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【ボストン研修レポート⑦投獄(後)/貧困/差別の中にいる若者を支援する団体】

7日目となるJWLI研修。朝一からプログラム側から連絡あり、コロナの影響があり、ここから3日間隔離生活が始まりました。(私自身は陰性でいたって元気です)

財団側もとても判断が早く、数時間の中ですべてのプログラムをオンラインに切替(3日間のみ)ということで学びを続けられるように整えてくれました。本当にありがたいです。

ということで、オンラインの画像しかないですが、昨日お話を聞けたロカ(Roca)という投獄(後)/貧困/差別の中にいる若者を支援する団体とテックゴーズホーム(TechGoesHome)というテクノロジーがすべての人に届くように支援している団体の2団体の話を共有したいと思います。

ロカについて

ロカの使命は、トラウマに対処し、希望を見出し、変化を促すために、都市の暴力の中心である若者、警察、システムを関係づけることによって、投獄、貧困、人種差別を打破する絶え間ない力となることです。

ロカについて(ホームページより)

ロカ

投獄された若者(18-24歳)の74%が一年以内にまた逮捕されるそうです。もちろんそうしたくて投獄生活に戻る人なんてほとんどいません。それくらい現実世界が厳しく、自分がどれだけかわっても、戻る先の関係性(家族や友達)や環境が変わっていないこと、仕事につけないなかで様々な支払いに追われること等から再度犯罪を犯してしまう。

「明らかにシステムがうまくいっていない。」
とお話をしてくれたEmilyFishさんが言っていました。

うまくいかない理由はスティグマ。多くの人は彼らはもう更生しないと思っている。でも、この団体は、バスケットコートや家までいって何度も何度も会いにいき、支援につながるように一人の人に8か月以上はたらきかけつづけるとのこと。信頼をえるまでとにかく時間がかかる。

必要なのは、貧困から抜け出し、ちゃんとした資源につながること。仕事についたり、関係性をつくるための言葉遣いや思考のくせを1人あたり4年かけて変えていくということをしています。使うのは、認知行動療法(CBT)の手法。関わるスタッフにも有効とのことでした。

学んだことの一部を箇条書きします。
・最も大事なのは安全と安定(Safety and Stability)。
・たたかれること、罰せられる事いろんなことへの恐れが自分の身を守るために反射神経のように反応する。それが怒りとして出てくることもある。自分の怒りが何からでてきているのか語れるまで時間がかかるが、そうしたことを話したりすることがとても大事。
・関わるスタッフも施設長も誰一人、ソーシャルワーカーはいない。CBTを学び、日々ずっと活用しながら、困難な状況に置かれてきたこどもたちと接している。時にはスタッフ自身のトラウマが行動や言動に影響を与えてしまうことがある。ずっと繰り返すことが重要。
・どのようにやるか:

感じる、考える、行動するのサイクル ©RAC

この上の図のサイクルをひたすら回すだけ。例えば同僚同士でも「今私は彼の差別的な言動に怒っている、一緒に働きたくない!」という人がいたら、その怒りはどこから来ているのか、そう考えることによってどんなことが起きるのか、ということを話しながら明らかにしていく。

・ソーシャルワーカーをふんだんに揃えるのは簡単ではない。でもシンプルなこういう原則にのっとってしっかりと深めて繰り返すことでできることがある。インフォーマルな場における研修ということにおいては、いろんな手法があるがあれこれ手を出すのはよくない、繰り返すことのほうが有効。

・こうしたことを通して、関わっている人の再犯率は35%になっている。
・家族友人のところに戻ることが時には再犯につながることがある。そうした関係性を断つことは気持ちの面で時には生涯かかるような辛いことでもある。でも、自分のためにもコミュニティを見つけることが、つくっていくこともできる。自分のことはコントロールできても相手はできない。そういうことも伝えていく。
・どのようなアウトカムを目指すかをはっきりとさせる。投獄される若者を減らす。よりよい子育てを目指す。等彼らにとっての価値を明らかにしてそれにつながることをできていることを常に確認する。そうしたことがモチベーションにもなる。
・自分にとって、一人一人の若者と接することがモチベーションになっている場合その時間を1日必ず30分とることにしている。一日中でなくてもよい、その30分とることでモチベートされてそれ以外の仕事への充実度もあがる。そうした自分のモチベーションがどこからきているかを大切にし続けること。


尚、TechGoesHomeについては、またそれはそれでとってもよい話を聞けたので、別記事にします。
一旦本日はここまでで!