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エセ登山者を脱して、伴走者になろうと試行錯誤しているライターの話

発達ナビでライターを始めて、1年ちょっとになる。

お誘いいただいたこのアドベントカレンダー。
何書こうかな~まずは、もがき苦しみながら書いていた初めの頃とか振り返って、そこからどうやって今に至ったのか書こうかな~とかとか思ったけど、

やめた。

そうだ私、「書くこと・伝えること」をお題にするなら、まず初めに振り返るべきことがある。

「あなたの心を震わせた風景との出会いに関して、本文の意図に沿って、300字以内で論じなさい。」

当時、高校3年生冬。第一志望の大学の合否が決まる、筆記試験。

数学音痴な私は迷わず国語選択をし、この日のために300字論文演習を何度もなんどもやった。単なる要約から意見表明、筆者の意図の読み取りなど、さまざまなタイプの300字を書いては直し、書いては直してきた。

そして、当日対峙した一問。
私は一瞬面食らったものの、すぐに書き始めた。一字一句は覚えていないが、1つだけ、はっきり思い出せることがある。


私はこの時、嘘をついたということ。


なんと私はこの300字マスの中で、富士山の登山者になり、ご来光を拝み、涙ぐむという心の震えを演出したのだ。(実際は、富士山を登ったことも、ましてやご来光を拝んだことも、もちろんない)

心が震えるような風景=感動して涙が出るほど綺麗で壮大な風景(という事例が本文中にあった記憶がある)=富士山から見るご来光を見たという想定で書けば解答として最もらしいのでは!?

今から振り返ると、なんて安易かつ短絡的な発想…よっぽど余裕がなかったんだな…と思うのだが、その時の私はとにかく必死だった。この問いかけに対して、自分を殺してでも登山者(偽)になりきり、正解要素を詰め込んでやろう、と。

この時の私にとって、書くことは自分の目的実現のための、ただの「ツール」でしかなかったんだと思う。自分がこれだ!って思った正解へのフローを、書くことを以てして相手にぶつけていた。


その3年後、まさかこんなに書くこと・伝えることにどっぷりとつかるなんて。

私が今、発達ナビで、書くこと・伝えることに日々向き合い続ける「ライター」をしているだなんて…びっくり。3年前の私は予想もしてなかった。

幸い、あの時のトレーニングのおかげで、書くことそのものに対する苦手意識はそんなになかったし、ライターを始めて数ヶ月ほどで「順調な立ち上がり!」と褒めていただけたこともあった。

そして書けば書くほど、コメントを頂けたり、SEO上位を獲得できることが増えたり、担当記事の幅を広げられたりと、充実感を覚えていた。


「若林さんは、読者のことをよく考えて書いているライターだね」

そんなある時、いつも一緒に仕事をしている編集者さんから、本当に、本当に嬉しい言葉をいただいた。

その言葉をかみしめていたら、受験生の時のあのエピソードがフラッシュバックしてきたのだ。

あの時の私は、嘘をついたり、事実を捻じ曲げたりしてでも、ある到達点に至るため、目標を実現させるため、つまりは自分のために書くことを"利用"していた。

それが、その時の私にとって最善策だったし、書いて伝えることの最大の活かし方だった。

一方、現在。発達ナビというメディアの中で、ライターとしてさまざまな記事を担当した。その度にちょっとずつ異なる読者像を思い描き、抱える悩みや不安に、自分なりに寄り添ってきた中で、見えてきたこと。

読者の抱える不安や悩みをとことん調べて、どんどん細分化する。そうする中でわかった、記事の最終的なゴールを捉える(このゴールっていうのは、読者の本来目指しているなりたい像や、困りごととソリューションの対応性とか、さまざまに要素分解できるのかなあ、と感じている)。

そして、どのように伝えたら、読者と一緒にそのゴールへたどり着けるか、考えて文字にする。

とはいえ、先回りして上から目線で導くわけでも、後追いしてフォローするわけでもなく…どうやったら隣同士並んで、ゴールを目指せるのだろうか。


と、ここまで書いて、

「あ、私はエセ登山者から抜け出し、読者にとっての”伴走者”みたいな存在になりたくて、ここまで来たのかもしれない。」

ふとそう思った。

なんていうか、がむしゃらに自分が!とか、書きゃーいいんでしょ、書きゃ!みたいなちょっと乱暴なエセ登山者的発想を抱いていた時代を終えて。

じゃあ、書くって場面でどうなりたいのか、どう読者と向き合いたいのかって考えたら、伴走者という比喩が、自分の中でしっくりときたのだ。

とはいえ、伴走者=ランナーの隣でサポートしつつ走る人、というあっさりとした認識しかない私は、伴走者ってどんな人なのか、ちょっと調べてみた。

伴走者はランナーに声をかけてコースを誘導する。例えばマラソンでは、「向こう!」「あっち!」では伝わらない。「20メートル先に90度の左カーブ!」「5センチの下り段差!」など具体的に指示する。コースの状況を見ながら、ランナーのペースに合わせて走る。相当な走力と状況判断の能力が必要な役割だ。

伴走者についてはいくつかルールがある。ランナーを手で押したり、引っ張ったりしてはいけない。また、伴走者がランナーより極端に前を走ると、「ロープを引っ張って走るのを助けている」とみなされ、失格となる。フィニッシュの時に伴走者がランナーより先にゴールすると、これも失格だ。レース中に伴走者が反則してしまった場合、ランナーの反則とされる。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/para2016/feature/20160908-OYT8T50046.html

なるほど。ちょっと読んだだけでも伴走者ってこんな力が必要そう。
・そもそも自身が高パフォーマンスで自走できる
・パートナーの特性・環境との相性とかが把握できている
・ゴール到達までの状況を逆算して、今どうするべきか判断できる
・これやったら失格とか、タブーの線引きができている


う〜スキル高っ。マルチタスクッ。

でも、もし自分が伴走者的なライターになれたなら。読者の方々へより多くの気づきをもたらしたり、言い表せないような不安感を拭う手助けがもっともっとできたりして。

私はまだまだ、伴走者的なライターには程遠い。読者が抱える悩みを先回りしすぎて、却って不安を煽ってしまったり、筋違いな解決策を提示してしまったりすることなんてザラにある。

それでも、読者の隣で走って、一緒にゴールを追い求められるような、そんなライターをめざして、今日も書き続けたいと思います。

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