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杉並動物園へようこそ

皆様、こんにちは。
杉並区議会議員の小林ゆみです。

現在、議会開会中で毎日バタバタしており、SNSの更新もあまりできておらず申し訳なく思っております。

ただ、最近SNSを触ることができていなかったのには、もう一つ理由があります。
それは、5月19日に心が深く傷付くことがあり、それ以来、SNSでのコメントを見るのも辛く思えるようになってしまったからです。

事の経緯をお伝えいたします。

杉並区議会議員の定数は48名です。
今年4月の改選後、議会のメンバーが大きく変わり、選挙前に区長と「政策合意書」を交わした「岸本区長派」と言われる議員(立憲、共産、れいわ等)が16名誕生しました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kamematsutaro/20230425-00347113より。

同時に、自民党議員はじめとする保守系議員が複数落選したこともあり、杉並区議会の勢力図が一気に変わります。今までは杉並区議会において少数派であった左派勢力が、議員定数のほぼ半数に近付きました。
簡単に言えば、議会が左傾化したのです。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kamematsutaro/20230531-00351729 より。

歴代の杉並区の首長を見ても、山田宏 元区長は保守派、田中良 前区長は中道、岸本聡子 現区長は左派と言われていることから、杉並区政が徐々に左傾化していることがわかります。

そんな中、5月19日・22日は杉並区議会臨時会が開かれました。
この5月の臨時会では例年、議長、副議長、区議会の各委員会の正・副委員長を選出します。
第二回定例会(5月終わり〜6月半ばの議会)の前に議長、副議長、委員会の委員長、副委員長を決めておかないと、議案審議や報告聴取といった議事が進められないからです。

臨時会は例年、スムーズに進みます。
議長や委員長を「選出する」と言っても、事実上は事前に大体の人事が決められているからです。これは杉並区に限らず、どこの地方自治体でも同様であると考えられます。
議長と副議長、委員長と副委員長といったポストは一般の議員の仕事とは役割が少々異なり、その分、一般の議員よりも報酬が高く、それもあって公平性を保つために持ち回りとされています。

臨時会前に、
「今年度は⚪︎⚪︎さんが議長で、△△さんが副議長。××委員会の委員長は…」
という具合に議員間で情報が共有され、それに賛同する議員(全体の多数派)は、議長選挙・副議長選挙で⚪︎⚪︎さん、△△さんの名前を書き、委員会の委員長・副委員長は指名一任とします。

今回もそのように進むと思われていましたが…。
5月19日の議長選で実際に議長に選ばれたのは、事前に「今年度の議長」と情報が共有されていた浅井くにお議員(23票獲得)ではなく、井口かづ子氏(24票獲得)。(残り1票獲得は、ほらぐちともこ議員。)

https://news.yahoo.co.jp/byline/kamematsutaro/20230519-00350167 より。井口かづ子氏。

井口かづ子氏は、これまで自民党所属の議員として20年間杉並区議会議員を務めてきましたが、同じく自民党所属の浅井くにお議員にわずか1票の差を付け、議長に当選しました。

この結果には大変驚きましたが、その「事件」が起こる直前に、個人的に一つ疑問を抱く出来事がありました。

臨時会が開かれ、議長選で議長が選ばれる前は当然ながら議長が不在ですので、議長の職務を代行する議員が議長席に座り、議事進行を行います。
杉並区議会では、この議長の職務を代行する議員は「最年長の議員」と定められており、現在の杉並区議会議員の中で一番年上の井口かづ子議員が登壇しました。

私、小林ゆみの現在の議席は杉並区長の斜め向かいに位置しているのですが、井口かづ子氏が区長の前を通った時、区長と目を合わせ、区長が井口氏を上目遣いで見て、ニッコリと笑って会釈したのです。

井口かづ子氏と見つめ合ってニッコリする岸本聡子区長。
小林ゆみ画。

「おや?」と私は思いました。
それは誰がどう見ても、例えば女友達が職場でお互いを見つけてアイコンタクトを送るような、親しげなものだったからです。
しかし、区長は自民党の議員と、政治的スタンスは真逆なはずです。
「何だかおかしいな」と感じていましたが、その流れで議長選が始まり、先ほどのような結果となってしまいました。

しかも、井口かづ子氏が議長に選出された際、共産党、立憲民主党、生活者ネット、れいわ、緑の党などのいわゆる「左派」が拍手喝采を送って歓喜していました。
…ということは、先ほどの区長の「上目遣いでニッコリ」と合わせて考えると、区長・井口氏・区長派の議員たちで考えた戦略が見事成功した、と考えるのが自然でしょう。

20年間も自民党にお世話になって(恐らく無所属なら当選していないでしょう)、それは無いでしょう? 井口さん…。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/203834より。
自身が20年間お世話になった自民党よりも、
岸本区長との関係を深めることを重視した模様。

「私はただ議長選挙で選ばれただけよ。」
とご本人は言っておりますが、本当にそう思うなら、辞退して議長職を浅井くにお議員に譲っているはずです。
少なくとも、「もし井口氏が自分の名前ではなく浅井くにお議員の名前を書いており」、「左派議員が結託して井口氏の名前を書くことを本当に知らなかった」のであれば、自分が選ばれてしまったことに驚き焦り、議長職を辞退しているでしょう。
実際には驚く様子も無く、辞退せず、議長席に座り続けた(挙げ句、自民党ではなく無所属へ。)のですから、推して知るべしです。

そんなショッキングな「事件」から始まった改選後の杉並区議会ですが、なんとか臨時会を終え、本格的な議会である第二回定例会が始まりました。

第二回定例会は、一般質問(区政一般に対する質問。区政一般なので、区政に関わることであればテーマは何でも良い。)から始まります。
しかし、第二回定例会スタート時から、頭がクラクラするようなことが次々と起きたのです。

まず、議員の服装があまりにもラフ過ぎるのです。いくつか例を挙げます。
古着風のレインボーカラーのシャツに、パープルのカジュアルパンツ、足元はスニーカー。
ネイビーのジャケットに、ピンクのダボダボパンツ。
薄い綿のシワ加工シャツに、ダボダボパンツ。
ブラウスに、丸襟ニットカーディガン。
ここは大学の講堂?それとも、動物園…?と思ってしまうようなアナーキーぶり。

かつて、
「ジャケットにきちんとしたパンツやワンピースでも良いけど、議場は基本、スーツでね。」と教えてくださった松浦芳子 元杉並区議会議員のお言葉や、
「おい姉ちゃん、スカート短いぞ。膝が出ちゃ駄目なんだぞ。」
と注意してくださった故・小泉やすお 元杉並区議会議員のお言葉を思い出しては、
「松浦議員や小泉議員がもしここに居たら、倒れてしまうだろうな…。」
と思わざるを得ません。

小林ゆみの勝負スーツ。議会はスーツに限ります。

そもそも、区長が議会にレースの透けブーティーを履いてきたり、高円寺びっくり大道芸という杉並区のイベントにシースルートップスを着て来たりするので、新人議員も「あんな感じでいいんだ!」と思ってしまうのかもしれません。

更には、政治的メッセージを衣服で表現する議員たちも現れました。
「杉並ゼロカーボンシティ宣言」と書かれたTシャツ姿で登壇して一般質問する議員(緑の党のブランシャー明日香議員)、過激なフェミニストのメッセージ(Feminism Is My Second Favorite F-Word.)入りTシャツ姿で登壇した議員(れいわの山名かなこ議員)。
本来であれば、こういった政治的メッセージが書かれた服装は議場に着てきてはいけないことになっています。
これは規則で定められているため、後で当該議員は注意を受けたようです。

https://thespark.company/products/feminism-is-my-second-favourite-f-word-feminist-t-shirtより。山名議員が区議会本会議で着用して登壇したものと同じデザイン。

しかし、規則などで明文化されていないことを盾に、議会の場において新人議員の一部がやりたい放題やり始めました。
それは主に、委員会の場において顕著です。

委員会は、本会議において各委員会に振り分けられた議案や、(ある場合は)陳情・請願を審査し、区から議会への報告(議決を要しないもの)を聴取する場です。
各会派から代表が委員会に出席し(※会派の構成人数が足りず、委員会に自らの会派のメンバーを出せない会派もあります。)、限られた時間内で杉並区に対して質問して議案の問題点などが無いかチェックし、それを受けて会派としての賛成/反対を表明します。

しかし、今回の議会では、委員(議員)が言いたいことを言う、疑問に思ったものは何でも聞く場に成り下がってしまっていました。

一例を挙げます。
私、小林ゆみは今年度、常任委員会は文教委員会、特別委員会は災害対策・防犯等特別委員会の委員となりました。
6月13日(火)、朝10時から災害対策・防犯等特別委員会が始まりました。
常任委員会と異なり、特別委員会に議案(議会の議決を要するもの)が上がってくることは無く、報告聴取のみなので、お昼過ぎまで長引くことは基本的にはありません。
少なくとも、これまでの杉並区議会ではそうでした。

しかし、改選後の杉並区議会では、特別委員会でもお昼を過ぎることが多くなってきました。
それが実りのある議論であれば大歓迎なのですが、そうではないのです。

杉並区公式ホームページより。
今年度の災害対策・防犯等特別委員会のメンバー。

6月13日に開かれた災害対策・防犯等特別委員会では、台風2号等の影響に伴う水防活動状況や被害状況についての報告、関東大震災100年目の節目における区民防災の日の取り組みについての報告など、全部で5件の報告を杉並区から受けました。

委員会が10時に始まり、私は今年度、監査を務めている関係で質問ができないので、委員の皆さんの質疑に耳を傾けておりました。

台風2号についての質疑のところで、れいわの山名かなこ委員から、「避難所に生理用品は置いているのか」という質問が杉並区に対して為されました。
杉並区の担当課長(男性)からは、「一般的な生理用品は用意してあります。」と答弁がありました。
それに対して山名委員は、「タンポンや月経カップなどは用意していないのか」と質問をしました。
この時点で、私を含め気分が悪くなる委員多数。
男性の担当課長はしどろもどろになり、大変答えにくそうに「避難所に用意する生理用品についても、適切なものを今後検討していきます…。」と答弁しており、大変気の毒に感じました。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/492567/より。
男性課長に、大勢の中で一人起立させて
これについての話をさせるって、セクハラでは?

委員会室には、委員(議員)、議会事務局スタッフ、速記者、部長や課長をはじめとする杉並区職員、傍聴者、合わせて50〜60名がひしめき合っており、その中で一人起立させて、生理用品のことを答えさせる…。
これは、女性から男性に対するセクシャルハラスメントに当たるのではないでしょうか。

また、関東大震災100年目の節目に関する質問では、共産党の小池めぐみ委員から「当時、震災の後に日本人自警団による朝鮮人の虐殺があったので、そのことを人権問題として杉並区から区民向けに発信すべきだ」という意見がありました。

「防災まちづくりの為の写真展示・パネル展示において、そのようなことを発信する必要はあるのだろうか?」
そう考えていたところ、れいわの山名かなこ委員からも同様の質問がありました。

「先ほどと同じ質問、しかも防災に関係ない質問をするとは…。」
と、他の委員からも苛立ちの声が上がり始めました。

委員会資料。関東大震災100年目のイベント。当然だが、人権問題ではなく、防災の為のイベントということが見て取れる。

それでなくても、その日は委員会が通常より長引いていたのです。
本来であれば委員が事前に報告内容を読んだうえで区役所に問い合わせをして、「この質問は区への問い合わせで解決したけれど、あの質問は委員会で聞いておいた方が区民の皆様の為になるから、委員会の場で聞かねば。」といった感じで質問数を絞っていき、委員一人で大体10分以内に質問は終わります。

それなのに、その日は一人3巡(1巡が10分なので30分間)質問する委員もおり、しかもその大半が防災に関係の無いことや、区役所に電話で訊けばわかるような、特に委員会の場で尋ねる必要が無いようなものでした。

そこに来て、防災に関係の無い朝鮮人虐殺の話を延々とされ、別の委員も同じことを話し、「勘弁してくれ」と思っていたところ…
委員会の最後に、あろうことか立憲の前山直子副委員長が立ち上がり、朝鮮人虐殺の歴史を杉並区が発信すべきだ、と言い出したのです。

そもそも、委員会の委員長・副委員長は「運営側」に当たるので、「杉並区に対して質問がある」こと自体、構造的に疑問を持たれる立場なのです。
委員会の議事進行をする側ですから、かつて私が委員長や副委員長の立場で何か発言したいことがあっても、ぐっと堪えておりました。
私だけではなく、皆さんがそうしていました。何せ、議事進行側ですから。
しかも、立憲民主党会派所属の委員は、前山副委員長以外にもう1人委員会に出席しているのです。
本来であれば、会派内で質問を共有し、質問することができない委員長・副委員長以外の1人の委員に、質問を任せます。

しかし6月13日の委員会では、議題に関係の無い朝鮮人虐殺の質問を3人の委員が行い、しかもその内の1人は副委員長。
前山直子副委員長は、10分まるまる使って、「杉並区の防災イベントで、朝鮮人虐殺の歴史の展示をすべきだ」という主旨の質問を、手持ちのスマホを見ながら行っていました。

聴いていた私は、悲しみと怒りが込み上げてきました。
区民の安心・安全を守る為にどうすれば良いのかを話し合うべき災害対策の委員会において、関係の無い話を時間をたっぷりと使って行う委員・副委員長と、それを注意しない委員長(共産党)。
これまで何十年の間、杉並区議会の先人たちが、区民福祉の増進を第一優先としてスムーズで無駄の無い議会運営を目指し、議論を重ねて一つずつ築き上げてきたルールをいとも簡単にぶち壊している。
「自分の言いたいことを言えれば、それで満足?議会の場で選挙向けのアピールができれば、役所の職員さんや他の議員に迷惑をかけても平気?」
私は滅多に怒ることが無いのですが、今回は流石に怒りました。

正午を過ぎて委員会が終わった後、怒りで震えている私を見て委員長が驚いた様子でこちらを見つめていたので、自分と同じ会派の委員が出席しているにもかかわらず、副委員長が議事に関係無い質問をすることをやめさせるように言いました。
すると冨田たく委員長は「それはルールとして明文化されているのですか?」と言ってのけました。
前山直子副委員長は「他の人がやっていたから私もやりました。」と逆ギレ。

私は脱力しました。
「議会人として」、
「人として」、
「自分の主張を通すために人に迷惑をかけるようなことは、まさかしないよね。」
という性善説に基づいて、これまでルールが作られていなかったのです。

実際にそれでこの数十年間、議会運営は上手くいっていました。
「見えないけれどそこにあるルール」を破る杉並区議会議員は居ませんでした。

しかし、4月の改選後、「明文化されたルールが無いから、やってもいいんだ!」という理屈で行動する議員が増えました。

一方で、岸本区長や岸本区長派の議員たちの政治的活動に目を向けると、
・LGBT
・子供の権利擁護
・自治基本条例
など、自らの関心事に関する新しい条例を作ることや、今ある条例を拡大させることを目標にしているように見えます。
簡単に言うと、ルールを作りたいのです。

しかし、私は「不要なルールが増えること」自体に反対です。

これは私の著書にも書きましたが、日本は神道の国、八百万の神の国であり、「お天道様が見ているから、恥ずべきことや誇れないことはやめよう。」という考えがあります。
実際に、皆が守るルールであると定められたものとしては、五箇条の御誓文だけで上手くいっていた時代もあったのです。

しかしながら、今の杉並区の状況は、「新たにルールを生み出さなければいけない、混沌とした状態」であります。
議会に相応しくない服装や、議会における議題から逸れた質問や重複した質問、セクハラ発言など、混沌とした状況が生まれているからこそ、杉並区議会における新たなルールができようとしています。
彼等はそれで満足なのでしょうか?
満足なのでしょうね。ルールを作るのがお好きなようなので…。
何て皮肉な状況なのでしょうか。この可笑しさに何故気が付かないのか、何故恥じ入らないのか。私は理解に苦しみます。

このような状況であるため、ここ最近元気を無くしており、SNS投稿がきちんとできておりませんでした。
今回きっちりとnoteに現状を書きましたので、気持ちの中に一つの区切りができました。
また前を向いて、区民の方向を向いて頑張ってまいります。

令和5年6月17日
杉並区議会議員 小林ゆみ

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