動けない時間の話。

動けない。

少し、寒い。

自宅近くの駐車場。
さっきまでunison square gardenを流してご機嫌に高速を飛ばしていた車は、その輝きを失ってひっそりと、徐々に冷えていく。まだ乗っている運転手のことなど気にもとめずに。

まず、運転が終わった。と安堵した。
雨か、嫌だなと思った。
でも傘がトランクにあるから大丈夫だなと思い直した。
持ち帰る荷物をまとめないとなと車内を見回す。

あ、PACAOが何か呟いているかも知れない。
と思いスマホを取り出す。

特に新着はない。

そもそも、新しいツイートがあればウォッチが瞬時に知らせてくれるから見逃すことなどない。

そのままなんとなくタイムラインに移り、スクロールする。
今日もいろいろな人がいろいろなことでいろいろな思いをしたのかな・・・
でも指はスクロールを続けても、目には入ってこない。
街灯を反射して少し光っているiPhoneの端辺りをじっと見ていることに気がつく。

いけない。早く帰らないと。

やるべき事が沢山ある。21時までに全て終わらせないとPACAOの配信にありつけない。さあ、帰らないと。

でも。立ち上がれない。
今日は見れないのか。

・・・声、聴きたい。
帰らなきゃ。

うごけない

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