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腹立ちまぎれにパートの面接に行く

春の善き日に喧嘩をした。

思わず手が出た。

いや足だ。

足蹴にしたのだ。

私が夫を。

それを言っちゃあおしまいよ、ということを言われ、ブチ切れた私は夫を足蹴にしたのだ。

noteという結構な公の場で、
自分の人となり、人格を疑われるようなことを今、晒している。
どうか嫌いにならないでほしい。

「嫌いにならないでくださいっ!」


普段からDVDはしている。

違う、DVだ。
ドメスティック・バイオレンス。

といっても肩を殴ったりするじゃれあいのようなもので。

夫も殴られながら
「お父さんこんなことされよっで」と猫に話しかけたりして、猫も猫で「食ってらんない」という顔をしてこちらを眺めている。

が、今回ばかりは夫もガチ切れした。
すわ大惨事になりそうなところをギリギリのところで両者グッとこらえた。

とにかくその場を離れ、これ以上激化しないよう息を潜めていたが、やはりあの言葉は許せなく、「バイト探しはIndeed♪」からメールが来ていたのを思い出し、そこへ電話をした。
したらすぐに面接になったので、お着替えをして出かけた。
自転車で数分のところだ。

ここ1年近く、就活しようとすると心臓がバクバクし、どうしても次に踏み出せずにいたというのに、怒りに後押しされ、気づくと担当者の前で「はい、志望動機はですねぇ……」などと答えていた。

思ったより大変そうな職場だった。
「はっきり言って忙しいです!」と最初に言われた。話を聞くほどに「自信ない」という言葉を連発してしまったが、それでも採用してくれそうになったので、ちょっと「待った」をかけた。
近くていい、なんて思っていたが、これは簡単に進めてはいけないと思い、担当者(店長)の提案もあり、日曜日の繁忙時に再び来店し、様子を見てから決めることになった。

怒りに任せて動いたものだから、今になって緊張と不安でぷるぷる震えている。

落ち着こう。
とりあえず日曜日、お店の様子を見てからだ。大丈夫だ。

にしても反省している。

帰宅し、寝ている夫をチラッと眺め、足蹴にしたのはさすがに酷すぎたと。

夫の言ったことはやはり腹が立つけど、激昂した自分が恥ずかしく情けない。沸点低すぎ。
更年期の仕業かも知れない。
きっとそうだ。
なにかしらのホルモンかフェロモンが足りていないのだろう。

怒ると疲れる。
そして思わぬ行動に出るものだ。

優柔不断な人間にこそありがちな、思い立ったが吉日タイプではあるが、今回のは吉と出るのか凶と出るのかさっぱりわからない。
面接に行ったことね。


その場を離れて息を整えている時、たまらず友達にLINEをした。

「トイレ行ってくる〜」
と言うと、
「いっトイレ!」
と返してくれる得難き友達だ。

ことの顛末を伝えると
「若いな」
と返ってきた。
「あたしも蹴ってみたいよ」と。

その通りだ。
いい年こいて手が出る喧嘩をするなんて。
いや足か。



いずれにせよ謝ろう。

何事もなかったように優しい言葉をかければいいのだろうか。
とにかく美味しいご飯を作ろう。

そしてなによりも
パートどうしよう……。


面接を終えた帰り道、桜の花が三分咲きになっていた。
ついこのあいだ咲き始めたばかりなのに。

日曜日にはきっと満開だろう。




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