見出し画像

「恥ずかしい」ことはおかしいの?

皆様、こんにちは。
杉並区議会議員の小林ゆみです。

先日、4月の杉並区議会議員選挙後初の本格議会である、杉並区議会 第2回定例会が閉会しました。(会期:5月31日〜6月19日)

最終日の19日も、議場にて議員の発言中にヤジや怒号が飛び交っておりました。
「今日も杉並区議会は激しいな。」と思って会議の行方を見守っていたところ、議長選挙にて井口かづ子氏に投票したと見られる議員(※井口氏が議長に選ばれた際、拍手喝采を送っていた議員たち)が挙手して「議長!意見があります!」「議長!動議!」と言っているのにもかかわらず、彼らを無視して議長が議事進行するということが数回ありました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kamematsutaro/20230519-00350167 より。

議長に選ばれた日に「少数会派の意見にも丁寧に耳を傾けてきた井口氏」と複数の共産党の議員にTwitterで持て囃されていた井口かづ子氏が、声を拾い上げてくれるよう嘆願した自らの支援者(?)を議場で無視するという、何とも悲しく皮肉な出来事でした。
共産党さんが可哀想になってきます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kamematsutaro/20230519-00350167 より。
井口氏を信じていたのに、お気の毒に…。

最終日までドラマの連続の杉並区議会でしたが、閉会後、私の一つ前のnoteの記事が『女性自身』さんに取り上げられました。

前回のnoteの記事で私が言いたかったことは、
「他人が不快に感じることはやめようね、という、本来であれば言葉に出して言わなくてもわかるようなこれまで明文化されていなかったルールを、敢えて言わなくてはいけないのが辛い。しかも、それを聞き入れてもらえない。
人に迷惑をかけたり困らせたり、先人たちが作ってきた議会の品格を保つためのルールを破ったりして、平気でいられるその神経がわからない。」
ということでした。
このように纏めて書くと、かなりきついことを書いたようにも見えますが、現場で働く人間として率直に感じたことを綴ったまでです。

しかし、『女性自身』さんは
「男性にタンポンの話をさせるのはセクハラ」杉並区議夫婦の持論に非難殺到「生理用品を何だと思ってるんですか?」
というタイトルで、私に関するインターネット記事を掲載しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/87f128ce48e0f96c2865b7aef945df3bf8e357c3

これに対し、私はTwitterで以下のように書きました。

小林ゆみTwitterより。

noteには生理用品のことをメインで書いたわけではなく、議会の混沌とした状況の一例として挙げただけであったので、「そこに注目する?」と驚きました。
そしてTwitterに書いたように、記事のタイトルなので短く切り取らねばならないという事情は理解するにしても、これでは私が「男性に生理用品の話をさせるのはどんな時でもダメだ」と主張しているように見えます。それは私の意思とは異なります。

「議会」という特殊な場で、多くの人が注目し、100年先まで残る議事録に残る発言として杉並区の課長や部長は発言をしなくてはならず、その中で1人起立させ、本来の議題からは想像できない「月経カップはあるのか」という質問をされた時の男性職員の気持ちを考えると、嫌がらせなのでは?というのが私の意見です。

その後、インターネットTVのABEMA Primeさんから「生理用品のことに関して6月21日に番組出演してほしい」と連絡がありました。

私の出演日は21日(水)でした。

私がnoteで問題提起した話題とは別のベクトルに話が進んでいる気がしたので、番組に出演すること自体悩みましたが、『女性自身』さんが「切り取って」書いた記事のタイトルを読むことで世間に生じてしまった誤解もあると思い、その点について、また議会の雰囲気について説明したいと思い、出演を決めました。

動画のコメントに「こいつ(私)は何で番組に出たんだ。どうせ金目当てだろ。」とありましたが、出演料(ギャラ)は一切出ていないのでお金目当てというわけではなく、皆様に議会で起きていることを知ってもらいたいという気持ちから出演しました。

番組出演時の動画はこちらからご覧くださいませ。
https://www.youtube.com/live/-zTldAIRcHk?feature=share

ABEMA Primeでは、平石直之アナウンサーが本来の私の意図を発言する機会を作ることに努めてくださり、「生理用品は必要」「生理用品を恥ずかしく思うな」といった具合に議論が脱線する度に、本来の議題に戻してくださいました。
人間が「中立でいる」ことは大変難しいので、中立の立場を守りながら公正公平に進行をされた平石アナウンサーに敬意を抱きます。

番組出演者の皆様の意見を要約します。

◆益若つばささん
「生理のことなど女性特有のことは、私自身、本当は恥ずかしいし言いたくはないし、男性に理解してほしいとも思わないけれど、社会を変えるためには自分のように影響力がある人間が率先して言うべき。
議会でも、女性が生理用品のことについて発言するべき。」

◆池澤あやかさん
「生理用品は必要なものなので、恥ずかしいと思うべきではない。
男性に生理のことをもっと理解してほしいし、オープンに話せるようにするべきだ。
そのためには女性が議会や社会において、生理のことについて率先して発言するべき。」

◆ヨッピーさん
「セクハラは、受け手がセクハラと感じたらセクハラなので、今回のケースでは議会で答弁に立った男性の担当課長が不快な思いをしたのであれば、セクハラに当たるのではないか。
因みに自分は家庭内で奥さんと生理のことは話すし、生理期間中は奥さんの奴隷になる。」

◆竹中平蔵さん
「生理のことについてオープンに話せる雰囲気づくりは重要だと思うが、今回の例では、議会という皆が注目する公の場で男性課長を1人立たせて答弁させなくても、書面で回答を求めることもできたはずだ。」

◆平石直之アナウンサー
「他の番組でも生理の話題がたまに出てくるが、男性の自分としては、大変デリケートな話題なので薄氷を履む思いで発言している。
男性の立場から発言しづらいテーマではある。」

こう見ると、男性出演者の方々は、杉並区議会で1人起立させられてタンポンと月経カップについて答えさせられた男性課長の気持ちがわかるのかもしれないな、と感じます。

竹中さんの仰るように、本当に生理用品の充実を区に求めるのであれば、書面や個別の問い合わせなど他の方法はいくらでもあったはずで、皆の前で男性課長さんを吊し上げて困らせる必要は無かったはずです。

また、特別委員会の質問は本会議での質問と異なり、事前に質問通告をしないことが基本なので、防災の担当課長はこの質問を受けて大変驚いたと思います。

番組の中で、益若つばささんが
「そんなことを言ったら、避妊リングや生理用品のことを情報発信しているこちらが下品な人間と言われているようだ。」
と発言していらっしゃいましたが、私はそういったことを言っているのではありません。
「TPOをわきまえよう。」
「相手の気持ちを考えよう。」
「議会の品位を保とう。」
ということをnoteで言ったのです。

また、動画のコメントで、
「生理用品が恥ずかしいなんて、自分は清純だとアピールするな!」
という内容のものがありましたが、私は清純でも何でもありません。
議員になる前なんか、新宿2丁目のゲイバーで友人のゲイの子達と一緒に、ママの下ネタを聞いてビールを飲みながらゲラゲラ笑っていました。(汗)

件の災害対策・防犯等特別委員会の後、委員会室に居た他の委員(議員)と、委員会での議論を傍聴した私以外の複数の杉並区議が「あの質問は男性職員に対するセクハラではないか?」と問題提起しておりました。
それを聞いて、私もあの質問を耳にした際に「恥ずかしい」と感じて嫌な気分になったので「男性職員と周りの人へのハラスメントでは」と思ってnoteに書いたのであり、私1人だけがハラスメントと捉えているわけではありません。

また番組では、主に女性陣が
「生理用品のことを口にするのが恥ずかしいと言う感覚を無くすべきだ」
と仰っていました。

それは即ち、
「恥ずかしい」
「私にその話を聞かないでほしい」
「話題として大勢の前で取り上げてほしくない」
という気持ちは封印せよ、という意味なのでしょうか。

封印せよと言われても、私は、恥ずかしいものは恥ずかしいです。
例えば、女性の身体や健康についての勉強会で、生理用品の具体的な品名を挙げて発言することにはあまり抵抗がありませんが、男女入り混じった、議事録を取られる災害対策の委員会など、その質問が想定されていない場で1人起立させられて発言することは恥ずかしいです。

そういったシチュエーションで「恥ずかしい」と思うことは、おかしいのでしょうか?

近年、「恥ずかしい」「そっとしておいてほしい」という気持ちをもつこと自体を、
「それを恥ずかしく思うことがおかしい。恥ずかしいと思うな!」
と言われることが増えてきている気がします。

ただ、日本には明文化しない、奥ゆかしさや言葉の裏に潜む意味を大切にする文化があり、私はその文化が日本を日本たらしめていると思います。
いつでも何でもオープンに話せることが正義かというと、特にここ日本では、そうでないということも多いのではないでしょうか。

私が和歌を詠む習慣があるから特にそう思うのかもしれませんが、私個人としては、日本の奥ゆかしさや、全てを詳らかにしない秘匿の文化を大切にしていきたいと思っています。

議会の品位・品格を守ることも大切であると考えています。
前回のnoteでは書きませんでしたが、私が初当選した8年前に様々な会派の先輩たちから、
「議会は区民の皆様の信託を受けた議員によって条例が作られる、神聖な場所。
議会人として、有権者の皆様方に恥ずかしくないよう、品位のある行動を心がけてね。」
と、議会人としての振る舞い方を教わりました。

先輩達にとって、私の行動で何か気になること(例えば、私が議場で新聞紙をガサガサ広げて読んで質問作りしていた時がありましたが、その時など)があれば、その都度呼び出されて注意され、世間知らずな私は、先輩に注意してもらったことを有り難く思いました。

しかし、それが今は通用しないのです。
注意しても、「それは明文化されているのですか?」と返ってきます。
その悲しい現状の一例として、先ほどの生理用品の質問の件を取り上げただけです。
『女性自身』さんでも、『ABEMA Prime』さんでも、私の意図とは異なる議論が展開されており、歯痒さを感じます。

いずれにせよ、議場や委員会室に立ったことの無い方には、あの特殊な張り詰めた雰囲気はわからなくて当然なのかもしれません。

地方議会で何が起こっているか、雰囲気だけでも感じてほしいので、皆様にはお住まいの自治体の議会の傍聴に足を運んでみていただければ嬉しいです。

また記事が長くなってしまいましたが、私が日々疑問に思っていること、日本人として、議会人として大切にしていきたいことが伝わると嬉しいと思って書きました。

また議会の様子をnoteでお伝えできればと思います。

令和5年6月22日
杉並区議会議員 小林ゆみ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?