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ニューヨークで生き残るために

ニューヨークという場所は、自分にとっては、いつしかリラックスできる「ホーム」になったわけれど、世の中的には、物価のめちゃ高いタフな街、ということになっている。実際それは間違っていなくて、とにかく物価が高いし、競争も激しい場所だから、生き残るのはもちろんなかなか簡単ではないのだけれど、今も私がそこで暮らすことができているのは、何人かの天使に出会ったからということにほかならない。その最たるものは、私が払える範囲の決して高いと言えない家賃で、ブルックリンのアパートと山の家を貸してくれるている大家さんたち。そして、いつもおまけをしてくれる車のメカニックさんとか、今となってはときには長電話をするような友達になった管理人のマーヴとか、そういう天使たちのおかげで、私の生活は成立している。私のまわりで、長くニューヨークに住み続けている人たちにも、やっぱりそれぞれの天使がいて、だからみんな、いまだにニューヨークでやっていけている。

そんな友人の天使の一人で自分にとってはネイバーだった人が、人生の戦いに敗れて、荷物をまとめて引っ越すことになったという悲しい話を知った。

建築のプロジェクトの責任者として、雇った人たちに給料を払う立場になったようなのだが、結局そのプロジェクトがパーになって、立ち行かなくなった。あまりにあっという間に起きたから、お別れを言うチャンスもなかった。

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