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🎀作品紹介🎀 名もなきヒロイン

昔から隠れたモノの美に魅力を感じてきた。
なぜならそこには悲しみや痛みとともに、矜持や諦観が感じられるから。
生涯を通じて、隠れたモノ、隠されたモノを見つめる眼を養っていきたい。

海外で全盲の方々と登山をする活動をしている作家が次のように述べています。

何回かの登山の機会に、必ず数人の全盲の人が軽々と頂上を極めた。
私はその健さに拍手を贈ると同時に、いつも彼らの傍らにぴったりと付き添い、殊に下山の場合には、一歩一歩足場を確保させていたボランティアの人たちに深く感謝した。
視力障害者より疲れるのは彼らボランティアの方だが、称賛はいつも視力障害者だけに送られる。

その作家は、このような不均衡は障害者の尊厳のためにも良くない、と加えています。

私は常々こういう隠れた功労者を評価する人間でありたいと思ってきました。
例え世間から評価されなくても、粛々と自分のすべきことができる人は本当に勇気のある強い人だと思います。

登山の世界に伴走者がいるように、音楽の世界にも伴奏者がいます。
ソリストの奏でるバイオリンの美しいメロディは、大きな感動とともに、人々の心に深く響きます。
そんな脚光を浴びる主人公を立てつつ、その背景となる音を奏でるのが伴奏者の仕事。
彼女はソリストのサブとして扱われるため、誰がやっても同じ、存在感がないというイメージを持たれがちです。

しかし、演奏において伴奏者の果たす役割は計り知れません。
彼女の奏でるピアノの音色は、ソリストの演奏に不可欠な要素なのです。
ソリストの呼吸や心の内を読み取り、その音楽性に沿いながらも独自の音を表現できる能力。
また、音のバランスやハーモニーの美しさを計算しつくして演奏できる能力は人々による称賛に値するはずです。

私は、昔から隠れたモノの美というものに魅力を感じてきました。
皆がソリストに注目している中にあっても、自分だけは陰の立役者である伴奏者の表情や仕草を読み取り、その心情や思いを感じることに価値を置く人間でありたいと思っています。

生涯を通じて、隠れたモノ、隠されたモノを見つめる眼を養っていきたい、そんな気持ちを新たにしつつ、この作品を描きました。

作品ページはこちらです。
https://opensea.io/assets/ethereum/0x495f947276749ce646f68ac8c248420045cb7b5e/66090858158364925457028345025784853895341324385003537267860495349963303157761

引用元
ざいだん模様情報
https://nippon.zaidan.info/kinenkan/moyo/0001019/moyo_item.html

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