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10月13日−19日 名古屋・小松・根室

*日記を7日ずつ分、まとめてアップしています。初月は無料です。

10月13日

 前日、名古屋に入るために、インチョン経由で福岡に入った。台風19号の威力は破格で、福岡にも強風が吹いていた。名古屋は以外と静かだったようだ。まだあたりが暗い6時前に福岡のホテルを出て、新幹線に乗り込む。眠いけど、名古屋に着くまでに片付けなければいけない原稿がある。格闘していたらあっという間に着いてしまった。荷物をガラガラと引きずり、愛知芸術文化センター に直行。

 あいちトリエンナーレに行きたいあまり、旅を金銭的に正当化するために、猫町倶楽部の山本多津也さんに相談して、読書会を企画してもらったのだが、あいトリと同じビルに場所を取っていてくれたのだったが、福岡からの旅に時間がかかり、始まっていたイベントに駆けつける形になった。

 読者会に参加したのは、2度め。前回は、90人近くが参加してくれたのだが、今回は、題材がマリファナについての本で、土曜日の朝というイベントなだけに、何人来てくれるのだろうかと不安だった。けれどかなりの盛況で、大阪からわざわざ来てくれた人もいれば、前回からのリピーターもいた。
 午後は、メイン会場で、表現の不自由展の一時中止に抗議して展示を取りやめたり変更していた作家たちの作品を中心に、前回の訪問で見そびれたものを中心に回った。あまり楽観していなかったが、ハードルの高かった小泉明郎さんの映像作品も、表現の不自由展も奇跡的に見ることができた。自分の引きの強さにビビりながら、メイン会場が閉場するまでの時間に、見残した作品がないよう右往左往した。

 夕方は読書会の懇親会。閉店のスナックを会場にマイクを握って、あいトリとマリファナ問題に共通する「表現の自由」について話をする。次々とビールがやってくるのですっかり仕上がってしまった。

 一番印象に残ったのは、ある女性からの言葉。大麻を吸うという習慣のなかった日本にGHQがやってきて、大麻を違法にしたとき、日本人の感覚としては「カンガルーを家で飼ってはいけません」と言われているくらいの遠いことだったのではないか。今も多くの日本人にとっては、大麻はカンガルーくらい縁のないものなのではないか、と。

 知らない人とこういうディスカッションをじっくりできる読書会は貴重である。帰り道、山本さんと話をしたら、「どこの街にも読書会がある」状況が目標だと言っていた。猫町倶楽部でなくても良い、と。

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