【ぴくっ02 自分の病名を知る、そして恐怖の副作用】

最終的に自宅から少し遠い、
電車やバスに乗り継いでようやく着く、
小さな心療内科の診療所に落ち着きました。
夕方に通院すると待合席の椅子は患者でいっぱいで、
どんよりとした灰色の雲の塊が室内に立ちこめているかのようでした。
小学生のぼくには足が進みませんでした。

その診療所のぼくの主治医となった医師は、
外国人かハーフかわかりませんが、
白人色の強い30代くらいの女性でした。
診療所の院長の妻でもあるらしく、
苗字は日本人名でした。
仮に中田先生と呼びます。
中田先生は紙に病名を書いてぼくに見せながら説明されました。
紙には〈トゥレット症候群〉と書かれてました。
そして、投薬治療が始まりました。
その頃に処方された薬は二種類か三種類あった気がしますが、
薬名はもう忘れてしまいました。

その薬を飲むことで、
数々のトゥレット症状は安らかに静まりましたが、
今度はおそらくは輪廻転生史上初めて味わう、
重篤な副作用が頻繁に発生するようになったのでした。

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