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僕が抱えた問題児は、いわゆるあざと女子だった

井上さんのやる気を何とか引き出せた数日後

〇〇:みんなおはよ〜

美空:おはようございま〜す!

咲月:おはようございます!

和:おはよ、〇〇

アルノ:あ、先生

〇〇:ん?

アルノ:すみません、課題忘れてきちゃいました…

〇〇:そっか、じゃあ今日の課題は2倍かなぁ

アルノ:げっ…まじっすか…

〇〇:今度から忘れないようにな〜

アルノ:くっ…和の時はそんなことなかったのに…

〇〇:まあ…それはさ…ね?

アルノのぼやきに戸惑っていると

和:〇〇…好き…ギュッ

〇〇:な、何、急に笑

和:私は課題、忘れてないよ?

〇〇:うん、知ってるよ?

和:ほ…褒めて?

〇〇:和は偉いぞ〜ワシャワシャ

和:これ好きぃ…

美空:あ、〇〇さ〜ん

〇〇:ん?

美空:美空ぅ…課題忘れちゃって…

美空:〇〇さんが作ってくれた課題なのに…忘れちゃって…

美空:もう本当に、申し訳ないです…ごめんなさい…てへっ

美空はあざとく、上目遣いを使いながら〇〇に謝る

〇〇:いや…そっか…

美空:でも!が…頑張ったので、2倍にはしないでください…!

〇〇:う〜ん…でも中西さんには与えたし…

美空:お、お願いですぅ…

美空はウルウルした目で、〇〇のことを見つめる…

〇〇:うん…頑張ってくれたんだもんね…

〇〇:分かった、今回だけは許す!

美空:え…本当ですか!?

アルノ:な、何で!?

美空:(楽勝だな〜)

こんな感じで、一ノ瀬さんの可愛さにやられ、ついつい許してしまう

____

その他にも

〇〇:じゃあ、テスト返しま〜す

咲月:やだよ〜!

〇〇:菅原さん、駄々こねないの

咲月:だってぇ…

桜:咲月なら大丈夫だよ〜

咲月:しゃくらぁ〜!ギュッ

桜:大丈夫、何とかなるよ

〇〇:はい、川﨑さん、20点

桜:あっ…

〇〇:何も大丈夫じゃないぞ?

咲月:桜…

桜:えへへ〜

〇〇:はい、これ追加の課題ね

桜:がびーん…

〇〇:じゃあ次は菅原さん

咲月:ぶるぶる…

〇〇:はい40点

咲月:あぁ…微妙…

〇〇:まあ、最低限かな…

咲月:頑張りますぅ…

〇〇:次は、一ノ瀬さん

美空:何点かな〜

〇〇:まさかの、15点です

美空:え〜、嘘ぉ〜!

〇〇:一ノ瀬さん、1番点数低いよ

〇〇:てことで、課題2つ追加ね

美空:えぇ、ま、待ってください!

〇〇:何、頑張ったから課題減らして、って?

美空:違うんです…

美空:あの…これ

美空は後ろ手に持っていた、とある包みを〇〇に渡す

〇〇:なにこれ…

美空:〇〇さん、もう少しで誕生日ですよね…?

〇〇:え、何で知ってんの?

美空:畠中先生からお聞きしまして

美空:私、お菓子作りが趣味なので、〇〇さんのためにお菓子作ってあげたいな〜って

美空:でも、何故か上手くいかなくて…

〇〇:勉強時間がなかった、と?

美空:はい…

美空:学生の本分は勉強だって、分かってるんですけど…

美空:やっぱり…〇〇さんへの感謝は伝えないと失礼かな、って…

〇〇:一ノ瀬さん…

美空:課題はやります!だけど…1枚にしてほしいです…

〇〇:…そっか

〇〇:一ノ瀬さん、ありがとう!

〇〇:一ノ瀬さんはやればできる人なはずだから、課題なしでいいよ!

美空:っ…ありがとうございます!ギュッ

美空は〇〇に抱きつく

和:むぅ…

美空:(ら・く・し・ょ・う)

美空は〇〇越しに見える和に口パクで言う

桜:課題やだな…

一ノ瀬さんにタジタジになる〇〇

しかし、このままではいけない!と思った〇〇はとある策を講じる

〇〇:では、みんな、お疲れ様!

美空:お疲れ様です〜!

咲月:お疲れ様ですっ!

和:〇〇、おつかれ

〇〇:あ、和!

〇〇は帰ろうとする和の手を掴む

和:え…//

〇〇:和に頼み事がある

〇〇:和にしか…頼めないんだ…

和:な…何…?

〇〇:____くれ!

和:え?

_____

そして土日を挟んで迎えた月曜日

〇〇:おはよ…ってまだ誰もいないか…

〇〇が先に準備をしていると

美空:おはようございま〜す!

〇〇:おはよう、美空

美空:え…み、美空?

〇〇:うん、美空でしょ?

美空:ま、まあ、そうですよね!

〇〇:で、今日は課題忘れてきてない?

美空:あぁ…そのことなんですけど…

美空:〇〇さんのこと考えてたら…その…

美空:全然寝れないし…課題集中できないし…

〇〇:そっか…それは嬉しいな〜

美空:もう…〇〇さんが魅力的だからです…

〇〇:なら…

〇〇は美空の頬に手を添え

〇〇:俺のことしか考えられないように…してあげよっか?

美空:えっ…//

〇〇:美空、目瞑って?

美空:は、はい…

美空は〇〇に言われた通り、目を瞑ると

〇〇:…はい、目開けて

美空:っ…え?

〇〇:これ、追加の課題ね

美空:え…え?

〇〇:いや、俺のこと考えられるってことは

〇〇:この塾のことも、考えられるよね?

美空:え…あ…その…

〇〇:それとも…

〇〇:本当に夢中にさせてあげよっか?

美空:っ…//

〇〇:ははっ、顔赤いぞ〜ポンポン

美空:すき…ボソッ

〇〇:え?

美空:い、いや、なんでもないです…

〇〇:そっか、ちゃんと課題やるんだぞ?

美空:は、はい…

美空:(な…何…このキュンキュンする感覚は…!)

和:〇〇、おはよ

〇〇:和、おはよう

和は〇〇に近寄って

和:〇〇、どうだった…ボソッ

〇〇:効果ありそう…ボソッ

何があったかというと…

_____

〇〇:俺にキュンキュンを教えてくれ!

和:え?

〇〇:あ、経緯を話した方がいいか

〇〇:俺、一ノ瀬さんのあざとさにいつもタジタジになってて…

和:うん…いつも嫉妬してます…

〇〇:ごめんな、和…

〇〇:で、そのあざとさで、なんでも許しちゃってるんだ…

〇〇:でも…それじゃいけない!って思うんだ

〇〇:だから和!力を貸してくれ!

和:ど…どうやって…

〇〇:和、俺に何されたらキュンキュンする?

和:う〜ん…顔が近いとドキドキしちゃうかも…

〇〇:こんな感じ?

〇〇は少し屈んで、和を至近距離で見つめる

和:っ…//

〇〇:こ、これでいい…?

和:す…好きっ…!ギュッ

〇〇:うぉっ!?

和:あと…頭ポンポンしてほしい…

〇〇:なんか和のお願い叶えてない?笑

和:〇〇が頼んだんでしょ?

〇〇:は…はい…ポンポン

和:んふふ…

〇〇:あと…和にもう一個お願いがあるんだ

和:ん?

〇〇:俺を…キュンキュンさせてくれ!

〇〇:一ノ瀬さんへの免疫をつけたいんだ

和:そっか…

和:私の本領を発揮するときが…

和:美空ばっかり見ないで…和のことも…見てよ

〇〇:うっ…か…かわいい…バタッ

和:あ…ちょっ…〇〇!

_____

〇〇:和、ありがとう…ボソッ

和:じゃあ…今度デートしよ?ボソッ

〇〇:はぁ…仕方ないな〜

咲月:おはようございます、〇〇先生!

〇〇:菅原さん、おはよう

アルノ:おはようございます

アルノ:今日は、ちゃんと課題やってきました…

〇〇:ありがとう、中西さん

美空:…

美空:(え…なんで〇〇さんが他の女の子と話してるだけで)

美空:(こんなに…苦しいの…?)

そして講義が終わり

〇〇:じゃあ、みんなお疲れ様!

〇〇:課題忘れないようにな〜

咲月:あ、〇〇先生!

〇〇:ん?

咲月:あの、ここがあまり理解できなくて…

〇〇:ああ、ここはね…

美空:…

〇〇:こうなんだけど、分かった?

咲月:やっと分かりました!ありがとうございます!

〇〇:いや、菅原さんは真面目ですごく素敵だよ!

咲月:まあ…点数には表れてないんですけどね…笑

〇〇:大丈夫、少しずつ伸びてるから!

〇〇:菅原さんみたいに、真面目な子、すごく好きだよ

咲月:す…好きだなんて…そんな…

〇〇:あ、そんな深い意味はないよ!笑

咲月:そ、それくらいわかってます!笑

咲月:〇〇先生、また明日!

〇〇:おう、また明日な〜

美空:…あ

〇〇:あ、一ノ瀬さん、どうした?

美空:ま、〇〇さんって…真面目な子が好きなんですか…?

〇〇:うん、真面目に頑張る子って、すごく魅力的だな〜、って思うよ

美空:じゃ…じゃあ…美空が真面目だったら…

美空:美空のこと、好きになってくれますか?

〇〇:え…

〇〇:確証はないけど、もしかしたらあるかもね

美空:そっか…なら

〇〇:ん?

美空は〇〇に近づき、〇〇を見つめながら

美空:私…頑張ります!

美空:だから…〇〇さん…

「私のこと、もっと見てください!」

〇〇:え…うん

美空はそれだけ言い残し、教室を去った

〇〇:え…どうなるんだろ…

_____

そして迎えた金曜日、つまりテスト日

〇〇:はい、今週もテストやっていきま〜す

咲月:はぁ…やだよ…

〇〇:菅原さん、先週も言ってなかった?

咲月:もうやばいですよ…

和:大丈夫…大丈夫…

美空:んふふ…

〇〇:一ノ瀬さん、なんかニコニコしてるね

美空:いやぁ〜、そうですか〜?

〇〇:(え、何があったの…)

〇〇は疑問を持ちながらも、テストを始めた

美空:あ…これやったやつだ…

美空:これも、ちゃんと対策したやつだ…

〇〇:(なんか…ずっとニコニコしてるな…)

美空:(〇〇さん、見ててくださいね?)

そして、採点を終え、テスト返却へ

〇〇:はい、返していきま〜す

〇〇:はい、まず自信ない菅原さん

咲月:あぁ…怖いよ…

〇〇:35点…伸び悩んでるね…

咲月:はぁ…まただ…

〇〇:じゃあ、川﨑さん

〇〇:28点、赤点

桜:あれぇ〜

〇〇:はい、課題追加です

桜:あちゃ〜

〇〇:で、中西さん

〇〇:32点、ギリ課題回避ね

アルノ:あぶなっ…

〇〇:で、和

〇〇:さすが、50点

和:やった…

〇〇:ただ、和以上に点数高い人がいました

〇〇:…一ノ瀬さん

美空:んふふ

〇〇:すごいよ…75点

咲月:えぇ!?

アルノ:はぁ!?

桜:すごぉい…

〇〇:一ノ瀬さん…どうしたの?

美空:え、勉強頑張っただけですよ?

和:(わ…私より高いだと…)

〇〇:こ、この調子で、頑張って…

美空:はいっ!あ、あと…

美空は〇〇の耳元で

美空:〇〇さん…美空頑張ったので…

美空:デート…してほしいな

〇〇:えっ…

美空:ダメ…ですか?

〇〇:ま、まあ、いいよ?

美空:えへへ、じゃあ今日行きましょ?

〇〇:あ、うん

和:(美空と何話してるんだろ…)

______

美空:えへへ〜、〇〇さんとデートだ〜

〇〇:い、一ノ瀬さ…

美空:だめっ、美空って呼んで?

〇〇:み、美空?

美空:何ですか〜?

〇〇:あのさ、急にどうしたの?

美空:どうした、って…〇〇さんのせいですよ…

美空:あんなにドキドキさせておいて…

〇〇:ど、ドキドキ?

美空:美空、〇〇さんに恋しちゃいました♡

〇〇:えっ…

美空:〇〇さん、覚悟しててくださいね?

〇〇:(これは…やる気を引き出せた、ってことでいいのかな…?)

あざと問題児、一ノ瀬美空編、完

続く

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