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【ライナーノーツ】コンセプトEP「トーカ」「メイキングドラマ」「idea」

みなさんこんばんは、あなたの夕凪みちるです。
え、いつの話?という感じですが…
今やらないと一生書くことがなさそうだったのでキーボードを叩いています。

これまで2022秋M3~2023秋M3にかけて、3つのコンセプトEPを作成してきました。
これらは旧LazuL曲とは違い、完全に私夕凪みちる発でそれぞれ制作を進めました。
いつか書く詐欺をしていましたが、今回のM3も無事終わったので、このタイミングでそれぞれ当時を振り返りながらライナーノーツとやら書いてみようと思います。


コンセプトEP「トーカ」

『透明な君に、花を贈る』

君を歌にしよう。
色とりどりの花を束ねるように。
そうすれば、君は永遠だ。

特設サイト:https://sakurarium-toka.tumblr.com/
通販:https://yunagi-michiru.booth.pm/items/4291153
各種配信:https://linkco.re/QfVp6p3h

コンセプトEP「トーカ」

「トーカ」を束ねて、もう透明になったあの子に贈る。
掘れば出る話なのですが、私夕凪みちるにはデビュー当初相方がいました。
彼女はいろいろな事情があって、活動開始から早い段階で透明になりました。
彼女の存在はどんどん透過されていく、そんな彼女を永遠にしたいという祈りをこめたのが「トーカ」EPでした。

EPを作成する際、コンポーザーには「トーカ(トウカ)」という単語から各々がイメージした楽曲を作ってほしいと依頼しています。
透過・投下・灯火…好きに漢字を当てはめてください、と。
色とりどりの曲を作りたい、言葉を選ばずに言えばジャンル闇鍋EPにしたいという狙いもありました。
初めて自主制作するEPにして、なんちゅう依頼の仕方してんねん…という感じはありますが、この作り方は一年後にさらに進化(ほんま?)するのでした。

透過(作編曲:Itsuki Miyamura / 作詞・作曲:夕凪みちる)

Itsuki Miyamura氏が選んだのは「透過」で、揺らぎ、水面などを感じるinstを作成いただきました。
そこからメロディと作詞で、美しくて痛みの伴う再生を描きたいと構想を経て完成した曲です。
この曲に関しては、歌詞で全て伝えたいことを書いてしまっているので掘り下げるところが正直なところほとんどないのですが、裏話としてはモチーフとして自分の好きなコンテンツへのオマージュが含まれています。

憧花(作編曲・作詞:ミズナイオリ)

ミズナイオリ氏が選んだのは、憧れの花と書いて「憧花」。
Tr.1とうってかわってかわいらしさ・いじらしさを感じる曲になりました。
ミズナイオリ氏曰く、吹奏楽部の先輩の憧れの人、その人がやめた後自分が部長引き継いでいくというストーリーから作られた曲とのことです。
吹奏楽の楽器の音が使われていたり、突然凶悪なドロップが来たりとまさにミズナイオリ氏にしか描けない楽曲で、初めて聞いた時は手を叩いてしまいました。
この曲については、いただいたイメージから全力でACTするという方向で録音をしました。
私はあの子に先輩と呼ばれていました。あの子の想いも載せられるように、そんな気持ちで完成した曲でした。

藤花(作編曲:nardius / 作詞:夕凪みちる)

藤の花と書いて、「藤花」。
この曲の初稿を聞いてすぐに、「かくしてぞ 人は死ぬといふ 藤波の ただ一目のみ 見し人ゆゑに」という万葉集のうたを思い出しました。
nardius氏からは、『2:20-3:17で転調がきて、かつメロディも陰音階下行形(「さくらさくら」などで使われる音階)をベースにしていて、少し暗めというか張りつめた雰囲気にしている。この部分は、藤の花言葉のうち「決して離れない」「恋に酔う」など強い執着心を表したワードをイメージしている』と最初にいただいていたのもあり、藤の花言葉より美しさや儚さの中に潜むどろっとした魅力のようなものも詩の中に含めたい、 古来より男は松・女は藤に例えられる文脈があるので、「マツ」という単語も上手く使えたらなあと思いながらの作詞となりました。
結果的には言葉遊び・古典引用をふんだんに盛り込んだ楽曲に落ち着きました。
収録時は嫋やかでかつ少しドロッとした熱を感じさせるように何度もセルフリテイクした記憶があります。

冬華(作編曲:nardius / 作詞:夕凪みちる)

冬の花、そして冬の香から着想して作られた「冬華」。
花だけではなく、周囲の木々や冬空、雪なども含めての情景の動と静が見事に表現された曲だと感じています。
思い描かれた景色は、幼い頃庭の生け垣に咲いていた寒椿とそれを世話する今は亡き祖母の背中でした。
椿の生と死・生命力を象徴する花であり、それを元に死生観を歌う詞を綴りました。
花は何のために咲くのか、落ちる花弁は、眼を揺らす光は、やがて訪れる春は。
人はみな花。彼女も、祖母も花だった。そして、私自身も春に手を伸ばす花なのです。

憧花(Quells Flowering Remix)

フィジカル版限定のRemixのシークレットトラック。
Tr.4で花が落ち、そして再度花開くという流れをつくりたかったので、曲順としてもコンセプトEPを締める最後の曲としても美しい作りになったと思っています。

アートワーク(イラスト:いぶ木)

持っている花は、彼女の分身であるサクラソウ。

本当に絵がうまい友達。依頼してよかった。
デビュー当初からイラストの協力をしてくれた彼だからこそ描けた表情だと思います。

コンセプトEP「メイキングドラマ」

『仮面を纏う、私が私になるために』

誰もが演じているこんな世界で、私は私になる。
あなたが欲しいのはどんな私?
私が欲しいのはどんな私?

特設サイト:https://sakurarium-makingdrama.netlify.app/
通販:https://yunagi-michiru.booth.pm/items/4742877
各種配信:https://linkco.re/UBsp251G

コンセプトEP「メイキングドラマ」

メイクは仮面であり、武装であると思っています。
友達に会う時、仕事に行く時、好きな人に会う時、私たちは日常から様々な仮面を心にも身体にも纏って生きています。
そして私は、夕凪みちるという偶像を投影するための仮面も持ち合わせています。

コスメをテーマにしたEPの制作は数年来構想していたものでした。
今回はリップ・チーク・香水・ネイルをピックアップして、それぞれのアイテムにまつわる楽曲を制作しました。
納期とお財布の都合で泣く泣く削ったアイテムも多いので、このEPについてはPart.2を作ってもいいと思っています。
というかこのEP、まだ一個もMV作れてないのマジ?

メイキングドラマ(作編曲:chocck / 作詞:夕凪みちる)

表題曲となるこの曲は、以前ご縁をいただいたchocck氏に依頼いたしました。
ドラマに仕立てるという意味でつけたタイトルですが、もちろんプリパラも意識しています。女児アニメに真剣になれないやつは何させてもダメだぞ。
鏡の前でメイクをしているときのトキメキを全面に出し、まるで変身バンクのように在りたい私になっていく様をうまく曲に落とし込んでいただいています。
一方でこの曲は偶像性をかなり意識した作詞・歌い方をしています。この曲は二番からが本番です。
Vtuberはだれでもある種の偶像です。
私は活動において、夕凪みちるという偶像に何よりも重きを置いています。
そんなメタな視点も含まれたEPがこれから始まるんだぞというオープニングにふさわしい楽曲が完成したと思っています。
「ハイライトは自分次第」という詞がめちゃんこお気に入り。

レッドインテンス(作編曲:ミズナイオリ / 作詞:夕凪みちる)

破壊破壊破壊でお願いしますと伝えて作ってもらった楽曲。
ミズナイオリ氏の美味しいところを全部絞ったような曲に仕上がったんじゃないでしょうか。
モチーフはDiorのインテンスレッド。
Diorのリップ マキシマイザーシリーズは唇に塗ったとき、ピリッとした刺激を伴います。
作詞も艶やかで発色のいいこのリップを演出できるように心がけました。
かわいらしいピンクじゃなくて、この色を選ぶときどんな気持ちでいるのかというのが曲が進むにつれて明かされていく、幼さと危うさのバランスも気に入っています。
「お姫様はもう卒業する頃よ」という詞は23:59の魔法へのアンサーです。
制作途中はミズナイオリ氏にも伏せていたのですが、23:59の魔法の同世界線の楽曲という設定もありました。

チークチックアラモード(作編曲:なかにゃん / 作詞:夕凪みちる)

数年ぶりのなかにゃん楽曲、ここに極まれりという出来。
LazuLの頃から私を追いかけてくれている方は、感慨深いものがあったと思います。
モチーフはクリニークのチーク ポップシリーズ、パンジー ポップ。
初めてのデパコスがクリニークだった人も結構多いのではないでしょうか。
花弁の模様がかわいいパッケージのこのチークは、発売当初一世を風靡したものです。(その後キャンメイクで安価版も出ましたよね)
この曲はとにかくBメロの作詞・収録が大変でした。圧倒的リズム難。
MIXもとにかくいじらしいかわいさを前面に押し出すように依頼し、最高の出来となりました。
ディレクションアリの立ち合い収録だったため、LazuL当時は実力不足でできなかった声の表現にも成長が見られるのではないしょうか。

ウード&ベルガモット(作編曲:nardius / 作詞:夕凪みちる)

リファレンスはもちろん「寝るときにはシャネルN°5を数滴」と答えたマリリン・モンローです。
ただしモチーフにしたのは、Jo Maloneの曲名と同名の香水。
最初は大人っぽい落ち着いた香りですが、体温が高い人が纏うとどんどんフローラルな甘い香りに変化していくタイプのどちらかというと官能的な香りの香水です。
ウードが強めなので、最初はオリエンタルっぽい感じもするし、なんなら少し男性的な匂いでもあるのですが、つけて5分くらいですぐ少し妖艶な感じの匂いになります。
Jo Maloneはコンバイニング(違う香りの香水を重ね付けすること)を推奨していて、違う体温の持ち主が混ざり合うことで香りが甘くなるのってこう…いいよね…という考えで出来たのがこちらの楽曲です。
MIXも最後まで熱が覚めないようにと意識してもらい、まさにやりたかったことの体現ができた自信作です。

HIBIWARE(作曲:なかにゃん / 編曲:なかにゃん・ミズナイオリ / 作詞:夕凪みちる)

EPの〆となる曲、モチーフはネイル。
一番までしか聞いていない人は絶対に損しているので、ぜひフルで聞いてほしい楽曲です。
安価なジェルネイルはオフする際爪を削る必要があり、継続するとどんどん爪がボロボロになってしまいます。
取り繕っていたものをオフした後に残るのは傷んで薄くなった脆い自爪。
傷んだ自爪はジェルネイルをせず休ませる必要があり、その期間はマニキュアを塗るしかできないんです。
マニキュアはどんなに丁寧塗って仕上げても、3日も経てばくすんでしまう定め。
ここまでメイクすることで演じることにフォーカスしてきましたが、足りない役を演じるとはどういうことなのかを風刺するような視点で作詞しました。

アートワーク(イラスト:嵐乃)

実在するコスメをモチーフにした圧巻のアートワーク

実際に私が持っているコスメ、使ったことのあるコスメだらけの最高アートワーク。
背景はマジョマジョモチーフにすることで背伸びしている感や演じている感を描いてもらいました。
絵がうまい友達、最高~。

コンセプトEP「idea」

『idea』

”見られるもの” ”偶像" "真実の姿" "心にあるもの"

特設サイト:https://sakurarium-idea.netlify.app/
通販:https://yunagi-michiru.booth.pm/items/5226865
各種配信:12月上旬開始

コンセプトEP「idea」

語源的にはギリシア語の「見る,知る」という意味の動詞 eidōの変化形 ideinによる。ギリシア語の日常的用法では「見えているもの,姿,形」の意。ピタゴラス学派では,感性的な図形と区別された図形の本質そのものを意味した。(引用:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

ここまで散々語ってきたように、夕凪みちるの活動で一番大事にしていることとは偶像性です。
一年越しに「トーカ」EPと対をなすEPを作りたいという狙いもありました。
本EPでは夕凪みちるのイデアを作ってくださいとコンポーザーに依頼をし、私自身はアクターに徹し、作品に対して一切の干渉をしておりません。
「トーカ」EPの時より難解な依頼となり、こうやって形にできたことを心より感謝しています。

Lonely Princess(作編曲・作詞:ミズナイオリ)

お姫様は卒業したはずでは?←スマン…
MVではイントロがカットされているため、ぜひフルを聞いてほしいと思っております。
EP構想を伝えた際、夕凪みちるはやはりお姫様の印象(23:59の魔法、hallow mermaiD)が非常に強いとのお話がありました。
それも私を構成する一部。
もう一つの要素として、やっぱり負けヒロインの印象があるとも言われました。なにひとつ否定できなくてワロタ。
ボーカルはいっそ苦しそうに聞こえるくらいにを意識して収録しました。

Inter Sapphire(作編曲・作詞:nardius)

「強い意志力」が大きなテーマになっています。
象徴としてサファイアをイメージして、その内側に上位のイデアである「強い意思力」があるものとしています。みちるさんがアイドルとして歌い続ける様子をサファイアが光り続ける様子に重ねています。
「強い意志」についてですが、今回イデアをテーマにEPを作る、ということ自体に夕凪みちるらしさを感じでいます。これまでのテーマもそうですが、内省的な部分から着想を得てるイメージがあります。偶像を並べて歌い上げるという点では作者ごとのイメージ・表現が強く作用すると思うんですが、その大元になるテーマをみちるさん自身が発出している点で意志が介在しているのが面白いと感じています。

(nardius氏ご本人のお言葉より引用)

そ、そんな風に思ってくれてたんだ…と照れながらも収録しました。
夕凪みちる史上一番美しい曲になったという自負があります。
なお、夕凪みちる史上一番収録が難産だった曲でもあります。
nardius氏の楽曲はどれもテーマ・モチーフへの解釈と表現力が素晴らしく、今回は100%丸投げとなりましたが、まさにやりたかったことと表現できる曲になりました。

週末シンデレラ(作編曲・作詞:ミズナイオリ)

お姫様は卒業したはずでは?←スマン…②
雨女の曲です。これまでの様々な人生におけるイベントで雨を降らしてきました。
Tr.1・2とはうってかわって跳ねるようなかわいさもあるこの楽曲。
しかしメロディ―ラインのスケールが外れているところが多く、それもまた夕凪みちるという感じがして面白いと個人的には思っています。
一番最後に完成した楽曲で、夕凪みちるという偶像を並べてEPにしたいというオーダーを完璧に理解にしてもらえていると感じました。
アクターに徹すると最初から宣言していた通り、ここまでの3曲はすべて歌い方がはっきりと違います。
これまで活動してきた、ある種の集大成ともいえるEPになったのではないでしょうか。

Lonely Princess 2step remix・trap remix(Remix:uni_crow)

Remixについても好きにやってほしいと伝えていたのですが、またとんでもないのができたぞ、と誇らしく思っています。
trap remixはフィジカル版限定のシークレットトラックなので、配信はございません。個人的にはtrap remixが本当に気に入ってるのでフィジカル版を手に入れてほしい。

アートワーク

canva最高~

あえて顔が大きく映らない構図にしたのがこだわりポイントでしょうか。
デザインセンスなくてもなんとかなってほんとうによかった。

結びに

思い立って休みなしにキーボードを叩き続け、2時間半が経過しました。
今後は一つEPを作ったらその都度ちゃんと書いて公開していこうと思いました。

曲を聞き返しながらずっと文字を入力していましたが、こんな作品作れてる夕凪みちるさんってもしかしてすごくない?びっくりしちゃった。
もちろん9割以上制作にご協力いただいている皆さんのおかげなんですが、それはそうと夕凪みちるさんにアーティストとして評価されてほしいと思いました。
まだまだやりたい楽曲も大量にあるので、制作にいそしんでいく所存です。
また、誰かの世界観に花を添えるお手伝いもしたいので、ぜひボーカルや作詞でお声がけくださいませ。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。

夕凪みちる

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