違法サイトを巡る「曖昧な共犯関係」

漫画に関わる海賊サイトをめぐり、DNSブロッキングなどの議論が進んでいます。それに合わせて、それらのサイトと取引のあるアドネットワークなどが批判を浴びているようです。

この種の違法サイトに関しては(関しても)、沢山の企業体が関わっています。

① 広告主

② 広告代理店

③ DSP

④ SSP

⑤ アドネットワーク

⑥ サイト

広告主は、複雑な広告システムを運用するほど、充分に理解しているわけではないので、広告代理店に委託(悪く言えば『丸投げ』)します。問題があれば代理店がなんとかしてくれると信じて。

広告代理店側も、もちろん全ての出稿先を見ることは出来ません。広告主に怒られれば出稿を止めますが、それまではいちいち確認しておくほどには、人手が足りていないのが現状です。アドホックな依頼に対して答えるだけでも精一杯です。

DSP(デマンド・サイト・プラットフォーム)は、複数のSSP(サプライ・サイド・プラットフォーム)に対して入札を行いますが、一つ一つのサイトについての審査の義務があるわけではありません。

SSPは、DSPと接続しながら、アドネットワークの収益を最大化するのが仕事です。

アドネットワーク側は在庫としてサイトの枠を買い付けています。出稿する枠に本当に法的な瑕疵がないかのチェックは、基本的にはアドネットワーク側にあります。


審査が厳しいアドネットワークもあります。最大手の Google AdSense は結構きちんと審査をしてます(ちょっとでもアダルトっぽいとみなされると止まります)。

グローバル企業で、儲かっている Google だからこそ出来ること、という点はあるにせよ、あれほど膨大な在庫を持っている割に、結構ちゃんとやってるわけです。

逆に言うと、AdSense 並に厳しい審査基準を持っているアドネットワークは、そう多いわけではありません。もっと審査が厳しい企業もありますが、即日スタートできる企業もあります。

「数字が上がればいい」「いちいちどのサイトに出ているかなんてチェックしきれない」と考えている広告主側の意識の問題もあります。審査のコストまで負担しきれない、ということです。


在庫を買い付けているアドネットワークと、Webサイト側には当然責任があるとは思いますが、広告主や代理店側の責任はどうなのでしょうか。

現実に、何百何千もある出稿サイトの中から、違法なサイトがないかどうかを監視するような作業は出来ません。広告主には出来ないでしょうし、ましてや恒常的に人手が足りない広告代理店でも無理でしょう。


このような状態の中で成立しているのが、「曖昧な共犯関係」ではないでしょうか。デジタル広告業界は、一つ広告を出稿するだけでも、様々なプレイヤーが関わるようになってしまっています。

うすうす「ちょっとグレーかも」と思いつつ、審査だったり、倫理的な部分のチェックするコストを誰も引き受けていません。

このような状態で、多数の違法サイトが収益を上げてしまっている現状は、非常に残念なものがあります。ともあれ、大事なことは、問題として声に出し続けることではないでしょうか。


デジタルマーケティング業界は過労と人手不足に悩んでいます(下記はイギリスの記事)。

デジタルマーケティング担当者は毎週8時間、平均よりも長く働いており、約半数(46%)が過労を感じており、約3分の1(30%)が給与が低いと感じている。

その中でこういう話題が出てきたのは、いろいろな意味で曲がり角なのかなあ、と感じています。

ポジショントーク的な結論としては、企業が自社で知識のある人材を育成して、かつ自動化を推し進めていく、ということになるのでしょうが。

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遠藤 結万

マーケティング思考ノート

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