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佐久間裕美子のMyLittleNewYorkTimes

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書籍化したMy Little New York Timesから1年前の今日の日記と今年の日記を対にして不定期にお届けします。
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記事一覧

毎日がお祝い

今日、無事に選挙人の投票が各州で終わった。 昨日、これまでトランプ陣営が起こしていた訴訟がすべて終わり、59回目(!)の敗北を期して、法律的なハードルはすべて排除されたとはいえ、週末、DCやオレゴン州で白人至上主義者が暴れていたし、共和党の極右が独自の選挙人を派遣すると言い出したりもしていたので、不安がなかったとは言えない。ミシガン州議会は、脅迫を受けて、手続きに参加する人以外の入場を禁じることを決め、選挙人を投票の資格を持たない共和党議員が議会に押しかけたけれど入場を断ら

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カンナビスの熱い日(と上院のあれこれ)

★このマガジンは12月25日で廃刊します。 2日連続、カンナビス界に大きなニュースがあった。 まず、2020年の春に予定されていたが、COVIDのせいで遅れていた国連の医薬委員会が開催され、WHOの勧告に従ってもっとも危険な医薬品のリスト「カテゴリー4」から、カンナビスを外すことが可決された。

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11月20日 いま私たちは何を見せられているのか/クーデター、未遂に終わる

19日、校了作業が佳境に入り、数時間、ニュースを見ないで放置していたときに、かかってきた電話に対応しながらTwitterを開くと、いきなりジュリアーニの額から黒茶色い液体が筋となって流れている画像が登場してぎょっとした。ミシガン州の「不正」訴訟にしゃしゃり出たジュリアーニが記者会見を開いていたのだが、次に目についたのは、同僚のシンディ・パウウェル弁護士が壇上に立っている間に、横にいるジュリアーニがハンカチで鼻をかみ、なぜかかんだ内側をわざわざ外に折り直して、さらにそれで自分の

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11月15日 cakesの再び炎上案件について/大統領選挙のゴタゴタを一度俯瞰で見てみる

今週末 cakesがまた炎上していた。編集部で企画を公募し、「ホームレスを取材する」というテーマで選ばれた企画を見てみたが、本当に悲しくなった。誰にでも起こりうる「家をなくす」という不遇に陥った人たちを、特殊な生態の人々を観察するような目線で描く軽い文章で、メディアとして存在する組織が、これを「編集」して掲載したことにはつくづくがっかりした。 この世の中に家を持つことができない人たちがいる、という現象は何も新しいものではないけれど、アメリカ中のホームレス人口は増加の一途を辿

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11月12日 ディスインフォーメーションの歴史を考える

今週の頭とはまったく違う気分で1週間を終えようとしている。この一週間、トランプが状況をひっくり返すことのできるわずかにあったかもしれない道が、一本、また一本と消えていくのを見たからだ。 トランプは、負けを認めないままホワイトハウスを退去するのだろうというのが大方の見方である。ホワイトハウスのトランパー派のスタッフが、権力を移譲するための手続きを拒み、バイデンが安全保障のブリーフィングを受けられずにいることについても、共和党サイドのポリシー系(というか、トランプ政権以前から政

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11月8日−10日 バイデンのコロナ諮問委員会/ベビーシッター化する共和党/民主党内の闘い始まる/オバマケアはサバイブするか

先日のポストに、長いトンネルの光が見えてきた、と書いたけれど、すぐにわかったのは、そこまでの道は平坦ではないということだ。

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11月7日 トランプ時代という地獄の終わりと新しい夜明け

終わった、とにかく終わった。あ、いや終わってない、トランプ時代は。でもとりあえず、選挙は終わった。長くて暗いトンネルの出口の光がようやく見えてきたということだ。 トランプ陣営は、票のカウントの差し止めや郵便票の無効を求めて、闇雲に法廷での戦いを仕掛けているが、これまでのところ9連敗である。

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11月5〜6日 虚報をノックのように打ち返してみる/虚報のリアルダメージ/トランプ離れする共和党/世紀のドラマが展開している

この二日間は、ひたすら、虚報と格闘しています。 (追記★申し訳ありません、最初のポストのときにDailyにあげるのを忘れてしまい、今追加しました。もしDailyの購読者で、この記事を別買いしてしまった、という方がいらっしゃったら、sakumagshop@gmail.comまでご連絡ください!)

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11月4日 大統領選挙 一夜明けて

アメリカ各地の投票所が閉まり始めて、1日半ほどが経ちました。 いやいや、大統領選。当日まで、たくさんのメディアや学者や論客といった人たちによってありとあらゆるシナリオが描かれたように思いましたが、誰も予想していなかった展開になって驚いたのなんのって。 日本のテレビは、ずいぶんトランプ優勢路線で突っ走ったと聞いていますが、

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11月2〜3日 日記+私的大統領選ウォッチガイド(日中の経過)、上院選挙、マリファナ住民投票

選挙の日が明けた。この朝を、大変静かな気持ちで迎えました。 速水健朗さんがパーソナリティを務めるラジオ番組「スロニュー」に出るために早起きしたら日が昇るところを見ることができた。憧れの早起き。ルーティーンにしたいけど、なかなかできない。 選挙前日は、買い出しにでかけた。しばらく家をでなくても大丈夫なように。私が住む地域でなにか恐ろしいことが起きる可能性はおそらく低いのだろうけれど、トランプが勝ちを宣言した場合、または敗北を認めなかった場合に備えて、組合や教会のリーダーたち

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10月30日 共和党による投票妨害/ミリシアの歴史をポップカルチャーで学ぶ/武装するリベラル

トランプ大統領が、しばらく前から、支持者に「投票所の監視」を呼びかけていたこともあり、投票所に押しかけて投票に訪れた人たちを威嚇する事件が全米で起きている。 ↑刀を振り回す人まで出てきちゃって大変である。共和党のお家芸。昔から、黒人やラティーノが多い地域に白人がでかけていって、武器をちらつかせたり、言葉で脅したりしてきたわけである。 投票妨害は、立派な犯罪です、と言いたいところなのだが、1982年に、共和党が非番の警察を雇って黒人居住区域で行った投票妨害が原因で作られた法

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10月24〜25日 1908年以来の投票率/ウイルスを「制御しない」という国策/ボラットが訴えられない理由/スター誕生

この日記を書いている時点で、エイミー・コニー・バレット判事が任命されてしまい、決まっていたとはいえ、それでも、これによって人生を左右される貧困層やLGBTQ+、移民や既往症を持つ何百万人という人々のことを考えると、悔しく、悲しく、呆然としている。

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10月21日〜22日 私的討論レビュー/クリステン・ウェルカーのキラーパフォーマンス/映画「ボラット」が落としたジュリアーニの爆弾

昨日の日記を書こうと思っていたらディベートを見てしまったので、2日分まとめることにします。 まずは大統領選挙ディベートの話から。 とにかくモデレーターのクリステン・ウェルカーが素晴らしかった。今回に限らず、私は、ディベートのときに、モデレーターに一番寄り添ってしまう癖があるのだが、選挙前から、大統領に(事実と反して)民主党支持者としてTwitterで攻撃されていたから、やりづらいだろうなと思っていた。大統領にあんなふうに被せられ続けて、毅然とした態度を崩さず、動揺もせず、

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10月19日 ズーム会議中オナニーが発覚してジャーナリスト停職処分/セックス・スキャンダルとホモソ/選挙のカギを握る女性有権者

自分がひよっこの記者助手の頃から、憧れのニューヨーカー・マガジンのスタッフ・ライターとして、またCNNに登場する法律アナリストとして、常にそこにいたベテラン・ジャーナリストのジェフ・トゥービンが、ズーム会議の最中にナニを出しすという事件が起きて停職になった。

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