相撲~踊る横綱~

悪辣なる娑婆手為親方の罠により、我らが横綱・阿羅は大事な千秋楽の土俵へ向かう途中に悪漢たちに襲われる!娑婆手為親方は自らの部屋の大関・正無手無を優勝させ横綱にし、阿羅を追放して角界を私物化せんとしているのだ!

「どかんと、どうなっても知らんぞ!」

阿羅は優しい心とは裏腹に不正や悪事に対しては人一倍敏感で潔癖ですらある。その怒りが、五体に漲っている!阿羅は悪漢共にぶちかました!

(阿羅関…何故来ないのですか…)

その頃、両国国技館の土俵では正無手無が阿羅を待ちわびていた。彼は親方とは違い、高潔で相撲を愛する真の力士なのだ。無論、親方の罠など知らない。

「時間いっぱい!」

行司が告げるが正無手無はその度に物言いを付け、時間を引き伸ばした。

「阿羅だ!阿羅が来たぞ!」

観客の一人が大声を出す。正無手無がその方向を見ると、満身創痍の阿羅と目があった。二人共、何も言わない。

アーマティアーダー!ナッパリーセリー!

観客達が土俵へ上がり二人の力士を祝福する舞を踊る。

カンパーラッサータ、アガナマークルー!

二人の力士は土俵上で手を取り、情熱的な取り組みを舞った。

しかし幸福も長くは続かない娑婆手為親方の野望は土俵を汚し尽くさんと、また迫っていた。

【Tomorrow's torikumi...】


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