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“現役書店員”がオススメする「海」についての絵本 vol.29

こんにちは。

この時期、海について何か考えたことはありますか?

普段、全く気にしてないものにあえて触れてみるのって新鮮ですよね。
そして新しい発見をすることも多いです。

本日はこちらです↓

おすすめの理由

・海への向き合い方を多様な視点で教えてもらえる

著者は、立松和平さん・伊藤英子(絵)です。

ある日、漁師の父がクエと格闘の末亡くなります。

そして息子である主人公の太一が、与吉爺(よきちじい)に弟子入りして父と同じように立派な漁師になっていく、

というお話です。

まず、印象的なのは、紙質です。
キャンバスのように凹凸がある紙で、ページの大部分を絵が占めているので、画集のように絵を楽しめます。

また、その絵に、登場人物の想いが憑依しているかのように、とても豊かで、それでいて自然に表現されています。

もう一つ、印象的なところは、
太一がたくましく成長し立派な漁師になっていく姿、両親、与吉爺、父と格闘したクエ。
そして海そのもの。

それぞれの思いがもれなく表現されており、
しかもそのバランスが良いのです。
海に関しては、読み進めていくうちに、読者に優しく考えることを投げかけているのだと思います。

文に関しては、絵の印象も強いことから、

「何を書かないか」

をすごく意識されたのではないでしょうか。

その結果、僕たちに解釈や共感の自由を与えてくれ、

僕たちは登場人物や海、海の生物へ安心して、自由に共感や立場へ行き来することができる。

ミクロにもマクロにも捉えられ、
でも、その根底に流れているのは「愛」。

そんなことを感じる絵本です。

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