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居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜         P72

5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑬

「では改めて乾杯〜!」
「お疲れ様でした〜!」
 我々は席に戻り購入した料理をテーブルに広げ乾杯をした。
 ビニールのカーテン越しなのは少し残念だが料理は美味い。
 日本の料理は味が複雑で繊細だと思う。
 居酒屋の料理だとて例外ではない。
 冷えたビールを喉に流し込みながら料理を楽しみ通常はどんな様子なのかを訊ねた。
 …ふんふん……
 …まるで列車で旅行をしているかのような演出の店なのか……。
 サマーフェスティバル期間が終わったらまた来てみよう。
 私は密かに決意し料理を楽しんだ。

『まもなく〜ジェミニ〜。ジェミニに到着します。お降りの方はお忘れ物、落し物、ございませんようお手回り品に十分ご注意下さい』

おぉ!
なかなか本格的だ。

 車内放送を聞き流し料理を食べ、ビールを飲んだ。
「いつもだとねぇ……」
 黒田さんが楽しそうに通常営業時の話をし【双子の玉子の温泉玉子】を見せる。
 美味しそうだ……。
 次に買いに出た時に絶対買おう!

 などと思って何気なくホームの様子をみたら…
「わっしょい! わっしょい!…」
という掛け声が聞こえてきた。
 声のする方を見やるとキツネ人間になっている女性達が小さな家のような物を肩に担いで運んでいる。
「お? 御神輿だね」
 野崎課長がつぶやいた。
「オミコシ?」
また知らない日本語だ。

「ああいう家(?)みたいなのは神様が祀られていてお祭りの時はああやって揺すりながら運んでまわるんだよ。店内だからか随分小さい御神輿になってるし人数も少ないなぁ…」
…あぁ…アレが……
う〜ん……
なんとなく聞いた事があったかもしれない。
実際に見たのは今回が初めてだが……。

居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜
5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑭ へ続く 



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