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夕暮れから夜へ

当たり前だ。
夕方がくればそのまま夜になる。

日比谷野外音楽堂でのコンサート(以下「野音」)は、この時間の移ろいを音と共に体感できるのも醍醐味だ。

今夜の野音、少し切なく、そして圧巻だった。痺れた。
セットリストが最高だ。毎回毎回そのセトリに痺れるってのはどういうことだ。
残念だった時がない。

少し切なく、といったのは適切ではないかも知れない。
ただ、若き日の彼らが、契約を切られ、4人だけで、なんの後ろ盾もなく、小さなライブハウスで再起を目指して、前を向いて音を鳴らし歌を届けていたその頃の雰囲気を感じたのだ。
だから、ココロがキュッとなって、切ないような気持ちがした。
その頃の4人をオンタイムでは知らないのに。
同じ時代を生きてはいたけど、まだきちんと出会ってなかったから。

野音ではやらなそうな曲、でもやってくれたら嬉しいなと思っていた曲が演奏された。
その曲はまさに、その小さなライブハウスで披露された曲だ。

それもキュッとなった原因のひとつかな。

ほかにも、その契約が云々の時の曲が何曲かあった。
なんだか時が錯綜さくそうした。

……

ここまで書いといて。
すみません。取り乱していいですか?
もっとココロのままに吐き出していいですか。

……

かっけぇんだよやっぱ!

去年わたしはそこに居た。

夕暮れから夜へと変わる空の色の変化も、吹く風、虫の、歌もおとも、樹々の匂いさえも、わたしはそこで体感した。
もうこれは最初で最後だと思った。

今日わたしはそこに居ない。
小さな画面越しに、でもリアルタイムで観てる。遠く離れて体感してる。

かっけぇよ。
やっぱそこに居たかった。

4人なんだ今回は!
サポートギターなし。コーラスなし。
キーボードだけは、彼らの昔からの朋友がやってくれている。

いつものサポートギターもそりゃ素敵なんだ。好きな人たち。
でも、居ないぶん、石くんのギターがよく聴こえるよ!
いいぞ石くん!かき鳴らせ!

キュンとなる曲もあったけど、どんどん上がっていく。たかぶってく。

イントロ聴いてもわかんなかった、まさかの曲もやってくれた。
くそ、レア過ぎてわかんなかったよ。
痺れた。頭を抱えた。
コンサートで聴いたのは初めてだ。
成ちゃんのベースがカッコいいやつね。

現地では少し雨が降っている。
歌う横顔には雨粒が映ってる。
でも唾気は映らない。
わがフロントマンは口を大きく開けるし、声もデカいけど、唾が飛ばないんだ。
腹の底から歌ってるからね!
ギターを弾く姿もカッコいい。
技巧を超えたその独特なギター。

ある曲の時、彼は涙を流した。
涙を流しながら歌った。ロック歌手のくせに。
きれいな涙。
あの頃を思ったのか、これからを思ったのか。ある人を思ったのか。
お前にわかってたまるかと言われるだろう。きっと怒られる。
でもこの曲、わたしもグッときたんだよ。泣きそうになった。
きっと今を思ったのだろう。

歌詞を間違え、「すまん」と途中で仕切り直した曲もある。青春が去る歌。すごく泣けるやつ。
歌詞につまづいたのに、仕切り直したら、なぜだか声が良くなっていた。
逆に沁みた。一層沁みた。

まだCD音源が届いていない新曲を初披露!

思ってたのと違う……。

思ってたよりロックじゃん!
すっごいカッコいいじゃん!

ああ、野音で聴きたかった。
最初で最後なんて思わず、行く気になればよかった。
申し込みすらしてない。したところでチケットがあったかどうかもわからない。

……

いいんだよそんなこたぁ!

カッコいい。
純度の高いコンサートだった。
そう、純度が高かった。最高に。

いつも野音でやる、野音ならではとされてきた初期のコアな曲にこだわることもなく、ああ、今やりたい曲をやってるんだなぁと思った。
ひずみも含めて4人の音。

アンコールめちゃくちゃやってくれるやん!
もはや3部構成なのかこれは。

最後の曲で舞台を降りる宮本さん。
最前列に居たかった。
まさにれられる距離。 
れたりしないけどね、そこに居たとしても。

もうひとつの新曲も渋かった。
いやぁ渋い。
今の彼らを象徴してるみたいな曲だ。
トミのドラムが腹にドーンと響く。

この野音を含め、彼らのコンサートの感想をちゃんと文章にしたことがない。今もちゃんとしたものにはなっていない。

でも熱が冷めないうちに……。

あいにくの雨ではあったが、夕暮れから夜へ向かう野音はやはり最高だった。


【追記】

熱量が足りない。想いを届ける文章力も足りない。つたない。もどかしいがこのまま投稿する。
ちなみにこの日比谷野外音楽堂は今年100週年。
うち33回、彼らはここでコンサートをやってきた。
バンド結成35年。
如何いかんともし難い事情で2回とんだが、ほぼ毎年やってきた。

彼らの野音は特別なんだ。







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