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ええいままよ!

今、こんな言葉使うことある?
使う人いる?

ええいままよ

もはや状況に抗わず事の流れ(成り行き)に身を任せてしまおう、もうなるようになれ、という決意表明の意味合いで用いられる表現。ままよ(儘よ)に適当な間投詞が加わってひとつの連語のような形で用いられる。

実用日本語表現辞典

使ったのは私だ。
思わず口からついて出た。

あれもこれも
あの人の意見もこの人の意見も
あれかそれか
あの人の気持ち自分の気持ち

もうどれが正解かわからない。

このまま溺れてしまいそう。
ぶくぶく沈んでしまいそう。
皿も茶碗も割っちゃいたい。

ええいままよ!

自分で言って驚いた。
なんだよ「ええいままよ」って。
いつの時代の人なんだ。

のっぴきならぬ状況下では
もうこう言うしかなかったのだ。

のっぴきならぬ?

なんだそれ。
江戸っ子なのか私は。
それは「おかっぴき」か。

おかっぴき?

ゲシュタルト崩壊を起こしそうな
不思議な言葉があふれ出る。

いつ蓄積されたのだろう、こんな言葉。

落ち着こう。

でもやっぱり「ええいままよ」でいいんじゃない?

それしかないもん、とどのつまり。

とどのつまり?

いや使わなくもないけど。
「結局は」って意味だけども。

ちょっと辞書を引いてみる。

【由来】ボラは成長するにつれて名前を変え、最後にはトドと呼ばれることから。

現代新国語辞典

そうなんだ!
ボラがトドになるんだ!
知らなかったよ。

というわけで。
今すぐにはどうにもならぬことで、
あれやこれやと一人考えるのはよくない。

やはり「ええいままよ!」でいいんじゃないのか。

それはそうと、
今日は月に一度のセントラル・パークの日だった。

木の匂い。
見上げた空。

空を見上げるのはいい。 
少し曇っていたとしても。


『戦争と平和』(トルストイ)の中で、
アンドレイ公爵が空を見上げるシーンがある。

戦闘の最中、傷を負って倒れるアンドレイ。
瀕死の傷を負い、仰向けに倒れたその中で、彼は頭上の高い空を見上げる。

そして考える。

『なんというしずけさだろう、なんという平和だろう、なんという荘厳さだろう、おれが走っていたときとは、なんという相違だろう』

『おれたちが走ったり、叫んだり、戦ったりしていたときとは、なんという相違だ』

(中略)  

『どうしておれはこれまでこの高い大空に気がつかなかったのか?
やっとこの大空に気がついて、おれはなんという幸福だろう』

『そうだ!この無限の大空のほかは、すべてが空虚だ、すべてが欺瞞だ。この大空以外は、何もない、何ひとつ存在しないのだ。だが、それすらも存在しない、しずけさと平和以外は、何もない。おお、神よ、栄えあれ!……』



なるようになれ!とうそぶいてみたけれど、この境地で、いやこんな境地にはなれないけれど、なれないけれど、
空を見上げて明日もゆこう!

そう、大丈夫。
人は大空ほどに大きく無限。
大なる宇宙の小なる宇宙。


大丈夫。
おとといきやがれだ!

おとといきやがれ?







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