【嘘】一度止まった観覧車と夕暮れの空

観覧車を整備していたお兄さんは、一つ一つの揺れる籠の上に沢山の風船を取り付けていった。

その後、観覧車は無事にサービスを再開し、並んでいた列も再び流れはじめた。

やっと乗れた籠は、黄色かった。
取り付けられた風船達も同じく可愛い黄色で、ふわふわと籠の上を飛んでいた。

観覧車は順調に回転して、籠はゆっくりと空に近づいていった。
窓の外を見ていると、地上の遊園地はどんどんと小さくなっていった。

そして、そのうち、見えなくなった。

「高くまで上がり過ぎじゃない?」

妻がそう言うので、初めてその事に気が付いた。
籠はとうに観覧車から離れ、空を飛んでいたのだ。
窓から上を見ると、色とりどりの籠が同じ様に空に浮かんでいた。
沢山の風船が、そうさせていたのだ。

夕暮れの空がとても近い。籠と風船が点々と、鮮やかに光っている。

「凄く綺麗。待ったかいあったね」

妻が嬉しそうに笑った。

ありがとう