですから、満場一致で開幕ローテ入りとなるでしょう。

また、未だ新人王資格を保持していることから、新人王候補にも名前は上がってくるでしょうが、唯一不安な点を挙げるとすれば、トミージョン手術明けであることと、そもそも一年間投げ抜いた経験がないことです。

トミージョン手術明け一年は、ある程度の稼働数に止める必要があり、かつ年間通じたスタミナ面もそもそも未知数であるため、首脳陣には体調やスタミナ面に気を使った起用法が求められてくるでしょう。

上記のような不安要素はありつつも、久々に(平成以降初?)広島に現れたパワータイプの日本人先発左腕の活躍は大いに期待しても良いのではないでしょうか。

収穫②について

レグナルトに関しては、米国時代と同様にOP戦ではリリーフとして起用され、アベレージで140㎞後半を記録するフォーシームとスライダー、ハンマーカーブを武器に、防御率は0.00で5イニングで11奪三振という奪三振マシーンぶりを発揮し、かつ与四球は0というパーフェクトに近い投球を披露しました。

その他にも、昨シーズン良くも悪くも印象的な投球を見せた、J・ヘルウェグがリリーフ候補としていますが、この結果からして、間違いなくレグナルトが開幕一軍の枠をつかみ取ることになるでしょう。

投げるポジションとしては、OP戦での起用法を見ると、G・フランスア、中崎翔太の前のポジションで、フランスアのコンディション次第では、セットアッパーの位置に入ることも考えられます。

個人的には、試合中盤のピンチの場面から登板し、複数イニングを投げ抜く「ストッパー」のような起用もアリではないかと感じています。

島内に関しては、大学時代は先発を務めていましたが、プロではリリーフでの起用となったものの、慣れない立ち位置でも結果を残し続け、こちらも6試合登板で無失点、被打率は.182と素晴らしい投球を披露しました。

伸びのあるフォーシームと、フォークとチェンジアップ投げ分けるという縦変化主体の投手で、球種も少ないことから、現在の投球スタイルは非常にリリーフ向きです。

投げるポジションとしては、OP戦を見る限り僅差負けや4点差以上リード時といった、勝ちパターンの一歩手前の位置を投げることになりそうです。

ただ、この辺りの立ち位置の投手は、酷使の対象となりがちなのは多少心配ではありますが…

昨年より、リリーフ陣に大きな不安を抱えていた中で、高い実力を持つ両投手に一定の目途が立ったのは、非常に大きな収穫と言えましょう。

課題①について

上述の通り、床田は順調に枠を勝ち取り、開幕投手を手中に収めた大瀬良大地も最終的に仕上げてきましたが、それ以外の先発候補が軒並み順調さを欠いています。

大瀬良に次ぐ柱として期待されるK・ジョンソンは、開幕一週間前という段階で身体の不調を訴え、開幕ローテ入りが微妙な状況で、新外国人の先発候補であるC・ローレンスも身内の不幸で帰国と、こちらも開幕ローテ入りが微妙な状況となっています。

それ以外の野村祐輔、岡田明丈、九里亜蓮といった実績組の投手も、OP戦成績を見ても分かる通り、イマイチパッとせず、全体的には順調さを欠く結果となりました。

過去3年は、開幕で大きく躓かなかったことも優勝の一因であろうと考えられるため、この状況は開幕ダッシュの失敗を招きかねず、憂慮すべき状況でしょう。

課題②について

収穫の項で挙げたように、新加入選手や既存の選手内でも床田の台頭は確認できましたが、それ以外の選手に関しては、全くと言って良いほど突き上げがない状態です。

とりわけここ5年で指名した投手達、中でも高橋樹也や塹江敦哉や藤井皓哉らのそろそろ戦力化したい高卒投手は、OP戦でもほとんど登板がなく、伸び悩み気味となっています。

加えて、2年前のドラフト一位の矢崎拓也もOP戦で成績を残せず、昨年から飛躍が期待されている高橋昴也は、トミージョン手術を受けることとなり、上述の選手+ドラフト上位指名選手も伸び悩み気味となっています。

一軍二軍併せた運用が必須となってきた近年の野球において、投手陣の層の薄さは大きな弱点になりかねず、かつ将来を見据えてもマズい状況でしょう。

2.野手振り返り

野手も投手と同様にしてOP戦の打撃成績をまとめたものが、表②となります。

ここから見える収穫と課題としては、下記の通りとなるでしょう。

収穫:①好調タナキク   
   ②小園海斗のトッププロスペクトぶり
課題:①3番打者不在問題   
   ②中堅手候補の軒並みの不振

収穫①について

昨年は不振に苦しみ、下位打線に回ることもあった田中広輔と菊池涼介ですが、この両者がOP戦ではともに打率.300を超え、好調ぶりを見せつけています。

特に菊池は、MLB移籍志望を表明しており、MLBを見据えて守備力だけでなく打撃もアピールする必要があることから、意気込みが違うのでしょう。

この両者が出塁する機会が増えれば、チーム内最強打者である鈴木誠也に走者を置いて打席の回ってくる回数も自然と増えるため、得点力を昨年レベルから落とさないためにも、昨年以上の活躍はマストとなってくるでしょう。

ですので、田中には2017年、菊池には2016年と同水準の活躍を期待したいところです。

収穫②について

4球団競合の末、ドラフト一位で獲得した小園海斗ですが、15試合に出場し、セリーグ高卒新人初のOP戦2本塁打を放つとともに、遊撃守備でも非凡なものを見せつけ、開幕一軍の座を確実なものとしています。

当初は二軍に漬け込んで育成する方針だったようですが、結果を残し続ける小園に首脳陣が打ち出したのは、当面は一軍で育成するという方針でした。

起用としては、田中が遊撃手でフルイニング出場を続けていることを考えると、遊撃手として出番が回ってくるとは考えにくく、代打や代走での出番が主となってくるでしょうか。

打撃ではインサイドにツボを持つものの、外の変化球への対応や、守備面ではサインミスなど、課題が散見されることもありましたが、まだ二十歳にも満たない高卒ルーキーですので、あまり深く考えすぎず一軍の舞台で研鑽を積んで大きく成長していってもらいたいものです。

課題①について

丸の移籍に伴い、「タナキクマル」コンビは自動的に消滅することとなり、3番打者がポッカリと空いた状態となりました。

OP戦では、坂倉将吾、西川龍馬、田中広輔、安部友裕、X・バティスタが起用されましたが、どの選手も決め手を欠く状況で、その穴は空いたままとなっています。

OP戦での起用回数の多さや、昨年300打席以上に立ち.300オーバーの打率を残し、実績のある西川が開幕は起用されるでしょうが、如何せん長打力不足が否めないため、シーズン中も試行錯誤は続くこととなりそうです。

個人的には、以前からも推している通り、3番は鈴木誠也に任せ、それ以降にバティスタや松山竜平を組み込めば、現メンバーで得点力を最大化できると思うのですが…

課題②について

こちらも、昨年まで6年間中堅手を守り続けてきた丸の移籍に伴い、生じた課題ですが、OP戦中にこれと言った選手に決め切ることはできませんでした。

昨年の丸の戦線離脱中に、中堅手を務めた野間峻祥が首脳陣内でも代替筆頭候補だったでしょうが、打撃不振に苦しみ、その座を射止めたとは言い難い状況です。

その他には、今季から外野へ挑戦する西川や巨人時代に経験のある長野久義がOP戦期間中は務めましたが、西川の拙守ぶりや、長野の打撃不振ぶり等を勘案すると、当初の予定通り野間が基本的には中堅手を務めることになるでしょう。

しかし、野間も完全に計算できる存在ではないため、グラウンドボールピッチャーの登板時には打撃に一日の長があるものの守備面に不安のある西川を起用し、夏場から調子を上げてくる長野はそこから優先的に起用する等の、柔軟性の持った起用を行う必要がありそうです。

3.まとめ

OP戦を振り返るだけでも、今季という短期的な視点からも、もう少し長いスパンを見た長期的な視点からも、収穫と課題が浮き彫りとなってきました。

とりわけ野手の面から出てきた課題は、そう簡単に埋まるものでもないため、今季に限らず長期的に取り組んでいく必要がありそうです。

次回は、OP戦終了というところで、もう一度シーズン展望を行おうと思います。

#野球 #プロ野球 #広島 #カープ #オープン戦

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