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恐怖心を克服したい

MIAのドキュメンタリー「Matangi/Maya/M.I.A/」を見た。

彼女の音楽はずっと見てきたし、ビデオが出るたびにド肝を抜かれることもしょっちゅうだった。かっこいいのはもちろんのことだけれど、「すごい度胸だ」とビビることも多かった。民族とか国家の描き方を見て、こんなことして大丈夫なんだろうかって心配になるレベルだった。特に赤毛の少年たちを集めて処刑する「Born Free」はその最たるものだった。

一番ビビったのは、MIAのプロフィール記事を書いたニューヨーク・タイムズ・マガジンのリン・ハーチバーグの携帯電話番号をツイートしたときだ。自分は人にインタビューするほうが仕事なので、こういうのを見るとどきーっとする。正直、こわ、と思った。

なぜこのタイミングでドこのキュメンタリーを見たかというと、友達の女性が編集をしたからである。

MIAは、もともとドキュメンタリー作家になろうと思っていて、音楽デビューする前に、700時間に相当する映像を撮りだめていた。テロリストとして服役した父親が家に帰ってきたとき、スリランカの少数民族タミル族の親戚を訪ねたとき、ずっと映像を撮っていた。自分を撮ったものもけっこうあるし、ブレイクしてからのものもけっこうある。今回の映画は、それを編集したものである。編集した彼女には本当に頭が下がる。

これを見ると、人気になり、その過程で、彼女のミュージシャンとしての成功へのドライブが、タミル人の置かれた状況に関心を喚起したいという気持ちによるところが大きかったこと、また自分が西側に暮らして「声」を持つ唯一のタミル人として声を上げなければと感じていたことがわかる。

ニューヨーク・タイムズ記者の電話番号の晒し事件も、記者との会話の映像つきで登場する。美しい外見のスリランカ系イギリス人のMIAは、自分のことを西側社会で唯一声を持つタミル人だと自覚し、スリランカでタミル人たちが虐待に遭っていることに関心を集めようとするが、西側メディアの多数が彼女を見下したり、政治的な発言を無視するような対応をしていたことがよくわかる。ニューヨーク・タイムズの白人女性ベテラン記者もその一人だった。MIAのことを「スード(ニセ)アクティビスト」と呼び、「MIAはトリュフ・フライを食べながら言った」と書いた。トリュフ・フライを注文したのは、リン・ハーチバーグだったという。今、この事件の裏側をMIAの側から見て、いろんな戦いの裏にいろんなハートブレイクがあるのだなあ、改めて。

備忘録:MIAのニューヨーク・タイムズとのツイッター戦争(TheDailyBeast)

この映画は、日本ではまだ見られないらしい。残念。

そして、ここからはパーソナルな話。

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佐久間裕美子のジャーナル、裏バージョン

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ひゃっほう!
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佐久間裕美子 明日は明日の風が吹く

文字を扱う商売。ニューヨークに家がありますが、いつもあっちをフラフラ、こっちをフラフラしています。著作に「#My LittleNewYorkTimes」「#ピンヒールははかない」「#ヒップな生活革命」。ニュース観察日記は Sakumag.comにて。

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