居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜 P24
2.野崎 颯 居酒屋ランチタイム④
お母さんは並んでいる人がいる列の一番後ろに並んだ。
もちろん僕達もお母さんの後ろに並ぶ。
列が進んでいくとトレイが積んであるのが見えた。
お母さんはトレイをボクらに渡すと
「落とさないようにね」
と、笑った。
端っこに穴が空いている変なトレイだ。
ボクは頭の上にトレイを持ち上げ、下からトレイを見上げる。
「変なの」
「穴空いてる」
トレイの穴から天井が見えた。
お母さんがスタスタ歩いていくのでボクらも置いていかれないように付いていく。
少し歩いたところでグラスに入った冷たいお茶を渡された。
「トレイの穴のところにセットするのよ」
え? この穴ってグラスを入れる為に空いてたんだ!
なんだかスゴい発見をした気分!
ボクはグラスをトレイにセットしてウキウキとお母さんの後に続いた。
「さて、何食べる?」
お母さんがボクらに聞く。
「何が有るの?」
優香が楽しそうに聞いた。
「お肉料理がメインの『山の幸弁当』とお魚料理がメインの「海の幸弁当」…後はお蕎麦とかおうどんも有るみたい」
お母さんはキョロキョロしながら答えてくれた。
「じゃあボクうどん!」
ボクが真っ先に言う。
「あたしお肉!」
次に優香が叫ぶように宣言した。
「はいはい…じゃあお母さんはお魚食べようかな…」
独り言のようにお母さんは答え、ホームのあちこちに置かれていたワゴンへ足を向ける。
居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜
2.野崎 颯 居酒屋ランチタイム⑤
へ続く
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